老人ホームへの入居準備はぬかりなく! 引越しを機に生前整理をしよう

一人暮らしになったり、介護度が上がったりしたことがきっかけで、老人ホームへの入所を検討している人も多いことでしょう。老人ホームは公的施設から民間施設までさまざまな種類があり、それぞれに形態や状況が異なります。そのため、入居に際して準備するものも変わってくるのです。この記事では、老人ホームへの入居準備に必要なことや、荷物の片付けから引越しについて説明します。

  1. 老人ホームへの入居準備について
  2. 老人ホームへの入居準備:大切なこと
  3. 老人ホームへの入居準備:片付けについて
  4. 老人ホームの入居準備に関するよくある質問

この記事を読むことで、老人ホームへ入居するまでに準備すべきことや引越しについて知ることができます。ぜひお役立てください。

1.老人ホームへの入居準備について

老人ホームへの入居は、思いのほか時間がかかったり、準備するものが多かったりして戸惑うものです。ここでは、入居までの流れや手続き・確認事項について説明します。

1-1.老人ホームの種類

一口に老人ホームといっても、介護サービスの有無や公的施設から民間施設まで、さまざまな種類があります。この中から、自分の希望や状態にあったホームを選びましょう。

1-1-1.公的介護施設

  • 特別養護老人ホーム(特養):入居条件は要介護3以上。人気が高く入居待ちのところもある
  • 介護老人保健施設(老健):要介護1から入居できる。医療ケアとしてリハビリ中心に行い、最終的には自宅で過ごすことを目的とする
  • 療養型医療施設:介護と同時に長期的な医療サービスが受けられる。
  • 養護老人ホーム:自立していても入居できる。生活保護受給者または低所得により自宅での生活が困難な人が入居の対象。入居には地方自治体の審査が必要となる
  • 軽費老人ホーム:60歳以上の自立~要介護2でも入居できる。A型・B型・ケアハウスに分かれており、所得が低い、身寄りがないなどの入居条件がある

1-1-2.民間介護施設

  • 有料老人ホーム:介護付き・住宅型・健康型に分かれており、身体状況によって選べる
  • グループホーム:認知症対応型の共同生活介護施設。専門スタッフの援助を受けながら、数名を1ユニットとして共同で生活する
  • サービス付き高齢者向け住宅:介護サービスはないが、見守りサポートや生活相談が受けられる。費用が高い

1-2.入居までの流れ

1-2-1.資料請求

電話またはメールで問い合わせます。介護度や希望する入居予定時期、見学の有無や相談内容を伝えましょう。

1-2-2.資料確認

資料が送られてきます。設備や介護サービス、医療との連携など、希望する内容と一致するか確認しましょう。体験入居や見学の有無もチェックしておきます。

1-2-3.見学を予約

施設の見学を予約します。施設側は案内スタッフの調整が必要なため、日程には余裕を見て申し込みましょう。スケジュール調整に数日かかる場合もあります。

1-2-4.見学

入居者やスタッフの様子、部屋の大きさや設備、周辺環境などをチェックします。パンフレットの写真と現状が違う場合もあるので、直接見ることが大切です。確認したい内容はあらかじめチェックリストにしておくといいでしょう。

1-2-5.体験入居

見学して気に入れば体験入居してみましょう。食事の様子やレクリエーションなどの活動、介護の対応など、入居を体験することで自分に合うか判断できます。体験入居には「健康診断書」の提出が必要です。健康診断書の発行には2週間~1か月かかることもあるので、早めに準備しましょう。

1-2-6.契約

契約内容をよく確認し、必要書類を揃えて契約に臨みます。契約時には、重要事項説明書の内容を詳しく解説してもらいましょう。この場合、少しでも疑問や不安があるときは、必ず納得できるまで説明を求めます。特に、入居時や毎月支払う費用など、金銭面の確認が大切です。

1-2-7.引越し

入居日を決めて引越し準備をします。自宅から持っていくもの、新しく買うもの、処分するものなどをリストアップしておくといいでしょう。引越し業者を頼む場合は早めに手配が必要です。

1-3.手続き・書類関係について

入居の手続きに必要な書類を用意します。また、入居には連帯保証人・身元引受人が必要です。施設によっては身元引受人の印鑑証明が必要な場合もあるのであらかじめ確認し、用意しておきましょう。入居に際し必要な書類には、一般的に以下のようなものがあります。

  • 健康診断書
  • 戸籍謄本
  • 住民票
  • 連帯保証人・身元引受人の印鑑証明など

1-4.持参するものについて

入居日が決まったら持参するものを用意します。入居日までに用意したいのは、衣類やタオル・シーツ・洗面道具・消耗品など身の回りの品です。家具や備品は、施設に備え付けてあるものを確認し、持参するものと重ならないようにします。たとえば、介護ベッドや収納家具などは備え付けか、レンタルが可能かなど、あらかじめ確認しておきましょう。場合によっては、カーテン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機なども用意しなければならないこともあります。ほかには、服用中の薬・メガネ・補聴器など普段の生活で使っているものや、健康保険証・高齢受給者証も用意しておきましょう。

1-5.注意点

健康診断書など、契約時に必要な書類は、用意するのに時間がかかるものもあります。提出期日に間に合うように早めに手配しましょう。

2.老人ホームへの入居準備:大切なこと

老人ホームへの入居準備はいつごろから始めればいいでしょう? 準備に際し確認すべきことや注意点をまとめました。

2-1.いつごろから入居準備を始めるか

老人ホームへの入居は、通常、問い合わせから入居までに1か月半~2か月はかかります。入居準備は、施設に問い合わせた時点からスタートするといいでしょう。体験入居後から準備を始めたのでは間に合わない可能性があります。特に、ものが多い人は、早めに自宅の片付けを始めるといいでしょう。

