外壁のコケ掃除で押さえておきたいポイント〜原因や放置するリスク〜

外壁にコケができると見た目が悪くなるだけでなく、家全体に悪影響を及ぼすことになり兼ねません。最初はコケの量が少なくても、いつの間にかどんどん広がってしまいます。しかし、どうやってコケを取り除けばいいのか掃除方法が分からずに悩んでいる方は多いでしょう。

そこで、本記事では、外壁のコケを掃除する方法や予防策などについて解説します。

  1. コケが発生しやすい場所と発生原因は?
  2. 外壁のコケを放置するリスク
  3. 外壁のコケを掃除する方法
  4. 外壁のコケを予防する方法
  5. 外壁のコケに関してよくある質問

この記事を読むことで、外壁についたコケ掃除のポイントやコケの発生原因などが分かります。気になっている方はぜひチェックしてください。

1.コケが発生しやすい場所と発生原因は?

まずは、コケが発生しやすい場所と発生原因をチェックしましょう。

1-1.水や汚れがたまりやすい場所

コケが発生しやすい場所は、水や汚れがたまりやすい傾向があります。河川敷・池・用水路・森林・田畑が近くにある立地ほどコケが生えやすいので注意が必要です。放置しているといつの間にかコケが外壁をおおっていたという事態になるでしょう。また、水や汚れがたまりやすいところほどカビが発生し、外壁の劣化をさらに進めてしまいます。降水量が多い地域や汚れやすい立地に家がある場合は、積極的にコケ・カビ対策をすべきです。

1-2.直射日光が当たらない日陰

すべての外壁に直射日光が当たるというわけではありません。外壁にコケが生える原因には、風とおしが悪い・直射日光が当たらないという点もあります。直射日光も風も当たらない日陰などはコケが生えやすいところなので注意が必要です。風がなければ湿度が上がってしまい、カビが生えやすい環境になってしまいます。コケは直射日光を嫌がる性質を持っているため、太陽の光が当たる場所よりも当たらない場所に発生しやすいのです。現在、どこにコケが生えているのか状況をチェックするといいでしょう。

1-3.外壁のデザインや種類によってもコケが生えやすい

外壁にコケが生える原因として、外壁のデザインや種類が関係しているケースもあります。たとえば、表面がザラザラとしている外壁デザインの場合、そこに水がたまってしまい、コケが繁殖しやすくなるというわけです。逆に、平らでつるつるしている外壁デザインなら水もたまらないので、コケも付着しにくくなります。コケが生えにくい外壁デザインにすることで、繁殖を未然に防ぐことができるでしょう。

2.外壁のコケを放置するリスク

外壁のコケを放置すると、どんなリスクが発生するのでしょうか。

2-1.健康被害が生じる

外壁にうっすらと付着しているコケでも、住んでいる人たちの健康に害を及ぼす危険があります。拭き掃除で簡単に落ちるのは表面のコケですが、コケの胞子が空気中に飛び散る可能性があるでしょう。胞子をまくことでコケがどんどん増えることになります。そのため、家のそばにコケがあると屋内にコケの胞子が入りやすい状況といっても過言ではありません。常に、コケの胞子が飛んでいる空気を吸い込んでしまうことになります。コケはアレルギー性皮膚炎誘発物質になることが研究で証明されているため、十分に注意しなければなりません。

2-2.壁に根を張ると建材がもろくなる

コケは健康被害だけでなく、建物にも悪影響を及ぼす危険があります。菌類であるコケは絶好の環境がそろうとどんどん壁に根を張り繁殖する点が特徴です。コケが外壁にずっと付着していると中性化現象が起こります。中性化現象とは酸性とアルカリ性という相反する性質同士のものが反応し合って起きる現象のことです。その結果、外壁の性質が変わってしまい、もろく崩れやすくなってしまいます。手で触っただけでボロボロと剝がれる状態になるので、早めの補修が必要です。

2-3.水分がたまると躯体(くたい)がダメになってしまう

外壁のコケを放置すると最終的にもっさりと山のようにコケが盛り上がり大繁殖することになります。コケの根は水分を含んでいるため、外壁に根づいてしまうと外壁の内部が常に水をためこんでいる状態になってしまうのです。たとえば、お風呂に入ると皮膚がふやけてしまいますよね。それと同じ現象が外壁の内部で起こっていると思ってください。外壁の内部が湿ったままになってしまうと、家屋全体を支える躯体がダメになってしまい、大規模な修繕工事が必要となり、工事費用が高額になるリスクも大きくなるでしょう。できるだけ、修繕工事費用を抑えたい方は、早めに修繕することが大切です。

