地震保険はなぜ必要なのか? メリット・デメリットと選ぶ際のポイント

新潟中越沖地震、熊本地震など、日本ではさまざまな地震が起きています。いつどこで起きるか分からない自然災害だからこそ、事前に地震保険に加入し備えておきたいものです。しかし、地震保険とはどのような内容なのか、どんな保険を選べばいいのか悩んでいる方は多いでしょう。

そこで、本記事では、地震保険が必要な理由や選ぶ際のポイントも解説します。

  1. 地震保険が必要な理由は?
  2. 地震保険のメリット・デメリット
  3. 地震保険を選ぶ際のポイント
  4. 地震保険に関してよくある質問

この記事を読むことで、地震保険が必要な理由やメリット・デメリットなどが分かります。気になっている方はぜひ参考にしてください。

1.地震保険が必要な理由は?

まずは、地震保険が必要な理由をチェックしておきましょう。

1-1.住宅の火災保険とセットでかけることができる

地震保険は、住宅の火災保険とセットでかけられる保険です。単体で加入できないケースがほとんどなので、必ず火災保険に付帯して契約することになります。なお、地震保険の大きな特徴は、一部の少額短期保険を除き、地震によって建物や家財に被害が出たときに補償してくれることです。地震で出た被害を補償してくれるのは地震保険しかありません。火災保険の付帯になっていても、火災保険だけでは地震の被害に対する補償はないので注意してください。

1-2.地震への備えとして大いに活用できる保険

地震への備えを万全にしておきたい方にとって、地震保険は大いに活用できる保険といえるでしょう。全国地震動予測地図2018年版によると、日本国内で今後30年のうちに震度6以上の地震い見舞われる可能性がゼロの地域はどこもありません。つまり、30年以内に震度6以上の地震が日本国内のいずれかで起きることになります。あくまで予測ではありますが、熊本地震などが起きている現状、備えとして地震保険に加入する必要性は十分にあり得るといえるでしょう。日本に住まう以上、決して地震のリスクを免れることはできません。それなら、地震保険に加入して備えを万全にしたほうがいざというときでも安心できます。

1-3.地震保険の加入率はわずか30%程度

損害保険料率算出機構の統計によると、2017年度の時点で日本全国の地震保険世帯加入率はわずか30%にとどまっている状態です。2011年3月に起きた東日本大震災前と比較して7%程度の増加傾向が見られますが、多くの人が地震保険の必要性を感じていません。その理由として、「入っている人が少ないから加入する必要がない」「保険料が高いから」などがあります。地震で建物や家財が被害にあった場合、公的制度として被災者生活再建支援制度がありますが、受け取れる支援金は最大でも300万円までです。地震保険はまとまった保険金を受け取ることができるため、自分の状況に合わせて使うことができます。

2.地震保険のメリット・デメリット

それでは、地震保険の大きなメリットとデメリットを紹介しましょう。

2-1.地震保険のメリット

地震の被害に備えられる保険は地震保険のみであることが、1番のメリットといえるでしょう。その点を踏まえた上での具体的なメリットを紹介します。

2-1-1.被災後の生活にも役立てる

基本的に、保険金の使い道は自由なので、建物の修繕費・家財の購入費・借り住まいの宿泊費・当面の生活費など必要な資金に充てることができます。地震で家に住めなくなった場合、避難所で生活するにしても必要なものを準備しなければなりません。家財を買い換えなければならない・修理が必要になった場合、費用は莫大(ばくだい)なものになるでしょう。すべての費用を賄うことができなくても、保険金が入ってくると被災者にとっては大きな安心感につながります。仮に建物が全壊してしまっても仮設住宅や賃貸住宅の住み替えにかかる費用を建て替えることができるのです。

