給湯器の不完全燃焼はどのような症状? 原因や対処法をチェック!

給湯器からガスのにおいがするときは、不完全燃焼の可能性があります。「ガスのにおいがしているけど大丈夫」と思わないようにしてください。不完全燃焼を放置すると、一酸化炭素中毒になり、命に関わる危険があります。では、不完全燃焼の疑いがある場合、どのように対処すればいいのでしょうか。

本記事では、給湯器における不完全燃焼の対処法を解説します。

  1. 給湯器の不完全燃焼は危険!
  2. 給湯器の不完全燃焼の原因は?
  3. 給湯器の不完全燃焼の症状と異常は?
  4. 給湯器が不完全燃焼したときの対処法
  5. 給湯器が不完全燃焼したときの修理交換は?
  6. 給湯器の不完全燃焼に関してよくある質問

この記事を読むことで、給湯器が不完全燃焼したときの症状と修理方法などが分かります。気になっている方は、ぜひチェックしてください。

1.給湯器の不完全燃焼は危険!

まずは、給湯器の不完全燃焼がどのような状況なのかチェックしておきましょう。

1-1.不完全燃焼は酸素が足りない状態で燃えること

何かを燃やすためには、酸素が必要不可欠です。けれども、酸素が足りない状態で燃え続けると不完全燃焼を起こします。よく「不完全燃焼に気をつけよう」と言われますが、不完全燃焼を起こすと一酸化炭素が発生し、さまざまな悪影響を及ぼすことになるからです。暖房器具の使用頻度が高くなる冬場は、不完全燃焼による死亡事故が増えます。

1-2.命に関わるような危険も

不完全燃焼がどれだけ危険な状態なのか、それは発生する一酸化炭素が大きく関係しています。人間の体は一酸化炭素を体内に多く取り入れると、頭がクラクラし意識障害や頭痛など異変が起きるのです。たちまち吐き気・呼吸障害など命に関わる事態へと悪化し、最悪な場合、命が奪われてしまうこともあります。実際に、給湯器による不完全燃焼で一酸化炭素中毒を起こし死亡事故に至ったケースも数多く報告されているのです。命の危険を及ぼす状況だからこそ、不完全燃焼のサインを見逃さず、すぐに対処する必要があります。

1-3.誰でも起こり得ること

「新しい給湯器に交換したから大丈夫」と安心してはいけません。給湯器の不完全燃焼は、新旧に限らずいつでも起こり得ることです。後ほど、不完全燃焼の原因を説明しますが、原因の中にはどの家庭でも心当たりのある内容も含まれています。どこでも起こり得る症状だからこそ、この機会にしっかりと給湯器の使い方などを見直してください。

2.給湯器の不完全燃焼の原因は?

それでは、なぜ不完全燃焼が起こるのでしょうか。主な原因を4つ紹介します。

2-1.機器本体の経年劣化と故障

不完全燃焼でよくある原因は、給湯器本体の経年劣化と故障です。使用頻度や使い方・熱源の違いなどで多少の差はありますが、給湯器の平均寿命は約10年と言われています。10年以上使い続けている給湯器ほど不具合が起きやすく、燃焼に必要な酸素をうまく取り入れられなくなってしまうのです。また、酸素を取り入れるための燃焼用ファンが不具合を起こし、不完全燃焼になるケースもあります。

2-2.給気口・排気口がふさがっている

給気口の前に植物や不用品などを置いていると、酸素を十分に取り込むことができず不完全燃焼を起こすことがあります。給気口と排気口は燃焼に必要な酸素を取り込み、排気を外へ逃す役目を担っているため、そこがふさがると給湯器本来の力が発揮できません。「少しだけなら置いたままにしても大丈夫」と思うのはNGです。できるだけ、給湯器周辺にはものを置かないようにしておきましょう。鳥の巣が原因になることもあるため、定期的に確認することも大切です。

2-3.給湯器設置後の増改築

家を建てて数年経過すると、増改築などのリフォームを行う家庭が増えるでしょう。しかし、この増改築が給湯器の不完全燃焼を引き起こす原因になることがあります。たとえば、塀や屋根などをつける際、給湯器の位置を見落とし、排出した空気がたまってしまうのです。その結果、空気の循環がうまくできず、不完全燃焼を起こしてしまいます。増改築を行う際は、給湯器の位置を必ず確認した上でプランを練ってください。