3.外壁のコケを掃除する方法

それでは、外壁のコケをどのように取り除けばいいのでしょうか。主な掃除方法を解説します。

3-1.家庭用外壁洗浄剤でコケを落とす

軽度のコケなら自分で取り除くことができます。コケが付着したばかりなら、水で濡(ぬ)らし固くしぼった雑巾を使って簡単に除去できるでしょう。水拭きで落ちない場合は、家庭用外壁洗浄剤を使った掃除方法がおすすめです。家庭用外壁洗浄剤はカビやコケ・黒ずみなどの除去および再発防止のために開発されたクリーナーで、ホームセンター等で簡単に購入できます。家庭用外壁洗浄剤のほかに、ホース・バケツ・高所用ブラシとスポンジ・雑巾を用意し、以下の手順で掃除してください。

  1. ホースである程度の汚れを洗い流す
  2. 家庭用外壁洗浄剤をスプレーした後、24時間そのまま放置する
  3. 洗浄剤が壁面に残らないように、しっかりと水で洗い流す
  4. 汚れが気になる箇所を高所用ブラシ・スポンジを使って落とし、雑巾で軽く拭き取る

3-2.家庭用高圧洗浄機でコケを落とす

家庭用高圧洗浄機でコケを落とす方法もあります。高圧洗浄は重度のコケも落とすことができると思われがちですが、軽度なコケのみ有効です。また、高圧洗浄機は使い方が難しいものもあるので、不安な方は安易に使用しないほうがいいでしょう。高圧洗浄機を使用する場合は、以下の手順を参考にしてください。

  1. 水道栓と高圧洗浄機をホースでつなげる
  2. 水道栓を開けて電源をつける
  3. トリガーを引いて壁面に水をあてる

また、高圧洗浄機を使用する際は、外壁自体を傷めてしまうことがあるので、一定の場所に当て続けないように注意してください。強固にこびりついたコケは家庭用高圧洗浄機で落ちない場合もあるため、その場合は業者に依頼しましょう。

3-3.自分で除去できるのは軽度のコケ

コケを掃除する際に気をつけてほしいのは、自分で除去できるのは軽度のコケだけということです。低い位置でついたばかりのコケなら、簡単に落とすことができるでしょう。ただし、重度のコケは家庭用のコケ洗浄剤や高圧洗浄機では落ちない傾向があります。強くこすってしまうと外壁自体を傷める恐れがあるので注意してください。また、軽度のコケでも作業が難しい高所に生えている場合は業者に依頼したほうがいいでしょう。柄の長いロングモップを使って掃除もできますが、ロングモップや高圧洗浄の水が届かない高所は無理をせず業者に依頼してください。

4.外壁のコケを予防する方法

外壁のコケを掃除した後は、予防することが大切です。主なコケの予防策をいくつか紹介します。

4-1.コケ予防ができる日々のお手入れ

コケは日々のお手入れで予防できます。たとえば、月に1回程度、やわらかいタオルにお湯を含ませて外壁のコケを拭き取る方法です。コケやカビは熱湯に弱い特徴があるため、45℃以上のお湯で死滅させることができます。コケが気になったときやお手入れとして、外壁についた汚れを拭き取りましょう。また、お酢を使うのも予防策の1つです。お酢を使った予防策は以下の手順を参考にしてください。

  1. お酢を水道水で3~20倍に薄める
  2. 刷毛(はけ)や柔らかいタオル等を使って外壁に塗布する

お酢は予防に使うだけでなく、コケや藻(も)が生えているときにも有効です。お酢はどの家庭にもあると思うので、ぜひ試してください。

4-2.光触媒塗料または防藻・防カビ材入りの塗料を使う

カビを予防するには、光触媒塗料または防藻・防カビ材入りの塗料を使う方法もあります。光触媒塗料はセルフクリーニング機能を持っているため、太陽光を浴びることで付着したコケの胞子を浮かせてくれる点がメリットです。雨が降ると雨水とともに汚れも流れるので、長く美観を保ち続けることができるでしょう。一方、防藻・防カビ材入りの塗料は、添加剤としてコケやカビを防ぐ薬品が含まれています。コケやカビが発生しにくい樹脂配合を採用している塗料もあり、塗布した面に満遍なく効果が期待できるでしょう。

