オフィス内装を変えるなら知るべき3か条~会社の顔をデザインする~

近年、オフィスの内装に凝っている会社は多いです。斬新(ざんしん)なものから社の理念を体現したデザインの内装まで、企業ごとにオフィスはさまざまな色を持っています。
オフィスは従業員だけが使う場所ではありません。取引先との商談にも用いられますので、いわばオフィスは「会社の顔」です。オフィスの空間が「会社の理念や経営方針を表している」といっても過言ではないでしょう。内装にこだわることは非常に大切です。
そこで、オフィスの内装工事をする目的や利点について記事にまとめてみました。オフィスを変えようか検討している方は、ぜひ最後までお付き合いください。

この記事を読むことで「オフィスの内装を一新しよう」と思っていただけたら大変うれしく思います。事例も合わせて紹介していきますので順を追って見ていきましょう。

1.オフィスの内装とは?

なぜオフィスの内装が重要視されるのか。この項ではその目的やメリットについて「基本となる情報」を解説していきます。

1-1.オフィスならではの内装とは?

オフィスには企業の色を出すことができます。たとえば、クリエーティブな職場なら「殺伐とした白一色」のオフィスよりも「遊び心のある空間」の方が仕事の効率がよくなるでしょう。
また、オフィスのデザインがもたらす「印象」には面白い効果があります。
自社のよさをプレゼンする「マーケティング」と違い、相手が自発的に好感を抱いてくれる「ブランディング」をねらえるのです。商談相手をオフィスに案内して「おしゃれな感じ」というイメージを抱いてもらえれば、他社より優位に立つことができます。

1-2.目的

オフィスの内装を考えるときに「目的」を欠かしてはいけません。
内装を変える目的をはっきり決めていないと、方向性が定まらずに迷ってしまい「いろんな要素が中途半端に入り混じったオフィス」になってしまいます。

  • 「経費削減」を追求するために規模を縮小する
  • 「有能な人材の獲得・定着」を見越して魅力的な空間を作る
  • 「人員の拡大」と「売り上げアップ」を目指してスペースを広くする

簡単な例を挙げましたが、オフィスの内装を変える際は上記のような「指針」を決めておくことが非常に大切といえます。

1-3.メリット

オフィスの内装を変えることにはさまざまな利点があります。
第一に、「社員のやる気アップ」です。
会社は人によって動きます。手狭な空間で働くよりも、十分なゆとりがある場所の方が業務もはかどるでしょう。仕事の効率が上がれば会社全体の質も向上し、よりよいサービスの提供につながります。試しにアンケート調査を行ってみるとよいでしょう。集めた内容を見ると、環境を変えることで改善できる事柄が多いと気付きます。
また、魅力的なオフィスは「リクルート」においても優位です。過去のデータによると、就活生の80%が「第一印象」で就職先を選んでいます。

第二に、オフィスの内装を変えることで「コスト削減」が実現可能です。
小規模なオフィスをいくつも運営するよりも、広々としたオフィスに人員と設備を集約してしまった方が「賃貸料」が安く済むこともあります。
また、オフィスが分かれていると「トイレ」や「プリンター機」が重複しますが、1つにまとめることで無駄を省くことが可能です。

第三に、オフィスが入っている「ビルの耐久性」を見直せます。
日本は地震大国です。首都直下型地震がいつ発生してもおかしくないといわれています。そのためビルの耐久性は軽視できません。耐久性の高いビルを選ぶ基準は「1981年の新耐震基準施行後に建築されたビル」もしくは「耐震補強工事」を行っているかに注目しましょう。

2.オフィスの内装~目的別~

オフィスの内装は目的別に異なります。デザインの選択に困っている方は「何を実現したいか」ということを掘り下げて考えてみましょう。

2-1.理想の内装とは?

