広ければ良いわけではない? 今狭い部屋が選ばれている理由は?
高価格物件の条件として「駅近、築浅、広い」というものがありますが、どうせならば広い家に住みたい、という方は多いでしょう。でも今、ひとり暮らしの人を中心にあえて狭い部屋で暮らすという方も増えているのです。
いったいなぜ? そこで今回は改めて見直されている狭い部屋の良さをご紹介しましょう。
IKEAが三畳一間の可能性を提案?
2011年8月、スウェーデンのホームファニッシングストアIKEAが東京で自社の商品を使って3畳間のエキシビジョンを行いました。たった3畳の空間が素敵でおしゃれな寝室やリビング、キッチンに子供部屋と12種類にコーディネートされた様子に、訪れた方は感心しきりだったそうです。
また、「狭い部屋でも工夫次第で楽しく暮らせる」「あえて広い家には住まない」今、こんな考え方を持った人が少しずつ増えてきているそうです。それはいったいなぜなのでしょう。
もう物を持つイコール豊かな時代ではない
一昔前までは、より高価なものをたくさん持つことが豊かさの象徴でした。でも今は「断捨離」や「持たない暮らし」がブームになり、たくさんのモノをもっていれば豊かである、という価値観は崩れつつあるようです。自分に必要なものだけを持って暮らし始めたら、それほど広い部屋は必要ないことに気付いた、という人も多くそれが狭い部屋が人気になっている原因のひとつかもしれません。
もともと日本人は狭い部屋で暮らす民族だった?
演歌や川柳に「9尺2間の裏長屋」という言葉が出てきますが、これは江戸時代の一般庶民の家の広さを表わしています。現代と微妙に異なりますがこれは9.72平米、約3坪程度の広さ。ここに3人~4人で生活していたのです。
また、フォークソング「神田川」には3畳1間の下宿に同棲しているカップルが出てきます。これを貧しさゆえ、と決めつけてしまうことは簡単ですが、暮らしていた人々は案外楽しく生活をしていたのではないでしょうか。そうでなければ、狭い借家や下宿などあっという間に廃れてしまっているはずです。
狭い部屋に住む利点は?
では狭い部屋に住む利点とは何でしょう。実際に狭い部屋に住む方々に聞いてみると
- 便利な場所に安く住める
- 掃除が楽
- 必要なものがすぐに手に取れる
- 引っ越しも簡単
などの意見が多かったです。確かに狭い部屋は家賃が安いですから、より人気で便利な場所に住めます。掃除もササッと済ませることができるでしょう。
また、電子機器の発達により、本はタブレット型端末、音楽は携帯音楽プレーヤーの中にまとめることができるようになりました。荷物が減れば物をなくすことも少なくなりますし、引っ越しも安く簡単に住みます。
ネックはプライバシー
しかし狭い部屋にもデメリットはあります。風呂やトイレなど生活に必要なものが共同だったり、ついていなかったりする物件も多いですし、住む人が増えるとプライバシーの問題も出てきます。ですから、「狭い部屋もいいよね、引っ越そうか」と思ったらまずは物件をよく見て、自分のライフスタイルに合っているかどうかよく見極めてから引っ越しましょう。