給湯器の不具合の対処法は? 原因を知り危険を回避する方法

給湯器は、シャワーや炊事など365日大活躍の機器です。毎日の快適な生活に欠かせないだけに、ある日急に不具合になってお湯が出ないと本当に不便を感じます。給湯器の不具合は、突然起きることも多いものです。そんなとき、対処の方法を知っていれば、あわてることはありません。この記事では、給湯器の不具合の原因や自分でできるチェック方法から、業者に頼むべき修理や交換についても紹介します。

  1. 給湯器の不具合は、危険のサイン
  2. 給湯器の不具合、原因について
  3. 給湯器の不具合、業者を呼ぶ前にチェックすること
  4. 給湯器の不具合、修理や交換について
  5. 給湯器の不具合に関するよくある質問

この記事を読むことで、給湯器の不具合への対処方法を知ることができます。給湯器は扱い方を間違えると、故障や事故にもつながりかねません。安全かつ快適に使うためにもこの記事の内容をお役立てください。

1.給湯器の不具合は、危険のサイン

どんな不具合があるか、症状に合わせて見ていきましょう。

1-1.お湯に関する不具合

給湯器の不具合で多いのは、お湯の温度や量に関するものです。お湯の温度が安定しない・お湯がぬるい・お湯の量が少ないまたは全く出ないという場合もあります。

1-2.給湯器本体に関する不具合

給湯器から異常な音がする・煙や変なニオイが出る・炎の色がおかしいなどの不具合は、そのまま使用すると故障や事故になる恐れがあり危険です。何らかの原因で不完全燃焼を起こしている可能性があります。なるべく早く専門家に点検してもらい、不具合を改善しましょう。

2.給湯器の不具合、原因について

給湯器の不具合はどのような原因で起こるのか見てみましょう。

2-1.給湯器の寿命は10~15年

給湯器の寿命は一般的に10年~15年です。これは、メーカーが定めている、設計上の「標準使用期間」が10年であることと、補修部品の保有期間は製造打ち切り後7~11年であることが関係しています。
標準使用期間とは、通常の使用によって安全に使える期間のことです。給湯器は「長期使用製品」に定められているため、安全に使用できるように標準使用期間には法定点検が義務付けられています。点検期間の10年を超えると、経年劣化や部品の摩耗などにより、故障や事故が発生することが増えるでしょう。
部品の交換や修理の際、補修部品の保有期間を過ぎていると、部品が手に入らず修理ができない可能性があります。こうした理由により、給湯器の寿命は10~15年といわれているのです。

2-2.寿命が近づいた症状と原因

給湯器は寿命が近くなると、音が大きくなったりお湯の温度が安定しなかったりと、不具合が目立つようになっていきます。標準使用期間を過ぎて頻繁に不具合が起きるような場合は寿命のサインと考えてもいいでしょう。特に以下のような症状が現れたら、交換や修理をおすすめします。

  • お湯を出すときに「ボン」と大きな音がする:ガスが正常に燃えていない可能性がある
  • 給湯器から黒い煙が出る:不完全燃焼を起こしている。すぐに使用を中止する
  • 異臭がする:ガスもれ・不完全燃焼など
  • 給湯温度が安定しない(お湯がぬるい):機器の劣化により火力が弱くなっている

2-3.そのほかの原因について

2-3-1.過度の負担

給湯器に過度な負担をかけると、寿命に満たなくても故障してしまうことがあります。たとえば、日常的に号数(お湯を作る能力)を超えて使用し続けたり、家庭用の給湯器を業務用に使用したりすると、機械に負荷がかかりすぎて故障してしまうでしょう。

2-3-2.天候や設置場所の影響

厳しい自然環境が寿命に影響することもあります。たとえば、気温が氷点下になる極寒の日に、配管にたまった水が凍結し、配管や機械本体が破損することがあるのです。また、暴風雨や台風による激しい雨の影響により、屋外に設置した給湯器内に雨が入り込んでしまうことがあります。着火装置がぬれると、点火や運転に支障をきたすこともあるのです。ぬれた状態を放置すると、本体の外側や内側がサビてしまうこともあるでしょう。腐食が進むと不具合の原因になります。

3.給湯器の不具合、業者を呼ぶ前にチェックすること

給湯器の不具合は、機械的な故障によるものと、簡単なチェックやメンテナンスで改善できるものがあります。業者を呼ぶ前にチェックするポイントを解説しましょう。

3-1.不具合になったらまずどうするか

給湯器の不具合で多い「お湯が出ない」状態になった場合、まず断水や停電していないかを確認しましょう。集合住宅の場合は、点検や工事のために建物全体が一時的に断水や停電していることがあります。戸建て住宅の場合も工事や落雷、凍結などの影響がないか確認が必要です。さらに、ガス・給湯器・水道の元栓が閉まっていないか、電源やスイッチが入っているかも確認しましょう。

3-2.給湯器の不具合をチェックするポイント

ガス・電気・水道の供給に問題がないのに給湯器が不具合になる場合は、以下のチェック項目を見てみましょう。

  • 着火しない→ほかのガス器具(コンロなど)が着火するか確認。着火しない場合はガスメーター(マイコンメーター)がガスを遮断している場合があるため、復帰の操作が必要
  • 自動湯はりができない・時間がかかる→水量の設定は適切か、キッチンなどほかの場所で同時にお湯を使っていないか確認。フィルターにゴミが詰まっている場合は取り除く
  • お湯の温度がぬるい→温度の設定は適切か、すべての水栓から出るお湯がぬるいのか、一部の水栓のみかを確認。浴槽の循環アダプターのフィルターにゴミや髪の毛が詰まっている場合は掃除をする
  • リモコンが動作しない→台所リモコン・浴室リモコンの両方ともスイッチが入るかどうか確認。片方だけ入らない場合はリモコンコードの断線または故障の可能性。また、本体から水もれがある場合は、器具内のろう電ブレーカーが作動している可能性がある

