外断熱と内断熱はどっちがいい? それぞれの特徴や性能を比較

快適な住まいを実現するための条件のひとつに、温熱環境があります。そのためには、適切な断熱をしっかりと行う必要があるのですが、壁の中で目につかないことから、あまり重視されていないのが現実です。断熱法には、外断熱と内断熱があります。ここでは、それぞれの特徴を比較しながらお伝えしていきましょう。

1.住宅における断熱の重要性

1-1.断熱とは

室内の環境を一定に保つためには、外の気象条件による影響を少なくする必要があります。特に、壁や屋根、床から伝わってくる影響を可能な限り抑えなければなりません。このような熱の流れを遮断することを「断熱」といいます。
断熱の方法には、外側に断熱材を張ることで熱を外から中に伝えにくくする「外断熱」と、断熱材を内側に張る「内断熱」の2種類あることを知っておきましょう。外断熱では、構造体の外側にパネルタイプなどの断熱材を入れます。それにより外側全体を覆うようにするのです。いっぽう、内断熱では構造の空間部分にグラスウールなどの断熱材を詰めます。この場合は、裏から家全体を包み込むようなイメージだと考えてよいでしょう。

1-2.家の断熱基準について

日本の住宅に求められているものは、年々変化してきています。これまで重視されてきた耐震性に加え、住宅の省エネ化も進んできているのが特徴的です。
そして、2020年には断熱性にすぐれた住宅の義務化が控えています。つまり、断熱性能のよくない住宅を新築できなくなるということです。それ以降も、エネルギーの消費が少なくてすむ家を建てなければならなくなることが決まっています。
日本ではこれまで、エネルギーに注目した住宅づくりを積極的に行ってきていませんでした。ですから、住宅の断熱性能といってもピンとこない人が多いのではないでしょうか。しかし、高齢化社会に向けても住宅の断熱性は非常に重要な役割を担うと考えられています。ある研究では、断熱性能と健康に密接な関係があるという結果がでているほどです。

1-3.断熱性能を向上させると

これまでの日本の住宅では、家の中でも「冬は寒く、夏は暑い」というのが当たり前でした。ある程度の寒さや暑さは、我慢するものだと思って過ごしている人がほとんどではないでしょうか。
それは、日本の住宅では断熱性能の必要性が認識されていなかったことをあらわしています。省エネという言葉が浸透していたものの、義務化でなかったことが大きく影響していたのかもしれません。そのせいか、海外に比べて日本では気候変化に関係する家庭内事故の発生が多くなっています。
しかし、今後は断熱性能が義務化され、一定の水準を保たない新築住宅を建てられなくなるのです。つまり、これまでのように寒さや暑さを我慢しなくてよい家が基本となっていきます。
このような断熱性の向上は、光熱費にも影響してくるでしょう。快適さだけでなく、毎月の光熱費も改善されるというわけです。新築やリフォーム時には、継続的に支払う必要のある光熱費をいかに改善できるかも大きなポイントとなります。断熱性能が高まることで、部屋の中の温度差が少なくなるでしょう。天井から床までを一定の温度になりやすくなるのです。すると、寒い冬に暖房をつけた際に、すぐに部屋全体が温まる効果が期待できます。

2.外断熱と内断熱を比較

2-1.日本と海外での断熱工法の違い

私たちが生活をしている建物には、基本的に断熱材が使われています。しかし、昔の日本の家屋では、断熱効果がほとんどないような土壁と木の柱だけでつくられていました。そのため、冷房器具がない時代でも夏は涼しく快適に過ごすことができていたのです。しかし、冬はとても寒く、隙間から風も吹き込んでくるような環境でした。そこで、囲炉裏を使って暖をとっていたのでしょう。
現在の日本では、そのようなことはありません。壁に断熱材を入れて、冬には暖かい空気を閉じ込め、夏には暑さから守るようにしたからです。このような断熱材の使い方は、日本と海外で大きく違うことをご存じでしょうか。

2-2.日本の住宅には内断熱が多い

日本では、1970年代のオイルショックの頃に省エネの考えが広まったといわれています。省エネ法が制定されたのをきっかけに断熱基準がつくられて、住宅の断熱化が進められてきました。このように、断熱材が用いられるようになったのは最近のことです。そして、日本では内断熱工法が使われてきているのが大きな特徴といえるでしょう。
その理由として、作業のしやすさがあげられます。壁の内側に断熱材を吹き付ける方法なので、雨天でも施工できることから内断熱が主流となってきました。
しかし、内断熱には問題点もあります。外断熱に比べて内断熱の建物のほうが寿命は短いというのも、問題のひとつです。

2-3.海外では断熱工法が基本

いっぽう、ドイツや北欧などでは外断熱工法が古くから取り入れてきました。建物のほとんどが外断熱工法といっても過言ではありません。そして、それらの建物は100年以上の寿命を誇っているのです。
ドイツなどの建物はコンクリート製なので、日本の木造家屋と比較はできません。しかし、コンクリートの建物で内断熱を行うと、むきだしの壁部分が季節の温度変化の影響を直に受けてしまいます。すると亀裂が起こり、そこから雨などが入り込んで劣化しやすくなってしまうのです。
ドイツや北欧でも、内断熱の建物はありました。しかし、エネルギー効率が悪いうえに結露がでる欠陥建物として扱われるようになり、徐々に減っていったのです。

3.外断熱のメリット・デメリット

3-1.熱損失が少ない

外装材の内側に断熱層をつくるため、太陽エネルギーや放射冷却の影響を受けにくい特徴があります。室内温度を保つためのエネルギーが少なくてすむため経済的です。

3-2.結露の心配が少ない

建物の外側を断熱材で包むため、室内に温度差が生じにくくなります。そのため、結露やカビが発生しにくい環境をつくることができるというメリットがあるのです。

3-3.施工できる業者が少ない

日本ではなじみのない外断熱を施工できる業者は多くありません。そのため、施工コストは高くなると考えておいたほうがよいでしょう。また、内断熱から外断熱へリフォームする工事は難しいとされています。

4.内断熱のメリット・デメリット

4-1.結露が起こりやすい

内断熱工法では、柱と柱の間に断熱材を入れます。そのため、建物が外気で冷えやすくなってしまうという問題があるのです。そして、室内外での温度差が生じてしまうので、結露が発生してしまいます。この結露が起こるのは窓だけではありません。私たちには見えない壁の中などでも発生するものなので、内断熱の大きなデメリットといえるでしょう。

4-2.空調の使用に適している

内断熱工法では、エアコンを使用した室温コントロールをする際の立ち上がりが早いとされています。つまり、適温になるまでの時間が短くすむのです。

4-3.施工コストが安い

一般的な施工法として浸透している内断熱は、ほとんどの業者が行っていますので施工コストを安く抑えられるメリットがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。外断熱と内断熱の違いをまとめておきましょう。

  • 外側に断熱材を張ることで熱を外から中に伝えにくくする「外断熱」
  • 断熱材を内側に張る「内断熱」
  • 日本の住宅には内断熱が多い
  • 海外では断熱工法が基本
  • 外断熱は熱損失が少なく結露の心配もないが、施工できる業者があまりいない
  • 内断熱は結露が発生しやすいが、空調の使用に適しており、施工コストも安い

外断熱と内断熱のどちらがすぐれているかは、建物の構造などによるので一概にはいえません。どちらにせよ、施工技術の高さが性能に影響しますから、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。