4-3.外壁まわりの風とおしをよくする

日当たりや風とおしが悪い場所が気になる場合は、植物の種類や位置を整えることで風とおしをよくする方法があります。家のまわりを取り囲む植木や雑草がゴチャゴチャしていると風とおしが悪くなり、コケの胞子がすぐに飛んできてしまうでしょう。そのため、雑草はこまめに除去したり、除草剤をまいて草を生えにくくしたり、定期的に剪定(せんてい)して壁にくっつかないように整えたりするなどです。「たったこれだけで良くなるの?」と思うかもしれませんが、外壁まわりの環境は大きく変わります。

5.外壁のコケに関してよくある質問

外壁のコケに関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.コケが発生しやすい外壁材は?
A.モルタル壁・リシン壁・ALC壁・窯業系サイディングの4つはコケが発生しやすい傾向があります。どれも水や汚れが残りやすい性質になっているため、コケだけでなくカビも生える可能性が高めです。1度生えてしまえば次々とコケが増えてしまうので注意してください。また、コケが発生しやすい立地で暮らしているのにもかかわらず、生えやすい外壁材を利用するのもNGです。自分の家がどんな外壁材を使っているか分からない場合は、施工業者に相談するといいでしょう。

Q.自分でコケを掃除する際の注意点は?
A.NGの掃除方法は、タワシやブラシでごしごしこすることです。しつこいコケや汚れを落とすために、硬めのブラシやタワシでこすり最後にホースで洗い流す方がいますが、逆効果になってしまいます。外壁の塗膜を削ってしまい、さらに外壁の劣化が進行してしまうでしょう。また、外壁専用ではない洗浄剤を使うのもNGです。家庭用だとしても外壁専用以外のものは使わないようにしましょう。さらに、外壁の種類によっては使用不可能な洗剤もあります。自分で判断できない場合は、業者に相談してください。

Q.業者選びのポイントは?
A.外壁のコケ掃除を業者に依頼する場合、どの業者に依頼すべきか迷いがちです。業者選びの際は、以下のポイントに注目して複数の業者を比較してください。

  • 外壁清掃や修繕工事に長けているか
  • スタッフの対応が丁寧でスピーディーか
  • どのような掃除を行うか分かりやすく説明してくれるか
  • 無料相談や無料見積もりを行っているか
  • 見積書の内容が具体的に記載されているか
  • 口コミや評判がいいか

Q.コケ掃除を業者に依頼するメリットとデメリットは?
A.大きなメリットは、家庭では再現できない掃除ができることです。業務用高圧洗浄機や専用の洗剤を使うことで、素人では落とせない重度のコケを落とすことができるでしょう。また、2階部分の壁面といった手の届かない場所もきれいに洗浄可能です。洗浄の際には、周囲に汚れや洗剤が飛び散らないように養生シートでしっかりとガードしてくれるのも大きなメリットとなります。手間と時間をかけることなく外壁がきれいにできるというわけです。ただし、自分で洗浄するよりもコストがかかる・足場を組むなど敷地内にさまざまな業者が出入りする点がデメリットとなります。

Q.コケ掃除にいくらぐらいかかるのか?
A.コケの状態や範囲などによって異なりますが、1㎡あたり200~250円程度が目安となります。日本の戸建て住宅は140㎡が平均になっているため、約30,000~35,000円が相場でしょう。あくまで目安なので、もっと高額になることもあります。具体的な費用を知りたい方は、業者に無料見積もりを依頼してください。

まとめ

外壁のコケを放置すると、外壁や建物の劣化が進行するだけでなく、健康被害が起こるリスクが高まります。安心して生活するには、早めにコケを除去することが大切です。軽度のコケなら自分で拭き取ることもできますが、重度なコケはなかなか落とせません。無理に自分で掃除せず、専門業者に依頼したほうがいいでしょう。手間と時間をかけずに、すぐ外壁がきれいになります。