剛床工法とは? 特徴やメリット・注意点などについて徹底解析!

床をリフォームする場合、目的や状態に適した工法を選択することが大切です。「リフォーム後、床が変形した」などのトラブルもあるため、細部まで確認してからリフォームを実施しなければなりません。床の工法や種類をきちんと把握しておかなければ、想像していたリフォームと違う状態になってしまいます。そんな大切な工法の中でも、近年人気の高まっている種類が「剛床工法(ごうしょうこうほう)」です。

本記事では、剛床工法の基礎知識やメリットと特徴・注意点について説明します。

  1. 剛床工法の基礎知識
  2. 剛床工法のメリットと特徴
  3. 剛床工法の注意点
  4. 剛床工法に関してよくある質問

この記事を読むことで、剛床工法とは何なのか詳しく知ることができます。気になっている人やリフォームを検討している人は、ぜひ参考にしてください。

1.剛床工法の基礎知識

床のリフォームを始める前に、剛床工法についてきちんと理解しておかなければなりません。それでは、工法内容や特徴、構造・材質について詳しく説明します。

1-1.どんな工法か

剛床工法とは、24mm以上の合板を床に貼る方法です。床板を支持するため床版に直角に配した水平材を根太(ねだ)と言いますが、剛床工法では根太を設けません。その代わりに、床下地合板の厚みを厚くして、直接梁材(りょうざい)に留(と)めつける仕組みとなります。別名・根太レス工法とも呼ばれており、木材を貼り合わせて使用する工法です。

1-2.特徴

剛床工法の大きな特徴は、地震や台風時に強いことです。直接、梁材に留めつけることができるため、地震・台風時に発生する水平力に対して強い力が生まれます。より強固な床をつくり出すことができるでしょう。また、剛性の高さから「火打ち梁」を省くことができます。火打ち梁とは、木造で床組みや小屋組みの変形を防止するために必要な斜材(しゃざい)のことです。火打ち梁を施す必要のない剛床工法は、リフォームの手間と時間・費用を省くことができるでしょう。

1-3.構造・材質について

剛床工法を用いる場合は、以下の対応が必要とされています。

  • 床下地合板の品質はJASに適合する構造用合板で、厚みは24mm以上のもの
  • 床下地合板は、その4周辺を床梁(ゆかばり)に直接乗せ、N75釘(※1)で間隔150mm以下で平打ちとして梁に留めつける
  • 床下地合板に、実(さね)つきタイプ(※2)の構造用合板を用いる場合は、床梁に構造用合板の短辺方向の外周部に各1列、その間に1列以上になるようN75釘を用いて150mm以下の感覚で平打ちとして固定。ただし、床梁などの横架材(※3)の間隔が1m以下の場合だけ

※1……N釘と呼ばれる鉄丸釘は、鉄線を材質としたもの。JIS規格でサイズが定められている
※2……板などの側面に凸(とつ)部と凹(おう)部をつくり、板同士をはめこむことができる
※3……横架材(おうかざい)とは、梁(はり)・桁(けた)・胴差し・土台など水平方向に架ける横造材のこと

基本的に、剛床工法で用いる床下地合板は厚みがあり、構造用合板24mm以上を使います。用いる木材は、無垢材(むくざい)と比べると約1.1~1.5倍の強度があるものです。強度に加えて、木材に含まれる水分の割合も、15%以下のものを使用しています。根太工法で使う木材よりも、強い木材を使用していることがわかるでしょう。

剛床工法は地震や台風などの災害に強いんですね。
はい。また、リフォームしやすいのも特徴です。

2.剛床工法のメリットと特徴

剛床工法は、どのようなメリットを持っているのでしょうか。従来の床工法との違いや主なメリット・剛床工法が向いているケースについて説明します。メリットについて詳しく把握しておけば、上手に床のリフォームができるでしょう。

