貯水槽の清掃・水質管理の必要性は? 貯水槽の衛生管理に必要な情報
水をためるために必要なのが「貯水槽」です。工業用水や防火用水など、さまざまな使用目的で水を貯水槽にためています。生活に最も大切な水をためる設備だからこそ、貯水槽の衛生管理をきちんとしていかなければなりません。衛生管理について知りたい人は、要チェックです。貯水槽の種類や清掃の必要性、汚れているとどうなるのか、水質検査について説明します。
1.貯水槽の種類
貯水槽には、使用用途によってさまざまな種類があることをご存じでしょうか? 主に、「受水槽」「高置水槽」「圧力水槽」の3つに分かれています。それぞれの特徴を把握しましょう。
1-1.受水槽=水を受ける貯水槽
マンションやビルの屋上によく見えるのが「受水槽」と言われる貯水槽です。受水槽は、名前のとおり、水を受ける貯水槽になります。受水槽を設置している建物に必要な量の水を保持するための設備と言えるでしょう。マンションの上にある受水槽なら、マンションに住んでいる人がどれだけ水を使うのかによって、適切な量を確保します。「水量計算」と呼ばれるものですが、どのくらい水を確保しておけばマンションで生活している人たちが生活できるのかを計算しているのです。水道引き込み管から水道水を引き込みます。
受水槽を設置する際は、メンテナンスしやすいように壁面・床面・天井面より60cm以上の空間を空けなければなりません。受水槽は、給水のために小型圧力タンク式給水ユニットやポンプを使うので、停電の悪影響を受ける可能性があります。
1-2.受水槽の水を供給するための「高置水槽」
貯水槽のひとつである「高置水槽」は、受水槽に入っている水を供給する役割を持っています。一般的に、建物の屋上に設置するでしょう。高低差があるからこそ、圧力の影響で給水が可能になります。高置水槽のメリットは、一定量の水を蓄えることができる点です。そのため、水が必要になった緊急時に大活躍してくれます。大量の水を使うビルや医療施設にぴったりの貯水槽になるでしょう。
また、水圧変動がないところもメリットのひとつになります。デメリットは、水槽の管理が大変なところですね。定期的に管理・メンテナンスをしなければ、悪い方向に水質が変わります。名前のとおり、高いところに設置しなければならないので耐震の処置が必要になるでしょう。
1-3.密閉加圧のタンク=圧力水槽
貯水槽の中には、密閉加圧のタンクと言われている「圧力水槽」があります。圧力水槽は、貯水槽にたまっている水を供給ポンプによって圧力水槽に入るでしょう。そして、空気圧で供水する方法です。圧力水槽は「圧力」が大きなポイントになるでしょう。圧力によって給水できると思っておいてください。
圧力水槽は、1年に1回の自主検査が義務付けられています。労働安全衛生法の第2種圧力容器の中に入っているため、自主検査をしなければならないのです。
また、受水槽の水とつながっている圧力水槽は、配管の役割も果たしているので定期的な清掃が必要になるでしょう。清掃しなければ、給水できなくなってしまいます。
2.貯水槽の清掃の必要性
2-1.飲み水用の貯水槽は清掃が必要不可欠
工業用水や防火用水など、使用用途はさまざまです。貯水槽の種類によって、定期的な清掃が必要なものもあります。特に、飲み水用の貯水槽は定期的に清掃していかなければなりません。なぜなら、貯水槽がついている建物で生活している人の飲み水になるため、清掃しなければキレイな水をためることができないからです。
飲み水用の貯水槽には、貯水槽を管理する「管理責任者」がいます。管理責任者は、定期的な清掃はもちろん、点検もしているのです。貯水槽を使い始めた時期に、管理責任者が保健所に届け出をしなければなりません。
基本的に、毎月1回の施設点検・状態観察、週1回の残留塩素測定、年1回の貯水槽内部清掃消毒、水質検査をしています。貯水槽の管理責任者は、水質をキレイに保つ責任を持たなければなりません。
2-2.清掃の必要性は?
なぜ、貯水槽を清掃しなければならないのでしょうか。貯水槽の清掃の必要性について説明します。最も大きなポイントは、「衛生管理」のためです。衛生管理として清掃を定期的にしなければなりません。清掃をしなければ、貯水槽内にたくさんの細菌が発生してしまいます。とても不潔で、汚い水に変化するでしょう。
たとえ、キレイな水でも貯水槽内にさびができていれば、水質も悪化してしまいます。清掃をしなかった結果、「赤水」になったという最悪なケースになるのです。それでは、建物に住んでいる人たちの健康被害も起きてしまうでしょう。定期的に清掃していかなければ、さまざまな悪影響を及ぼしてしまうことを覚えておいてくださいね。
3.貯水槽の水質検査
3-1.建築物衛生法による水質検査
キレイな水を維持するために、貯水槽の水質検査は大切です。建築物衛生法によると、10㎥を超える貯水槽の場合、年3回の水質検査を義務付けています。年3回水質検査をしなければ、法律違反になるので気をつけてください。
たとえ、10㎥以下の貯水槽でも、水質検査を推奨しています。飲み水用の貯水槽ならなおさらのこと、年に1回は水質検査をしなければなりません。最近は、住民が安全に水を利用できるように、自主検査をしている管理組合も増えてきているのです。貯水槽の衛生管理について気になっている人は、建築物衛生法をチェックしてくださいね。
3-2.水質検査の内容について
水質検査は、さまざまな内容があります。貯水槽を清掃する際に、水質検査をすることが理想的です。水質検査は年に1回しなければなりません。水質検査は、いったいどのような内容になっているのでしょうか。主な水質検査は、以下のようになっています。
- 一般細菌を含んでいないかどうか
- 大腸菌や塩化イオン
- 有機物の量
- 味や臭気
- 色度、濁度
以上のような項目があります。
実際に、貯水槽の中にある水が濁っているかどうか、臭気がないかどうか自分で確認することもできるでしょう。水質検査は、保健所・国が認めている水質検査機関・業者が受け付けています。ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
貯水槽の種類や清掃の必要性、水質検査について説明しました。貯水槽はさまざまな使用用途で水をためている設備です。貯水槽の強度や中に入っている水質を維持するためにも、定期的に清掃、水質検査をしなければなりません。飲み水用ならなおさらのこと、住民の安全性を確保するために必要なことです。貯水槽の清掃・水質検査の必要性を把握しておきましょう。
- 水を受ける「受水槽」
- 受水槽の水を供給するための「高置水槽」
- 密閉加圧タンクの「圧力水槽」
- 飲み水用の貯水槽は清掃が必要不可欠
- 衛生管理を徹底するため
- 水質悪化、健康被害を防ぐため
- 建築物衛生法による水質検査
- 水質検査の内容を把握する
以上のポイントは、ぜひ押さえておいてくださいね。
なかなか貯水槽が掃除できない場合は、国から認可を受けている業者に依頼すると良いでしょう。貯水槽の清掃を受け付けている業者もいるので、ぜひチェックしてください。厚生労働省のホームページでは、水道法第20条第3項による登録検査機関が載っています。無料で見積もりや相談も受け付けているので、ぜひ利用してみましょう。