2-2.確認すべきこと

入居にあたって、まず確認すべきは本人の意思です。家族の都合で無理やり入居させるのではなく、本人が気持ちよく過ごせる施設を選びましょう。本人の意思確認を怠ると、入居後のトラブルにもつながりかねません。本人が納得できるように、疑問点は解消しておきましょう。
また、老人ホームへの入居の際には、ほとんどの場合「身元引受人」が必要です。誰がその役を担うか、家族で話し合って決めておきましょう。

2-3.注意点

入居準備にあたり、自宅の整理が必要です。特に、賃貸住宅に住んでいる場合は、引き渡しができる状態にしておかなければなりません。施設に持ち込める荷物の量は限られているため、何を残すかをよく考え、思いきって処分することも大切です。また、施設によって持ち込み禁止となっているものもあります。たとえば、刃物や火器類、貴金属類などです。入居先の決まりを確認しておきましょう。

3.老人ホームへの入居準備:片付けについて

老人ホームに入居する場合、自宅の荷物の片付けが必要になります。自宅には戻らないことが分かっている場合は、この機会に生前整理をするといいでしょう。ここでは、入居前の片付け方法について説明します。

3-1.入居前の片付けを自分でする場合

入居者本人が自立、または介護度が低い場合は、自分で片付けをすることも可能です。しかし、介護度によっては難しい場合もあるため、家族の手伝いが必要でしょう。引越しは若い人でも大変な作業です。まして高齢者は、体力・気力も低下しているため、無理をして体調を崩さないように気をつけましょう。
片付けは、入居までのスケジュールに合わせて計画を立てて取り組むことが大切です。要・不要の判断はなるべく本人に任せ、持っていく荷物と不用品とに分けましょう。不用品の処分は自治体の回収などを利用し、入居までに掃除も済ませておきます。

3-2.片付けをプロに依頼する方法

片付けが1人ではできない・家族の協力も得られない、という場合は、プロに依頼する方法があります。業者選びのコツや依頼の流れなどを紹介しましょう。

3-2-1.どこに依頼するか

部屋の片付けは、不用品回収業者や家事代行サービスに依頼することができます。家事代行サービスの場合は、不用品の処分まではできないため、自分で処分しなければなりません。一方、不用品回収業者の中には、「生前整理」ができる業者もいます。こうした業者は、施設入居時の引越しにも対応しているので便利です。

3-2-2.プロに依頼するメリット

不用品回収のプロに任せることで、手間をかけることなく短時間で片付けることができます。「生前整理」に対応している業者に依頼すれば、大量の物品の仕分け・不用品の処分と買い取り・引越しまで、すべて一括で済ませることができ、大変効率的です。

3-3.料金について

業者に依頼すると料金はかかりますが、同時に不用品の買い取りを利用することで相殺され、費用を抑えることができます。

3-4.業者選びのコツ

業者を選ぶコツは、無料見積もりを利用して数社から見積もりを取って比較することです。内容や対応の様子を確認し、本人と相性が良さそうなところに依頼しましょう。生前整理は高齢者と一緒に作業をするため、相性も大切なのです。以下のポイントも参考にしてください。

  • 生前整理に対応しているか
  • 不用品の買い取りもできるか
  • 古物商の許可業者か
  • 料金体系が明確か
  • 無料見積もり・無料相談が可能か
  • 対応は丁寧か

3-5.片付けの流れ

引越し前の片付けと不用品回収の流れは以下のとおりです。

  • 無料見積もりの申し込み
  • 作業日の予約
  • 出張査定・見積料金を提示
  • 納得できれば契約
  • 作業開始
  • 作業完了

3-6.注意点

不用品回収業者を巡るトラブルが多発しています。「見積もりにない金額を請求された」「価値あるものを無理やり安く買っていった」など、トラブルに巻き込まれないように、気をつけましょう。だまされないためには、いきなり訪問してきた業者とは付き合わないこと、その場で契約をしないことです。

4.老人ホームの入居準備に関するよくある質問

Q.入居準備の片付けをするときコツはありますか?
A.老人ホームは個人の専有スペースが限られているため、持ち込むのは必要最低限に留めることです。持ち込むものは収納容量の7割程度を目安とするといいでしょう。

Q.持ち込む荷物には制限がありますか?
A.はい。施設によっては、刃物や火器の持ち込みを禁じているところもあります。詳しくは、入居先の施設に訪ねてください。持ち物にはすべて名前を記入しておきましょう。

Q.業者とトラブルになった場合はどうすればいいですか?
A.国民生活センターの消費者ホットライン(電話番号:局番なしの188)に相談してください。

Q.実家の母が老人ホームに入居します。家はそのまま残しますが、住民票は移したほうがいいですか?
A.はい。原則として1年以上住み続ける見込みがある場合は、住民票を移す必要があります。

Q.夫婦で入居できる老人ホームはあるでしょうか?
A.中には、夫婦での入居可・2人部屋のある老人ホームもあります。2人の介護度が違っても入居できる施設もあるので、状況に合わせて選んでください。

まとめ

老人ホームへの入居は、大きな環境の変化となります。そのため、入居するまで気持ちが落ち着かないこともあるでしょう。入居準備は、なるべくスムーズに運ぶように、確かな情報を得ることが大切です。家族の助けも借りて、速やかに希望の施設に入居できるよう準備を進めましょう。