2-1.従来の床工法との違い

現在の主流は、剛床工法(根太レス工法)となっていますが、従来は根太工法が主流でした。根太工法とは、厚み12mmの床下地合板を受けるために、幅45mm×高さ60mmの部材を間隔303mmごとに設ける床組みです。根太と呼ばれる合板の角材を等間隔に並べることで、その上に合板を貼ることができます。そして、さらにその上から、床材を貼る工法が根太工法です。火打ち梁を施せば、横方向の力を強くさせることができます。
一方、剛床工法は、根太を使わずに、床下地合板の厚みを厚くするのが特徴です。直接、梁と触れ合うため、火打ち梁も施しません。従来の根太工法と、現在の主流となっている剛床工法は、大きな違いがあります。そのため、メリットやデメリットも大きく異なるのです。

2-2.メリット

従来の工法は、基礎・土台などを躯体(くたい)の施工精度に関係なく、水平にすることができました。床下にも空間ができ、通気性に優れている工法と言えます。しかし、根太や火打ち梁などの部分的な素材が多くなるため、施工時間がかかる点がデメリットです。さらに、根太の分だけ床の位置が高くなるのも、難点の1つでした。
一方、剛床工法のメリットは、根太や火打ち梁を使わないので、その分だけ床の位置を下げることができます。単純な工法なので施工時間も短く、仕上がりにムラが少ないのもメリットの1つと言えるでしょう。また、横方向への動きに強い工法となるため、地震や台風などの災害に強いことが最大のメリットとなります。
メリットがたくさんある剛床工法ですが、デメリットもあるので注意しておかなければなりません。剛床工法のデメリットに関しては、後ほど【3.剛床工法の注意点】で説明するのでぜひチェックしてくださいね。

2-3.剛床工法が向いているケースは?

剛床工法は、床の位置を下げることができます。そのため、天井を高くしたい方にはおすすめの工法と言えるでしょう。また、地震・台風に強い家にしたい方にも、おすすめします。剛床工法を用いることで、災害に強い床に仕上げることができるでしょう。ただし、施工方法は業者によって多少異なるため、細部まで確認しておかなければなりません。

剛床工法は施工に慣れた業者に依頼することが大切なんですね。
はい。そうすれば満足いく仕上がりになるでしょう。

3.剛床工法の注意点

安心して床のリフォームを行うためには、剛床工法のデメリットや注意点もきちんと把握することが大切です。それでは、詳しくチェックしていきましょう。

3-1.デメリット

剛床工法のデメリットは、基盤が水平でない場合、水平の調整が困難なことです。基盤が水平になっているかどうかが、剛床工法の大きなポイントと言えるでしょう。地震や台風などで基盤が大きくゆがんでいる場合は、剛床工法が採用できない可能性があります。まずは、業者に基盤の確認を依頼しなければなりませんね。

また、床下が空洞になる工法なので、2階部分に施行すれば下の階に足音が響きやすくなります。たとえば、子どもたちが上の階で騒いでいる足音が、そのまま下の階に伝わってしまうのです。足音が気になる方にとっては、多少気になる要素になるかもしれません。

ほかにも、合板の中心のしなりがデメリットです。通常は気にならない箇所かもしれませんが、910mm間隔の中心が少し下がる可能性があります。特に、重量のあるタンスやテレビ台を設置したときに、中心のしなりを感じるでしょう。

これらの問題点を解決するためには、きちんと業者と話し合いながら、デメリットを最小限に抑えられる要点を見つけることが大切です。業者任せにしないように気をつけてくださいね。

3-2.注意点

剛床工法を施す際の注意点は、主に4つあります。それぞれについて詳しくチェックしておきましょう。

3-2-1.雨濡(ぬ)れによるしなりや膨れ

最も注意してほしいのが、雨濡れによるしなりや膨れです。使用している合板が雨に濡れると、しなったり膨れたりしてしまいます。そのため、一般的に、合板の上に養生処理を行い雨濡れによるしなりや膨れを防ぐのです。養生処理をきちんと行わない業者に依頼すれば、床のしなりや膨れが発生することになります。失敗しないためにも、慎重に業者を選ばなければなりません。

3-2-2.通気性の悪さ

根太工法よりも剛床工法は、通気性が悪いデメリットがあります。なぜなら、柱・梁・床を一体化させるからです。通気性が悪いため、カビが発生したり、木材の腐敗がすすんだりしてしまいます。通気性の悪さをきちんと把握した上で、カビ・腐敗対策を業者と相談して施さなければなりません。