オフィスの内装は何を重視するかに着目しましょう。
下記に例を挙げていきますので、ご自身の目的に近いものを参考にしてみてください。

2-1-1.コミュニケーション重視

社員同士のコミュニケーションを円滑にするなら、手狭なスペースはふさわしくありません。打ち合わせができるスペースなど「交流できる場」を確保する必要があるでしょう。
デザインにはオレンジ色などの快活なカラーを取り入れたり、カフェのような落ちついた空間を目指したりと、無機質なオフィスのイメージは捨てることになります。
また、部分的に変えるのは難しいので、オフィスを一新する気概でそれなりの予算を用意することになるでしょう。

2-1-2.福利厚生重視

人気を集めているタイプです。休憩所や食堂などの施設・設備が充実した内装が特徴で、IT系の企業でよく採用されています。コーヒーマシーンやお菓子販売機などが置いてあることも多いでしょう。

2-1-3.自然重視

近年になって増え始めたタイプです。オフィスの中に自然を取り入れており、リフレッシュ効果をねらう意図があります。一部の壁を植物で覆ったり、天井を空に見立てたりと、自然重視のオフィスは個性的な空間になりがちです。取引先などの来客に強い印象を持ってもらえるでしょう。

2-1-4.生産性重視

このタイプは無駄なものを省いたシンプルな内装をしています。仕事に対する集中力が増すでしょう。一見すると、余計なものがないので安価なイメージがあります。ですが、ものがないぶんデザインや見せ方を考慮する必要があるので、費用が高くなる傾向はいなめません。

2-1-5.効率重視

機能性を重視したオフィスが該当します。デザインにはこだわりません。人員を考え的確にデスクを設置することで、業務中のやり取りなどから無駄を省きます。コストを抑えることができるので、オフィスの内装にこだわりがなければおすすめのタイプです。

2-1-6.初期コストの削減重視

初期コスト削減を重視したオフィスとは、内装の仕上げをあえて省くことで費用を安くしているタイプです。オフィスで一部の壁が「コンクリートのまま」という状況を見たことがあるでしょうか。仕上げの費用がかからないので内装の費用は安い傾向にあります。
とはいえ、「コンクリート・鉄骨」の素材感をうまく演出してデザインに優れた空間を作り上げるのです。決して無骨なだけではありません。

2-2.事例紹介

実際に内装工事をしたオフィスの事例を見ていきましょう。どのような規模と目的で進めたのか参考にしてみてください。

2-2-1.銀座にある150坪のオフィス

会議スペースを設けるための増床が目的となります。このオフィスはIT系の企業です。「21世紀の世界観と新しい未来を切り開くイメージ」というモチーフがあり、クライアントと社員スタッフの情報収集ができる場所を求めています。
依頼人には「照明が暗い」「天井が低い」という悩みがありました。そのため、業者は「開放感」を考慮してデザイン・提案をします。オフィス全体を白くするなど奥行きある空間を演出し、ガラスを使ったパーティションを採用することで広々とした空間を作り出しました。

2-2-2.横浜にある50坪のオフィス

拡張移転が目的となります。依頼人のお仕事は士業です。
シックで落ちついた空間造りを求めており、クライアントや社員に「信頼・安心・落ちつき」をイメージしてもらうねらいがあります。
依頼人には「隣室の声が聞こえる」という悩みがありました。そのため、業者は「レイアウト・素材」に注目します。遮音性の高い壁を採用することで遮音性を高め、部屋でさり気なく音楽を流すことで「隣室の会話」が気にならないよう配慮しました。

2-3.最近の傾向

最近はオフィスの内装に「カフェ」を採用する企業が増えています。
なぜなら、リフレッシュすることで作業効率が上がり、社員同士のコミュニケーションから新たなアイデアが生まれるからです。
また、オフィス内にカフェスペースがあれば外へ買いに行く手間が省けます。休憩時間を有効活用することも可能です。

2-4.インテリアやデザインについて

オフィスの内装を変えるなら、「プロジェクトメンバー」などを定めて少人数で進めていくことをおすすめします。アンケートで社員の意見を採用することは構いません。
ですが、全員の要望を取り入れることは不可能でしょうし、やろうと思ったらコンセプトがぶれることを覚悟する必要があります。