2-1-2.住宅ローンの当面の返済資金になる

地震保険のメリットとして、住宅ローンの当面の返済資金になる点があります。住宅ローンが残っている建物が全壊しても、ローンだけを払い続けなければなりません。避難生活に必要な資金も足りないのに、ローンを払い続けるのはとても困難でしょう。しかし、地震保険に加入すれば、住宅ローンの返済に充てることができます。負担の軽減につながるのは大きなメリットと言えるでしょう。

2-1-3.大震災でも迅速に支払いができる

ここ最近の日本では、東日本大震災や熊本地震など大震災が発生しています。現在でも大震災の影響を受けている方が多く、資金の悩みを抱えている人もいるのです。建物にもたくさんの被害が出されたため、多くの地震保険が申請されましたが、地震保険の保険金は迅速に支払われました。どんなに大きな被害が受けても迅速に支払ってくれるのは、地震保険ならではのメリットといえるでしょう。

2-2.地震保険のデメリット

それでは、地震保険のデメリットも解説します。

2-2-1.火災保険とセットでなければ加入できない

地震保険の大きなデメリットは、火災保険とセットでなければ加入できない点です。前述したように、地震保険だけに加入するということはできません。火災保険に加入していることが前提となっているため、火災保険にかかる保険料も支払う必要があります。そのため、「地震保険は保険料が高い」というイメージがついてしまっているのです。

2-2-2.火災保険の保険金半分までが最高保障額

火災保険で契約できる保険金額は、火災保険の保険金額30~50%が範囲内と決められています。そのため、最大でも火災保険の半分までしか補償されないことになるのです。たとえば、火災保険の保障額が最高で2,000万円の場合、地震保険の最高保障額は600万~1,000万円の間で設定されることになります。つまり、大元の火災保険の金額をしっかり確認した上で地震保険に加入することが大切なポイントです。また、地震保険の保険金額には建物は5,000万円までという上限設定があるため、事前にチェックしておきましょう。

2-2-3.保険金支払額は時価で計算

地震保険の保険金支払額は、時価で計算されます。火災保険と地震保険に加入したときから年数が経過している場合、時価が下がっている可能性があるでしょう。時価が下がっている建物に対する補償は、全損したとしても契約した保険金額の全額にはならないので注意が必要です。また、4段階の損害区分が設定されており、その区分に合わせて保障額が決まります。

全損~地震保険の契約金額の100%が支払われるケース

  • 土台や柱、壁、屋根などの主要構造部の損害額が時価の50%以上
  • 焼失もしくは流失してしまった部分の床面積がその建物の延べ床面積の70%以上
  • 損害額がその家財の時価の80%以上

大半損~地震保険の契約金額の60%が支払われるケース

  • 土台や柱、壁、屋根などの主要構造部の損害額が時価の40%以上50%未満
  • 焼失もしくは流失してしまった部分の床面積がその建物の延べ床面積の50%以上70%未満
  • 損害額がその家財の時価の60%以上80%未満

小半損~地震保険の契約金額の30%が支払われるケース

  • 土台や柱、壁、屋根などの主要構造部の損害額が時価の20%以上40%未満
  • 焼失もしくは流失してしまった部分の床面積がその建物の延べ床面積の20%以上50%未満
  • 損害額がその家財の時価の30%以上60%未満

一部損~地震保険の契約金額の5%が支払われるケース

  • 土台や柱、壁、屋根などの主要構造部の損害額が時価の3%以上20%未満
  • 建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmを超える浸水を受けて損害が生じたときに全損・半損に至らない場合
  • 損害額がその家財の時価の10%以上30%未満

3.地震保険を選ぶ際のポイント

ここでは、地震保険を選ぶ際に押さえておきたいポイントを解説します。

3-1.地震保険の割引制度

地震保険には、割引制度が設けられていることをご存じのでしょうか。実は、建築年割引・耐震等級割引・免震建築物割引・耐震診断割引という4つの割引制度があります。制度を活用することで、保険対象となる建築物の条件に応じて10~50%の保険料割引を受けることができるのです。それぞれの割引制度の特徴は以下のとおりとなります。