2-4.水漏れを放置した

給湯器本体からの水漏れを放置することで、不完全燃焼を起こす可能性があります。給湯器は設置してからも定期的な点検が必要です。水漏れに気づかずそのままにしていると、ぬれた水がバーナーにかかり、不完全燃焼を起こします。給湯器の水漏れを見つけたときは、早急の対処が必要です。

3.給湯器の不完全燃焼の症状と異常は?

早期対応が必要となる不完全燃焼に気づくためには、症状と異常の特徴を知ることが大切です。

3-1.ガスの独特なにおい

最も分かりやすい症状と言えるのが、ガスの独特なにおいでしょう。ガス給湯器を使用する際、多少のガス臭を感じるかもしれませんが、思わず口をおおってしまいそうなほどのガスのにおいは異常です。給湯器内部にホコリが詰まったり、給湯器前にものが置かれたりしていると不完全燃焼を起こし、異臭が漂います。目がしみるほどの異臭は非常に危険なので、すぐに業者またはメーカーに問い合わせましょう。

3-2.時々火が消える・炎の色が青ではない

給湯器が正常に燃焼しているか、外側から確認できる窓があります。そこをのぞいて炎の色が青色以外になっている場合は、不完全燃焼を起こしている可能性が高いでしょう。燃焼しているときの正常な炎の色は青色ですが、不完全燃焼を起こしているときの色は黄色になります。赤よりも青のほうが高温になっている証拠なので、赤に近い色は酸素が足りていません。また、時々火が消え、お湯の温度が安定しないときも不完全燃焼のサインです。

3-3.黒い煙が出ている

ガスの嫌なにおいと共に黒い煙が給湯器から出ている場合は、不完全燃焼を起こしている可能性が高い状態です。黒い煙が出るとパニックになりがちですが、水をかけたり自分で対処したりしようとはせずに、すぐにガス機器の使用を停止しメーカーまたは業者に連絡してください。

4.給湯器が不完全燃焼したときの対処法

ここでは、給湯器が不完全燃焼したときの適切な対処法を解説します。

4-1.不完全燃焼防止装置の稼働を確認する

平成20年4月以降に製造された瞬間湯沸かし器は、3回連続で作動すると点火できなくなるインターロック(再使用禁止機能)が搭載されています。そのため、不完全燃焼が起きたときに、機器内にあるセンサーが温度を測定し、給湯器を自動的に停止させることができるのです。不完全燃焼防止装置がついている場合は、きちんと作動しているか確認しましょう。

4-2.換気しメーカーまたは業者に相談する

ガスの異常なにおいに気づいたら、すぐに室内の窓を開けて換気しましょう。一酸化炭素中毒を防ぐためには換気が1番です。そして、すぐにメーカーまたは修理業者に点検を依頼してください。煙や異臭が発生したときは、そのまま放置してはいけません。ささいな異変でも「大丈夫だろう」と思わずに、専門業者に相談するのが1番の対策です。

4-3.自分で修理するのは危険

修理費用を節約するために、自分で対処しようとしないでください。ガス給湯器はガスを使用しているため、下手に修理すると火災や爆発の危険があります。特に、ガスを供給している管をむやみに扱わないようにしましょう。自分で下手に修理することで余計な箇所まで傷つけてしまい、修理費用がさらに高くなる恐れがあります。ガス給湯器の修理は、業者に任せてください。

5.給湯器が不完全燃焼したときの修理交換は?