2-5.注意点

オフィスのデザインを決めるとき、物理的に実現可能かどうかをよく考えましょう。
内装工事は「貸し主の許可」が必要です。了承を得ていないのに、オフィスに自然光を取り入れたいから天井を吹き抜けにするなんてことはできません。

3.オフィスの内装~業者に頼むとき~

オフィスの内装工事を業者に頼むとき、デザインなどのイメージを明確に伝えることが肝心です。この項では「業者の選び方」から「工事の流れ」など、内装工事の依頼にかんする情報を述べていきます。

3-1.コンセプトの伝え方

オフィスの内装にはコンセプトがあると思います。理想どおりのデザインを実現するためにも、業者にはしっかりと伝えましょう。
業者は過去の実績からさまざまな案を提案できます。しかし、決して同じ企業のオフィスではありません。提案された内容で工事を進め、完了してから「社の理念とイメージが異なる」というケースもあり得ます。そういったトラブルを防ぐためにも、打ち合わせの段階で「絵・写真」といった明確な形でイメージを伝える方がよいでしょう。
業者はデザインの専門家です。インテリア・建築デザイン関係の本でも構いませんので、参考資料があるとより希望に添った提案が可能となります。

3-2.工事の流れ

広さやデザインにもよりますが、オフィスの内装工事は「1~3か月程度」を見ておきましょう。家具類の発注など、特別な何かがなければ工事期間は最短の1か月で終わります。

【オフィスを引き渡すまでの流れ】

  1. 現地調査とヒアリング(お客様の意向などを伺います)
  2. 「基本レイアウト」「見積もり」「工事の工程を確認」
  3. 打ち合わせ(レイアウトを元にした打ち合わせです)
  4. ご契約
  5. 外部意匠などの打ち合わせ(細かな内装についての打ち合わせです)
  6. 日程調整(暫定的な工事工程の確認です)
  7. 施工管理(工事中はお客様とまめに連絡を取り合います)
  8. 引き渡し(オフィスを引き渡すとともに設備の説明などをします)

3-3.デザインについて

オフィスのデザインを決めるとき、自分の理想や夢をかなえることばかりに気が向いていると思わぬ落とし穴にはまることがあります。
もちろん、理想や夢を伝えることは悪いことではありません。
ただ、注意すべきなのが「借りているオフィスで物理的に実現可能なのか」という点です。前項でも触れていますが、オフィスの内装工事には「貸し主の許可」が必要となります。たとえば、上階にテナントがなくて、天井をぶち抜き開放感ある空間を演出しようとしても「貸し主が却下」すれば実現不可能です。それなのに、業者とデザインについて細かく決めてしまうと、あとになって制限されるのでレイアウトがまとまらなくなります。そのため、デザインを決めるときは必ず「内装工事が許されている空間」を確認しておきましょう。

3-4.業者の選び方のポイント

「オフィス」「内装工事」とインターネットで検索すると、いくつも業者がヒットします。ですが、まずは「内装工事の業者には種類がある」ということを覚えておきましょう。

3-4-1.工事専門の業者

オフィスのデザインにはかかわらず、工事だけを行う業者です。
内装会社と宣伝しているところは、ほとんど工事専門といえます。そのため、ご自身でデザインし工事専門の業者に依頼すれば費用は格安で済むでしょう。

3-4-2.デザイン専門の業者

工事専門とは反対に、こちらはデザインだけをする業者です。
「イメージを追求したい」「妥協したくない」「もっとこだわりたい」という方には心強い業者でしょう。ですが、なんにせよ工事をする業者は探さなくてはいけませんので手間がかかります。また、「デザイン料」という費用が工事費とは別に必要となるので、予算に限りがある方は利用しない方がよいです。

3-4-3.工事とデザインを一貫して行える業者

オフィスの内装工事を依頼するなら、このタイプがおすすめです。
工事・デザインを一手に引き受けてくれるので手間がかかりません。依頼から工事完了までの流れを把握しているので、デザインの点でも柔軟に対応してくれるでしょう。

3-4-4.オフィス移転・内装デザイン・工事までを一貫して行える業者

この手の業者は、上記のおすすめタイプに「オフィスの移転コンサルティング」も含まれます。考えたオフィスのデザインに見合う場所を探してくれるので、ご自身の要望を最もかなえやすい業者です。