  • 建築年割引:1981年6月以降に新築された建物である場合、10%の割引が適用される
  • 耐震等級割引:耐震等級の条件を満たしていれば、等級に応じて10・30・50%いずれかの割引が適用される
  • 免震建築物割引:法律で決まっている免震建築物の基準に合致していたとき、50%の割引が適用される
  • 耐震診断割引:建築基準法で定められた耐震基準を満たした場合、10%の割引が適用される

3-2.住宅の種類に合っているか

持ち家・賃貸物件、一戸建て・マンションなど住宅の種類に応じて適切な地震保険かどうか考えることも大切なポイントです。たとえば、持ち家の場合、すでにローンを完済した人や十分な貯蓄が準備できている人以外は、建物と家財両方の地震保険に加入することをおすすめします。賃貸住宅の場合、建物自体は入居者のものではないため、地震保険に加入する必要がありません。しかし、家財は入居者個人の所有物となるため、地震で被害を受けた場合のために家財だけの地震保険に入ることをおすすめします。現在の住まいを考えた上で、地震保険に入るべきか考えてください。

4.地震保険に関してよくある質問

地震保険に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.地震保険に入ったほうがいいケースは?
A.住宅ローンの残債が多い・被災したときにその後の収入が途絶える可能性が高い・預貯金など資金が少ないケースは、地震保険に加入したほうがいいでしょう。たとえば、自宅兼店舗として家族で飲食店を経営している場合、建物が全壊してしまうと収入源も失ってしまいます。勤めていてほかの地域で転勤して給与を得られる可能性がある人とは事情が違うのです。ただし、住宅ローンの残債が減ってきたら、地震保険の見直しが必要でしょう。

Q.割引制度は複数適用できるのか?
A.4つの割引制度がありますが、複数の割引制度を適用することはできません。複数の制度に該当する場合は、最も割引率の高い制度が適用されることになります。また、2007年1月より地震災害による損失に備え、自助努力を促す目的で、地震保険料控除が設けたれました。よって、地震保険に加入すれば、所得税で最高5万円、住民税で最高2万5,000円の控除を受けられるようになったのです。

Q.地震保険の補償対象となるものは?
A.建物と家財が主な補償対象となりますが、損害調査を行うことになります。損害調査は住宅の柱・梁・屋根・基礎などの主要構造部に着目し、壊れ具合をカウントするものです。そこで、全損・大半損・小半損・一部損のいずれかに認定し該当する保険金が支払われることになります。あくまで地震保険制度の目的は、被災者の生活安定に寄与することなので、速やかに保険金を支給し今後の見通しを立てやすくするためです。だからこそ、査定の仕方は多少大ざっぱなようにも見えるでしょう。

Q.分譲マンションの地震保険の考え方は?
A.専有部分と共有部分の2つに分けて考えるのがポイントとなります。被災したときは生活を立て直すための費用を負担しながら住宅ローンを支払い続けていかなければならないため、建物の専有部分は地震保険に加入しておきたいところです。一方、共有部分は管理会社や管理組合のものなので、地震保険に加入するかどうかは管理組合の決議によって決められます。

Q.再保険制度とは?
A.政府が関与することで、国民に対し低廉な保険料で安定的に地震保険を提供します。地震リスクが持つ特性によって、民間の損害保険会社のみで地震保険制度を運営することは困難です。そのため、再保険制度を通して政府が関与し、早急に地震保険の保険金を国民へ提供することができます。

まとめ

地震保険は、地震に対する備えの中でも大いに活用できる制度です。火災保険に加入することが前提となりますが、いざというときには安心して生活するための資金源になるでしょう。ただし、地震保険は補償される損害・保険の対象・保険金額・保険の支払いなどが異なるため、事前に確認することが大切です。自分の住まいの状況を考えた上で地震保険が必要かどうか、家族で話し合うといいでしょう。