鉄骨と木造の違いは? それぞれのメリットとデメリットを知ろう!

鉄骨と木造には具体的にどのような違いがあるのでしょうか。それぞれのメリット・デメリットをしっかりと把握しておけば、理想のマイホームを建てることができます。理想のマイホームを手に入れるためには、住宅についての知識を持ち合わせることが大切です。

本記事では、鉄骨構造と木造の違いを解説します。

  1. 鉄骨構造のメリット・デメリット
  2. 木造のメリット・デメリット
  3. 鉄骨構造か木造かを選ぶ基準
  4. 鉄骨・木造に関してよくある質問

この記事を読むことで、鉄骨と木造の具体的な違いや選ぶ基準が分かります。悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

1.鉄骨構造のメリット・デメリット

まずは、鉄骨構造の特徴やメリット・デメリットをチェックしておきましょう。

1-1.建築物の軀体(くたい)に鉄製・鋼製の部材を使っている建築物

鉄骨構造とは、建築物の軀体に鉄製・鋼製の部材を使っている建築の構造を指しています。近年は、鋼材を用いるのがほとんどで鋼構造とも呼ばれているのです。鉄骨構造には、重量鉄骨造と軽量鉄骨造の2種類があります。一般の住宅にも多い軽量鉄骨造は、軽い鉄鋼を使った工法で鉄骨素材の板の厚さは6mm以下となっているため、素早い工程でじゅうたく建てることが可能です。しかし、軽量鉄骨は素材が軽い分、枠組みだけでは強度が足りないので壁部分に筋交いと呼ばれるものを入れます。一方、重量鉄骨造はビルで用いることが多く、本格的な鉄骨構造です。柱や梁に重量のある鉄骨を使うので壁のない構造が可能ですが、基礎や地盤のしっかりとした工事が必要となります。

1-2.鉄骨の3つのメリット

鉄骨のメリットは、強度が高い品質が一定している火災保険料が安いことです。
法定耐震年数が木造は22年となっていますが、鉄骨は27年と5年長いことが分かります。構造の特徴から鉄骨のほうが耐震性が高く、規格化された建材を使っているので品質が一定しているのです。木造住宅の場合は職人が現場で木材を加工するケースが多いため、業者や職人によって品質にバラつきが出やすくなってしまいます。けれども、施工者の技術が一定している鉄骨なら品質にバラつきがありません。さらに、住所地と建物の構造で決まる火災保険料も安く抑えることが可能です。木造に比べると、半額以下になることもあります。

1-3.鉄骨の4つのデメリット

鉄骨のデメリットは、断熱性が低い湿気でサビやすいコストがかかるデザインの自由度が低いという4点となります。
鉄はもともと熱を伝えやすい特徴があるので、室外の暖かさや寒さが室内に伝わりやすくなるのです。せっかく室内を暖め涼しくさせたとしても、木造より断熱性が劣ってしまいます。また、鉄には調湿効果がないため、湿気でサビやすいのもデメリットの1つです。ただし、対策として特定の壁材を使えばサビを未然に防ぐことができます。できるだけ、デザインを反映させたい方は、軽量鉄骨よりも重量鉄骨を選ぶといいでしょう。重量鉄骨は少ない本数で骨組みを作ることができるため、デザインの自由度が比較的高くなります。

2.木造のメリット・デメリット

木造の特徴やメリット・デメリットを解説します。

2-1.建物の構造体を木材で作る建築物

木造を簡単に説明すると、建物の柱・梁・小屋組み・壁紙などの構造体を木材で作る建築物のことです。日本人にとっては鉄骨よりもなじみ深い住宅といえるでしょう。従来の木造は大規模な建築には向いていないといわれていましたが、最近は技術の向上によって大規模な建築でも木造が用いられるようになりました。一般的な一般住宅では木造にすることが多いのですが、オフィスビルなど高層建築物は建物の耐震性から木造には不向きです。木造の大きな特徴は、木造ならではの温かみや香りを楽しむことができる点でしょう。それでは、次の項目でメリットとデメリットを紹介します。