3-2-3.床鳴り対策が必要

剛床工法のデメリットで説明した通り、2階部分に施すと床鳴りが気になるでしょう。音が階下に響きやすいデメリットを解消するために、防音材などの導入をおすすめします。導入する際も、業者と相談して決めたほうが良いでしょう。

3-2-4.荷重(かじゅう)によるしなり対策

根太や火打ち梁を使わない剛床工法は、床下の木材数が少なめです。そのため、合板の中心部分がしなりやすくなってしまいます。特に、荷重がかかるタンスやテレビ台を設置する箇所の床は要注意です。重量のある家具を置く場所を決めて、しなり対策を施しましょう。業者によっては、しなり対策を行っていないところもあるので気をつけてくださいね。

デメリットもしっかりと把握しておくことが大切なんですね。
はい。すべての家に適しているとは限りません。

4.剛床工法に関してよくある質問

剛床工法に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。検討している方は、ぜひチェックしてください。

Q.床が抜けたりすることはないのか?
剛床工法は、根太や火打ち梁を採用しないため、中心部分がしなる可能性があります。しなり始めると、「床が抜けるのでは……」と不安になりますが、きちんと対策を施しておけば心配する必要はありません。基本的に、剛床工法は床が抜けるようなことはありませんので安心してください。ただし、20~30年と経年劣化によって木材が劣化すれば、従来工法よりも抜けやすくなる可能性があります。事故を防ぐためにも、定期的な点検やリフォームが必要でしょう。

Q.根太工法と剛床工法、どちらを選択すべきか?
従来の根太工法か、それとも剛床工法どちらを選択すべきか悩んだときは、それぞれのメリットとデメリットを比較してみてください。どちらにもデメリットはあるため、一概にこちらのほうが良いとは言えません。何のために床をリフォームするのか、目的や状況に合った工法を選択すると良いでしょう。たとえば、地震に強い家にしたい方は、剛床工法がおすすめです。東日本大震災や熊本地震など、大地震がいつ起きるか分からないので、万一のためにも対策を施しておいたほうが安心できます。

Q.剛床工法のしなり対策は?
業者によって、剛床工法のしなり対策が異なります。たとえば、剛床工法に使う木材の強度を均等にして、寸法安全性に優れた構造用集成材を使うなどです。断熱・調湿に威力を発揮する木材を使用するなどの方法もあるため、業者に尋ねてみてください。どのようなしなり対策を施しているのか、きちんと確認してから依頼したほうが良いでしょう。

Q.剛床工法の工期はどのくらいか?
床下の状況やリフォーム範囲などによって異なりますが、剛床工法の工期はおよそ2~3日です。根太工法になると、さらに時間がかかるでしょう。ただし、養生処理やしなり対策などに必要な時間を要する可能性があります。必ずしも2~3日以内で終わるわけではありませんので、具体的な工期については業者に問い合わせてください。

Q.業者の選び方が知りたい。
剛床工法のデメリットをきちんと解消できるかどうかは、業者の腕にかかっていると言えるでしょう。理想的な床にリフォームするためには、安心して依頼できる業者に依頼しなければなりません。業者選びに悩んだときは、以下の項目に注目してください。

  • 丁寧かつスピーディーな対応
  • 床のリフォーム実績や経験がある
  • 施行事例がホームページなどに記載されている
  • 見積書が明確で詳しい
  • 意見を取り入れながら、的確なアドバイスをしてくれる
  • 口コミや評判が良い

まとめ

剛床工法は従来の根太工法とは異なり、根太と火打ち梁を使わずに行う工法です。用いる合板の厚みが特徴的で、直接、梁と面する構造となります。根太工法よりも横方向に対する力が強く、地震や台風などの自然災害に強い床にすることが可能です。ただし、基盤が大きくゆがんでいる場合は、剛床工法が採用できない可能性があります。デメリットを解決するためには、床リフォームに対する実績を持ち、安心して依頼できる業者に依頼することが大切です。剛床工法に関する知識を身につけ、信頼できる業者を見つけてくださいね。