業者選びのポイントは、すべて一貫して任せられるところを選ぶとよいでしょう。担当が変わることもなく、日程の管理も容易に済みます。
なお、「作業をすべて外注している」という業者は避けた方がよいです。実際に工事・デザインする業者とかかわりが薄いほか、時間がかかる場合があります。業者を選ぶときは「外注かどうか」も確認してみてください。

3-5.料金について

オフィスの内装工事は「坪単価10~30万円」が相場とされています。目安として、一般的な内装工事ですと坪単価10万円ほどです。
費用を削減するコツは、

  1. 仕上げのランクを下げる
  2. 家具を自分で発注する
  3. 複数の業者で見積もりを出す

の3つが挙げられます。
1つ目の「仕上げのランクを下げる」というのは、照明が内蔵された「システム天井」から通常の天井にしたり、照明を別途設置したりすることです。
妥協するとデザインがおかしくなるケースもあります。そのため、業者と打ち合わせを挟みながら検討してみてください。コストの低い代替素材なども提案してくれるはずです。

2つ目の「家具を自分で発注する」では、業者が請求してくる搬入費・人件費などの「仲介手数料」を省くことができます。家具は設置するだけですし、購入店で「無料設置サービス」などを行っている場合があるので利用しない手はありません。

3つ目の「複数の業者で見積もりを出す」は、絶対条件ともいえます。
工事費は複数の業者で比較し、交渉することで安く抑えることが可能です。1社だけでは割高の値段となります。ですが、3社・5社と見積もりを依頼しすべての業者に報告することで、競い合って最安値を提示してくるのです。

3-6.見積もりを軽視しない

オフィスの内装工事には細かい項目がいくつもあります。
業者が出した見積書には確実に目をとおし、不明確な金額は確認してください。くれぐれも「諸工事費」などを見逃さないようにしましょう。内訳をきちんと説明してくれるのなら問題ありませんが、合算だと費用をごまかしている可能性もあります。

3-7.注意点

内装の工事業者を決めて「終わり」ではありません。事前に打ち合わせをしているとしても、実際に工事が始まると「思っていたのと違う」という場合もあります。工事が完了してから変更する=「追加で費用がかかる」ことはいうまでもありませんね。光の加減などで色合いは変化します。
定期的に現場へ行ってご自身の目で確認してみてください。

4.オフィスの内装にかんするよくある質問

この項ではインターネットを介して寄せられるお問い合わせ内容をまとめてみました。オフィスの内装工事について検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

Q.内装のイメージが決まっているけど相違なくできるの?
A.お客様のイメージに近づけるよう徹底して努めます。また、事前にお客様のご要望を細かくお尋ねしますので遠慮なくお申し付けください。家具の手配など、場合によっては全国から探して手配します。

Q.オフィスは社員何人に対してどのくらいの広さが必要?
A.仕事の種類にもよりますが、およそ「1人当たり3坪程度」といえます。個人のプライバシーを気にするオフィスでしたら「4~5坪程度」を考えるとよいでしょう。

Q.内装工事はどこまで無料?
A.デザインやオフィスの調査は有料ですが、ご相談とお見積もりはどこの業者も無料です。また、業者によってはレイアウトも有料となります。

Q.工事後に家具など返品はできますか?
A.申し訳ございませんが、キズや破損による不具合がない場合ですと返品はできません。
発注前の現物を見ることができますので、その際に確認してみてください。

Q.今あるオフィス家具を有効活用したいのですが可能でしょうか?
A.もちろん可能です。お客様のオフィス家具を取り入れレイアウトを作ることも多いので安心してください。

まとめ

最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございます。
オフィスの内装について駆け足で述べてきましたが、いかがでしょうか? 会社の顔であるオフィスは「企業の色」を出す絶好の舞台です。「仕事の効率」や「社員とのコミュニケーション」などを考慮し、ぜひオフィスの内装を検討してみてください。
レイアウトやデザインを決めるとき胸が躍りますよ!