給湯器が不完全燃焼を起こしたときの修理・交換方法などについて解説します。

5-1.修理か交換か迷ったときは使用年数を考える

故障内容によって修理できるか、交換になるか選択肢を迫られると思いますが、判断に迷ったときにぜひ参考にしてほしいのが使用年数です。前述したように、給湯器の平均寿命は約10年と言われているため、年数が近づくほど不具合や故障が起きやすくなります。10年以上使用している場合は、新しい機器に交換したほうがコストパフォーマンス的にもいい判断でしょう。まだ使い始めたばかりで修理費用のほうが安く済むのであれば交換は必要ありません。

5-2.修理費用はおよそ1万円~

故障内容や状況にもよりますが、簡単な修理であれば1万円程度で済むケースが多いでしょう。ただし、黒い煙が出たり、水漏れが起きたりしている場合は、数万円かかる可能性があります。給湯器の基盤に関係しているため、修理費用も高くなりがちです。また、交換する場合は、工事費用と設置費用などがかかり、あわせて20万円~は見積もったほうがいいでしょう。具体的な金額に関しては、メーカーまたは業者に確認してください。

5-3.業者選びのポイントは3つ

給湯器の修理・交換業者に依頼する前に、安心して依頼できるところか確認が必要です。業者選びで特に注目しておきたいポイントは、見積もりの内容・スタッフの対応・有資格者の在籍の3つとなります。見積書の内容が細かく記載しているか、スタッフの対応が丁寧でスピーディーか、工事に関係する資格を持っているスタッフがいるか確認してください。給湯器の修理や設置に関する工事の経験が豊富な業者なら、トラブルが起きてもすぐに対応してくれます。

6.給湯器の不完全燃焼に関してよくある質問

給湯器の不完全燃焼に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.不完全燃焼を起こしたとき、再点火をしてもいいのか?
A.絶対に再点火をしてはいけません。基本的に、不完全燃焼の疑いがあるときは、すぐにガス給湯器の使用を停止します。そのまま使い続けると一酸化炭素が発生するからです。また、何度も再点火をしてしまうと、機器内部にガスが充満します。その結果、異常着火となり機器が変形することもあるのです。自動的にストップする防止機能がついていればいいのですが、搭載していない給湯器の場合は何度も再点火できるため、ご自身で気をつけておきましょう。

Q.給湯器を設置したばかりなのににおいがするのはなぜ?
A.給湯器の組み立て時に使用する機械油が関係している可能性があります。機械油が燃焼時に混ざることで異臭を発生させる場合があるのです。また、コゲ臭いにおいがする場合は不完全燃焼、酸っぱいにおいがする場合は給湯器自体の不具合が関係しています。ガスではない異臭がする場合も、なるべく早めにメーカーまたは修理業者に相談してください。

Q.給湯器の異臭が続く際の注意点は?
A.異臭と同時に、ガス漏れや煙が出ている場合は、不完全燃焼のサインの中でも非常に危険な状態です。異臭が続くときは、すぐに給湯器の使用を停止してください。悪臭が続く場合は、給湯器のガス栓を閉めておきましょう。それでもにおいが強いときは、ガス会社などに相談してください。

Q.新しい給湯器へ交換する際のポイントは?
A.メーカー・機能・容量など押さえておきたいポイントはたくさんありますが、不完全燃焼を防止するために安全装置付きの給湯器へ交換することをおすすめします。特に、古い給湯器や瞬間湯沸かし器は、不完全燃焼防止装置がついていません。また、屋内式の給湯器を使用している場合は、屋外式への給湯器へ交換するといいでしょう。外に設置することでいつでも新鮮な空気を取り込むことができ、屋外へ排気できます。

Q.修理にどのくらい時間がかかるのか?
A.故障内容で異なりますが、簡単な修理であれば数時間で済むケースがほとんどです。新しい給湯器へ交換する際も1日で済むでしょう。ただし、給湯器本体がすぐに取り寄せできない場合は、1週間程度かかる可能性もあります。給湯器が届かないうちはお湯が使えなくなるため、その期間の対処法も考えておかなければなりません。

まとめ

給湯器からガスのにおいがする・炎の色が青ではない・黒い煙が出ている・時々火が消えるなどの症状は、不完全燃焼の可能性があります。給湯器が不完全燃焼を起こす原因はさまざまですが、すぐに対処することが大切です。そのまま放置すると一酸化炭素中毒につながり、命に関わる危険があります。少しでも当てはまる症状が見られた際は、早めに給湯器修理・交換業者に依頼しましょう。また、未然に防ぐためには、定期的な点検が必要不可欠です。