2-2.木造の4つのメリット

木造の主なメリットは、デザインの自由度が高いコストが安く済む断熱性と調湿効果が高い火災に強いという4点です。
建築法によって間取りやデザイン・仕様を比較的自由に考えることができるため、間取りの変更などライフスタイルによってさまざまなリフォームができます。鉄骨に比べると費用が安く済み、断熱性と調湿効果が高いメリットもあるのです。木材は外部の寒気や暖気が内部に伝わりづらくなる特徴があるため、年中快適にすごすことができるでしょう。さらに、木材=火に弱いイメージがありますが、鉄骨よりも木造のほうが耐火性が高いのです。鉄は火を浴びるとすぐに曲がります。しかし、木造は全体が燃え尽きるまで時間がかかることから倒壊の危険性が低くなるのです。避難する時間を稼ぐことができるでしょう。

2-3.木造の3つのデメリット

木造の主なデメリットとしては、品質がバラつきやすい遮音性が低いシロアリ被害を受けやすいという3点です。
前述したように、木造は施工する職人の腕にかかっているため、品質にバラつきが出てしまいます。つまり、理想の木造住宅にするためには、業者選びが大きなカギになるのです。施工業者の腕が信頼できる業者に依頼するのが大切なポイントといえるでしょう。また、鉄骨に比べると遮音性がどうしても落ちてしまいます。木造の音漏れが木になる方は、厚さ6mm以上の鉄骨を仕様する重量鉄骨住宅が最適です。さらに、木造住宅はシロアリの被害を受けやすくなります。定期的にシロアリ対策を施せば、未然に被害を防ぐことができるでしょう。シロアリ被害が心配な方は、事前に業者へ相談することをおすすめします。デメリットをしっかり把握しておけば、事前の対策を施すことができるのです。被害を最小限に抑えることができるでしょう。

3.鉄骨構造か木造かを選ぶ基準

ここでは、鉄骨構造か木造かを選ぶ基準をいくつか紹介します。

3-1.まずは自分の条件をハッキリさせよう

鉄骨構造か木造か、どちらにすべきか選ぶ前に自分の条件をハッキリさせることが大切です。どんなマイホームにするのか・どんな賃貸物件に住みたいのかじっくりと考えてください。たとえば、電気代を抑えたいなら断熱性に優れている木造、遮音性を重視したいなら鉄骨構造のほうが条件に合っています。自分や家族がどんな家に住みたいのかによって、選ぶ基準も大きく変わるのです。また、建築物に対する条件と併せて優先順位も大まかに決めておくといいでしょう。最も重要視している箇所に順位をつけることで、理想の家を手に入れることができます。

3-2.予算を踏まえて検討する

マイホームを建てる場合、家庭によってだいたいの予算が決まっていると思います。木造よりも費用が大きくかかるのが鉄骨構造です。将来、ライフスタイルによってリフォームしたいシーンが出てくると思いますが、家の建て替えや解体では木造より費用が高くなるのも鉄骨構造のデメリットとなります。そのため、予算を併せて、将来どのような活用方法があるのかイメージするのも大切なポイントです。特に、マイホームを建てるとなると長く住み続けることになるため、リフォームしやすい点で木造を選ぶ家庭が多い傾向があります。予算と比べながら、将来を見据えた上でどちらにすべきかじっくり考えてください。

3-3.施工業者と打ち合わせを重ねながら決める

理想の家に住むためには、素人では分からない部分も理解する必要があります。鉄骨か木造かで悩んだ場合は、建築の知識が豊富な施工業者に相談するといいでしょう。マイホームを建てる場合、何回も打ち合わせをしながら具体的なプランを練っていきます。しっかりと自分の要望や条件を伝えることで、どちらが最適かどうか提案してくれるのです。知識が豊富で実績がある業者ほど、より分かりやすく丁寧な説明をしてくれるでしょう。自分で分からない部分があれば、施工業者に相談しながら決めるのが1番です。すべて業者任せにしたり、自分で勝手に決めたりすると後でトラブルになるリスクがあるので注意してください。

3-4.注目しておきたい耐震性

デザインの自由度や断熱性などさまざまなポイントを注目して選ぶことになりますが、忘れないでほしいポイントが耐震性です。日本は地震大国といわれているほど地震が多く、30年以内に都心で大地震が起きるといわれています。だからこそ、耐震性に注目して選ぶことが大切です。単純に強度という点では木造よりも鉄骨のほうが強いですが、震度7クラスの地震でも簡単に木材も折れることはありません。大切なのは、柱や梁を接合している部分です。鉄であっても木材で合っても、接合部分がしっかりしていれば耐震性は大丈夫といえるでしょう。近年は、建築物の耐震性を高めるために、耐震補強を施している家庭も増えています。

3-5.業者選びのポイントをチェック!