3-3.ガス復旧の注意点

ガスメーターは、震度5以上の揺れを感じたときや多量にガスが流れた場合などに自動的にガスを遮断します。ガスが遮断されているのにガス臭いときは、ガスもれの疑いがあるため火気は厳禁です。直ちにガス会社へ連絡してください。ガス臭くない場合は、ガスメーターの復帰を行います。復帰の仕方はガスメーターの種類によって違うため、以下を参考にしてください。

東京ガス:ガスメーターの復帰方法

4.給湯器の不具合、修理や交換について

給湯器を安全に使うためには、不具合は放置しないで早めに修理・交換することが大切です。ここでは修理や交換が必要な場合と業者選びについて解説します。

4-1.修理について

給湯器の故障は、重大な事故につながる可能性がある危険なものです。修理には専門知識が必要なため、必ず専門家に修理を依頼しましょう。ガス給湯器には、電気配線・ガス管・水道管が接続されています。点検や修理・部品の交換にはそれぞれの専門知識が必要なため、国家資格・民間資格が設けられているのです。万一自分で修理してしまうと、不法改造とみなされメーカーの保証が受けられなくなります。

4-2.交換すべき場合

設置後10~15年以上経過している給湯器は、修理ではなく交換を考えましょう。給湯器の標準使用期間である10年を超えると、経年劣化による故障が増えてきます。中には、部品の供給停止で修理不可能な場合もあるでしょう。運よく部品があって修理ができても、他の部品も経年劣化しているため、次々と修理が必要になることもあります。何度も修理をするのは費用もムダになるため、本体ごと交換したほうが賢明でしょう。

4-3.交換・修理の依頼先

給湯器の交換や修理を依頼できる業者は、「ガス会社」「給湯器メーカー」「給湯器販売業者」の3種類です。以下にそれぞれの特徴を紹介します。

  • ガス会社:東京ガスや大阪ガスなど大手ガス会社は信頼性がある。2017年からは、ガス自由化により民間企業もガスを取り扱うようになったため、業者の見極めが必要。ガス供給がメインの会社の場合、選べる機種が少ない場合もある
  • 給湯器メーカー:リンナイやパロマなどのメーカーは、自社の給湯器の機能に詳しいため安心。最新機種がそろっているが割引率は低い。メンテナンスなどのアフターサービスに弱い業者が多い
  • 給湯器販売業者:各メーカーの給湯器を取り扱っているため選択肢が広い。競合が多いため、割引率は定価の30~60%と高く、アフターサービスも手厚い業者が多い。一方、手抜き工事の業者も存在するので信頼できる業者を見極める必要がある

4-4.業者を選ぶポイント

まずはホームページでサービス内容や実績を確認します。業者の評判や口コミを調べてみるのもいいでしょう。
次に電話をかけて対応をチェックします。不具合の状況を説明して、修理や交換について丁寧にわかりやすく説明してくれるか、スピーディーに対応してくれるか、見積もりが明確かを確認しましょう。アフターサービスや保証期間が充実しているかなども忘れずにチェックします。
最後に見積もり内容について確認が必要です。本体の交換は高額な費用が必要になるので、数社から見積もりを取って金額と内容を比較して決めましょう。見積金額は、給湯器本体価格・工事費・出張費によって決まります。本体価格の割引率は業者によって違うため、よく確認しましょう。見積金額が安すぎる業者は、手抜き工事の可能性もあるため要注意です。

5.給湯器の不具合に関するよくある質問

給湯器の不具合や原因に関する質問をまとめました。

Q.設置して10年目の給湯器を使っています。最近お湯の温度が安定しません。このまま使っても大丈夫ですか?
A.給湯器の寿命が近づいているサインでしょう。急に冷水や熱いお湯が出ることもあり、やけどの危険もあります。なるべく早く業者に見てもらいましょう。

Q.給湯器から白い煙が出ます。大丈夫でしょうか?
A.外気温が低い冬場に見られる現象で、水蒸気のように自然に消えるものは心配いりません。白い煙でも異常なニオイがしたり、タバコの煙のようになかなか消えなかったりするものは点検が必要です。

Q.ガス給湯器を交換するにはどのような資格が必要でしょうか?
A.主に以下のような資格が関わってきます。扱うガスの種類や工事内容によって必要な資格が異なることを覚えておきましょう。

  • プロパンガス:液化石油ガス整備士(国家資格)
  • 都市ガス:ガス機器設置スペシャリスト(民間資格)
  • ガス管の接続:ガス可とう管接続工事監督者(民間資格)
  • 水道管の接続:給水装置工事主任技術者(国家資格)
  • 電気配線:電気工事士2種(国家資格)

Q.標準使用期間の法定点検は無料ですか?
A.いいえ、有料になります。点検技術料・出張費などで1万円弱でしょう。「無料で点検します」と急に訪問して、あとから高額な請求をする悪質な業者もいるので、注意が必要です。

Q.悪質な業者を見極めるポイントを教えてください。
A.定期点検を装った詐欺まがいの業者が存在します。以下のような業者には気をつけましょう。

  • 点検を依頼していないのに急に訪問して「無料で点検します」という
  • 点検員が「認定証」を提示しない
  • 「この地域を点検しています」「近所の人も点検しました」などと強調する

まとめ

給湯器の不具合は自分で修理することはできません。チェック項目の確認をしても改善しない場合には、専門家に点検を依頼しましょう。毎日使う大切な道具が急に使えなくなることがないよう、定期的に点検を行うことも大切です。