土地の境界線を巡るトラブルは? 予防法とともに紹介します!

土地の売買をしたり家を建てたりする際、よく聞かれるのが「境界線のトラブル」です。境界線とは、自分の土地と人の土地との境目のこと。特に、住宅密集地では境界線が複雑に入り組んでいる場合も少なくありません。

そこで、今回は境界線のトラブルを防ぐ方法をご紹介します。古い住宅地の場合は、土地の境界線があいまいな場合が多いです。ご近所トラブルを避けたい気持ちも分かりますが、はっきりさせておかないと土地を売買する際にもめることも多いでしょう。土地を売買したいという方は、この記事を読んでもう一度境界線を確認してみてください。

1.なぜ、境界線トラブルは起こるのか?

まず始めに、なぜ境界線トラブルが起こるのか、その理由をご紹介していきます。先祖代々の土地だからといっても、安心できませんよ。

1-1.住宅が密集しているところほどトラブルは起こりやすい

境界線のトラブルは住宅密集地ほど起こりやすいです。都市部に住んでいる方なら想像できると思いますが、隣家との距離がほとんどないところも珍しくありません。ですから、フェンスや塀を作るにも話し合いが必要です。また、勝手に境界線上にフェンスや塀を作ってしまいトラブルになることもあります。

1-2.土地の境界線があいまいなところは少なくない

古くからの住宅地の場合は、土地の境界線があいまいなところも少なくありません。登記簿に記録されていた土地の境界線と、実際に塀やフェンスで隣家と区切られている場所が違うというケースも珍しくないのです。ですから、片方の土地が売りに出されて改めて測量した結果、トラブルになることもあるでしょう。

ある日いきなり「この土地の境界線はここだから、今すぐフェンスや塀を壊してください」といわれる可能性もあるのです。さらに、古くから所有している土地の場合は正確に測量すらされていないこともあるでしょう。ですから、改めて測り直した結果境界線がずれていて、隣人とトラブルになったという例もあります。

1-3.悪意を持って土地をかすめ取る人もいる

土地の境界線というのは、皆様が思っている以上に重要です。たとえ数十センチずれても間口が狭くなったり、建ぺい率が変わったりするかもしれません。中にはそれを利用して、わざと土地をかすめ取ろうと画策する人もいます。塀やフェンスなどを作る際にうまくいいくるめられて土地の境界線をずらされたという例もあるのです。

一度境界線に塀やフェンスなどを作ってしまうと、取り壊すのが大変。取り壊しや再建築の費用をどちらが負担するかでもめることもあるでしょう。さらに、土地には占有権というものがあります。他人が土地を勝手に占有しているのを知りながら、20年以上何の行動も起こさない場合は、占有者に土地の権利が移ってしまうのです。ですから、隣家との境に塀などを作る際は、きちんと測量をしてから行いましょう。

1-4.不動産業者を信じすぎるのも問題?

土地を売買する際、多くの方が不動産業者を仲介して物件を購入します。不動産業者の多くが真面目に仕事に取り組んでいますが、中にはいい加減な業者もいるのです。そのような業者は土地が売れればいいわけですから、測量を行ったり登記簿と実際の土地の広さを比べたりはしないでしょう。ですから、他人の土地の一部を高いお金を払って買わされることもあります。

特に、人気の場所にある土地は、持ち主が次々と変わることもあるでしょう。ですから、いつの間にか土地の境界線がずれても気がつかないこともあるのです。

2.土地の境界線トラブルがこじれると……?

土地の境界線トラブルは、隣人トラブルでもあります。土地がらみのトラブルだと、どちらかが引っ越すことも難しいでしょう。ですから、境界線トラブルがうまく解決しないと、そのままご近所トラブルに移行することも珍しくありません。

中には、ひどいいやがらせを何年にもわたって受け続けたというケースもあるのです。ですから、境界線トラブルは早いうちに法律や不動産の専門家に介入してもらい、双方が納得する形で終息させるように努力することが大切になります。

3.境界線のトラブルを防ぐ方法は?

では、どうすれば境界線のトラブルを防げるのでしょうか?この項では、その方法の一例をご紹介します。

3-1.土地を買うときは必ず測量をする

土地を買うときは、登記簿を確認します。しかし、登記簿に記載されている土地の面積と、実際の土地の面積が違うことは珍しくありません。ですから、売買契約書にハンコを押す前に、土地家屋調査士に測量を依頼しましょう。

インターネットを検索すれば、引き受けてくれる調査士はすぐに見つかります。測量をしてみて、あまりにも登記簿と実際の土地の広さや境界線が異なるのなら、その土地は買わない方がよいでしょう。

3-2.境界線にフェンスや塀を建てるときも測量してもらおう

隣家との境界線にフェンスや土地を作る場合は、しっかりと話し合いをしましょう。「どちらの土地へ、どのくらいの高さや素材の塀を作るのか」と確認することが大切です。

また、境界線上ぴったりに塀やフェンスを作る場合は、両家が費用を折半することもあるでしょう。この場合は、最初の費用だけではなく修理やリフォームのたびに話し合いが必要です。ですから、あまり隣家とのつきあいがないという場合は、境界線上ぴったりに塀を作ることはお勧めできません。

3-3.トラブルになったら法律家の手を借りよう

境界線のトラブルが起こったら、当事者同士での話し合いではなかなか解決しません。特に、感情的になってしまうとこじれる一方でしょう。ですから、トラブルの火種が小さいうちに弁護士などの法律家に解決を依頼してください。

3-4.占有にはすぐに対処しよう

人によっては、分かっていて境界線をずらしてくるケースもあります。無用のトラブルを避けたい気持ちも分かりますが、占有を放っておくとやがて所有権が移ってしまうのです。ですから、占有していると分かった時点で法律家の手を借りるなどして対処してください。

対処したという実績があれば所有権が移ることもありません。また、相手がごねたりいやがらせをしてきたりした場合は、記録を取って警察に相談しましょう。

おわりに

今回は土地の境界を巡るトラブルを防止する方法についてご説明しました。

まとめると

  • 土地の境界はあいまいになりやすい。
  • 登記簿と実際の土地の境界がずれていることも珍しくない。
  • 土地を買う前に土地家屋調査士に測量を依頼しよう。
  • 境界線の問題はご近所トラブルに発展することもある。

ということです。

ご近所とトラブルになりたくないという気持ちもわかりますが、占有などを許しておいてはいけません。また、土地を売買する際は、きちんと土地家屋調査士に測量してもらいましょう。「土地を売りたいが、境界線の一部に隣家が建物を建てている」という場合は、まず土地を返してもらわなければなりません。ですから、隣家と自分の家の境にものを作る際も、土地家屋診断士に依頼して測量してもらいましょう。そうすれば、隣家の敷地内にスムーズにものを作ってもらえます。隣家が「このようなものを境界線上に作りたい」と申し出たときは、図面などを提出してもらってください。