どの業者を選べばいいのか分からず悩んでいる方は、以下のポイントに注目してください。

  • 鉄骨・木造建築の施工に優れているか
  • 施工実績がホームページ等に記載されているか
  • スタッフの対応が丁寧でスピーディーか
  • どのような質問でも丁寧かつ分かりやすく答えてくれるか
  • 口コミや評判がいいか
  • 見積もり内容が具体的に記載されているか
  • 施工後のアフターサービスが充実しているか

前述したように、理想のマイホームを建てることができるかは施工業者の腕にかかっています。複数の業者を比較して、信頼できる業者を選んでください。

4.鉄骨・木造に関してよくある質問

鉄骨と木造に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.軽量鉄骨と重量鉄骨の大きな違いは?
A.使用する鋼材の厚さに根本的な違いがあります。重量鉄骨は6mm以上の鋼材を使用しますが、軽量鉄骨は6mm以下の鋼材を使用することになるのです。また、重量鉄骨では一般的にラーメン構造と呼ばれる工法が用いられます。柱1本あたりの強度が強いからこそ、柱と梁を一体的に固定し筋交いを使用しない構造です。一方、軽量構造は筋交いが必要になるのでレイアウトの自由が制限されます。ただし、あらかじめ主な部材を工場で製造できるため、短期で工事が終わるでしょう。

Q.鉄筋コンクリート造住宅とは?
A.略称としてRC造と呼ばれているコンクリートと鉄筋を一体化させた構造建築です。圧縮する力に強いコンクリートと引っ張る力に強い鉄筋を用いることで、高い強度の柱や梁が構築できます。鉄筋コンクリート造住宅は、一般的に建物強度が高く、耐震性に優れているのが大きなメリットです。さらに、用いる健材の特徴から火災に強い特徴もあります。

Q.マイホームの失敗を防ぐポイントは?
A.依頼する施工会社や住宅会社を複数比較することです。1社に相談して即決ということだけは絶対にしないでください。マイホームで失敗しないためには、しっかり情報収集を行うことが大切です。実際に、ハウスメーカー・工務店・住宅展示場などに足を運び、自分の目で確かめてください。また、家についての知識や価格相場を知ることも大切なポイントです。

Q.木造に適している物件は?
A.2階建て程度の小規模アパートや戸建て住宅に適しています。基本的に、小規模な建物に木造が選ばれることが多いのです。しかし、地形によっては建物自体の形状が変化することになります。全体の規模や耐震性などを考慮しながら木造か鉄骨か選ぶことが大切です。

Q.軽量鉄骨造はリフォームできないのか?
A.軽量鉄骨造は筋交いを施さなければならないため、木造に比べるとリフォームの自由度が低くなりますが、絶対にできないわけではありません。最近は技術が向上していることもあり、窓やドアの取りつけリフォームなどができるようになりました。ただし、プレハブ工法で造られた軽量鉄骨造は使われている部材の詳細がメーカーでないと分からないというデメリットがあります。メーカーの技術者以外が扱うと耐震性・耐久性が損なわれる可能性があるので注意しなければなりません。

まとめ

鉄骨と木造には大きな違いがたくさんあります。用いる建材はもちろん、構造や工事期間・費用も大きく異なるのです。それぞれのメリットとデメリットをしっかりと把握した上で、理想のマイホームに合った構造を選ぶといいでしょう。ただし、素人では正しい判断ができないため、リフォーム業者といった専門家に相談しながら決めるのがポイントです。具体的にどのような家にしたいのか・家づくりで重要視することなど具体的に伝え相談しながら、決めるのがポイントとなります。