店舗の原状回復はどこまでやる? 経費削減・トラブル防止のコツは?

「店舗物件から退去することになったが、原状回復はどこまでやればいいのか知りたい」とお考えではありませんか? 退去時のトラブルを避け、円満に契約終了するためにも、しっかりとポイントを押さえて、ぬかりなく進めたいですよね。それに、なるべく経費をかけずに作業したいことでしょう。

そこで今回は、店舗の原状回復について詳しく解説します。

  1. 店舗の原状回復はどこまでやるべきか?
  2. 店舗の原状回復工事の内容と費用相場
  3. 店舗の原状回復費用を抑えるコツは?
  4. 店舗の原状回復に関するよくある質問

この記事を読むことで、店舗の原状回復をスムーズに進めるコツがよく分かります。店舗を退去する予定がある人は、記事を読んでみてください。

1.店舗の原状回復はどこまでやるべきか?

最初に、店舗の原状回復義務やガイドラインなどを見ていきましょう。

1-1.店舗の原状回復義務とは?

店舗用の賃貸物件を退去する際は、賃貸契約書の内容に従って原状回復する義務があります。原状回復をすることにより、貸し主が次の借り主を探し、新たに貸すことができるのです。店舗の内装などは、業種・形態ごとに大きく異なりますが、基本的には賃貸契約開始時の状態に戻す必要があります。

1-2.原状回復のガイドラインを参考にする

店舗の原状回復には、何かとトラブルがつきものです。まずは、工事を始める前に国土交通省のガイドラインを参考にするといいでしょう。

万が一、貸し主との間にトラブルが発生しても上記のガイドラインを参考に交渉することも可能です。

1-3.居抜きは残す設備を確認することが大切

居抜きとは、前の貸し主が使用した内装をそのままの状態で借り受ける物件のことです。居抜きで借りた場合は、次の借り主も基本的に居抜きで借りることになるため、原状回復は通常のケースより簡単なものになります。なお、自分たちで内装・備品を追加した場合は、撤去するべきか貸し主と相談してください。場合によっては、そのまま残すことができます。

1-4.スケルトンはスケルトンに戻すのが一般的

店舗用の賃貸物件で、内装や備品が特にない状態のものをスケルトンと呼ぶことがあります。スケルトン状態で借り受けた場合は、退去時もスケルトンに戻すことが一般的です。居抜きよりも内装などを自由に設計し使用できる一方で、退却時の原状回復は費用負担が大きく、時間もかかる傾向があります。

2.店舗の原状回復工事の内容と費用相場

店舗の原状回復工事の内容および費用相場を、居抜き・スケルトン別に見ていきましょう。

2-1.居抜きの場合

居抜き物件の原状回復は、以下の工事を行うことになります。

  • 賃貸契約以降に自分たちで手を加えた部分を撤去・解体する

なお、自分たちで手を加えた部分も、貸し主に許可を得ることができればそのままにすることが可能です。

2-2.スケルトンの場合

スケルトン物件の原状回復は、以下の工事が必要です。

  • 建物の構造体以外の内装をすべて解体する
  • 床や壁はコンクリートがむき出しの状態にする
  • 天井は配線が見える状態に戻す

スケルトン物件ではまっさらな状態にも戻し、次の借り主がどんな業種・形態であっても問題なく対応できるようにすることが基本となります。

2-3.1坪30,000円程度~が相場で規模や状況により異なる

店舗の原状回復工事の費用相場は、以下を参考にしてください。なお、実際には、店舗の現状によって費用が大きく異なります。詳しくは、業者に見積もりをもらって確認してください。

  • 小規模(10~50坪):1坪30,000~50,000円程度
  • 大規模(50坪以上):1坪50,000~100,000円程度

3.店舗の原状回復費用を抑えるコツは?

店舗の原状回復費用を抑えるための方法やコツを詳しく解説します。

3-1.複数の業者に見積もりを依頼して比較する

自分たちで業者を選べる場合は、複数の業者に見積もりを依頼し、工事費用を比較して安いところと契約することをおすすめします。同じ工事でも業者によって費用設定が異なるからです。ただし、極端に安い業者には注意してください。安くても、工事品質が悪いと結局やり直すことになり、かえって費用がかさむことがあります。評判なども参考に、リーズナブルな費用で高品質な工事を行う業者を探しましょう。なお、貸し主が指定した業者が工事を行う場合でも、貸し主に了承を得て交渉する余地はあります。

3-2.居抜き物件として次の借り主を探してもらう

スケルトン物件として借りていても、居抜き物件として次の借り主を探してもらえば、原状回復費用を大幅に抑えることができます。ただし、貸し主としては居抜き物件にするには、業種・業態が限られて借り主が見つかりにくくなるリスクを負うことになるのがデメリットです。快諾してくれるとは限りませんが、相談してください。

3-3.契約時に特約で貸し主との交渉可能の記載をしてもらう

店舗の原状回復費用を抑えるためには、契約時に特約で貸し主との交渉可能な旨を記載してもらうのもいい方法です。交渉可能の記載があれば、退去時に原状回復について相談し、一部の内装や設備をそのままの状態に残すことも可能になります。シンプルな内装で、どんな業種にもマッチするものでキレイに維持されている状態ならば、貸し主も交渉を受け入れてくれる可能性もあるでしょう。

3-4.不用品を買取に出す

店舗の原状回復に当たり、多くの不用品が発生します。たとえば、不用品を業者に買取してもらえば、買取代金を工事費用に回すことが可能です。もう使わない食器・調理器具・家具などは、買取してもらえないか考えてみてください。不用品の買取実績が豊富にあり、評判のいい業者に相談して査定を受けるといいでしょう。

4.店舗の原状回復に関するよくある質問

最後に、店舗の原状回復に関する質問に回答します。それぞれ参考にしてください。

Q.原状回復費用の支払いを待ってもらうことはできる?
A.難しいでしょう。多くの場合、退去時に現金や指定口座に振り込んで支払うのが一般的です。なお、費用の支払いが滞ったり不可能と判断されたりした場合は、契約時の連帯保証人や保証人に請求されることもあります。

Q.引き渡し日までに原状回復工事が終わらない場合はどうなる?
A.まずは、業者に原状回復工事を急いでもらうと同時に、貸し主に連絡して指示を仰いでください。次の借り主がまだ見つかっていない場合は、契約期間を延長して対応することになるでしょう。ただし、違約金や延長分の賃料が発生する可能性があります。

Q.原状回復工事後に貸し主からクレームが出たらどうする?
A.賃貸契約書の記載に基づいて原状回復しているのなら、きちんと貸し主にその旨を告げてください。不当な理由によるクレームなど、話し合いで解決しなさそうな場合は、弁護士などに相談することも検討しましょう。

Q.店舗の原状回復はいつから始めるべきか?
A.退去が決まったときから、できる範囲で少しずつ始めるのがベストです。また、工事が遅れることも想定し、店舗を閉店したらすぐに取りかかるようにしましょう。

Q.賃貸開始当初からあった傷も修復するべきか?
A.傷の存在が、賃貸開始当初からあったことを証明できるかにカギがあります。証拠写真を撮影していたり貸し主に確認を取っていたりすれば、修復する必要はないでしょう。もしも、証明できない場合は借り主負担で修復することになる場合もあります。

まとめ

今回は、店舗の原状回復について詳しく解説しました。賃貸物件を店舗として使っていた場合、基本的には退去の際に原状回復する必要があります。まずは、賃貸契約書を確認し、どの程度回復させるべきか確認しましょう。賃貸契約書を読んでもよく分からない場合は、国土交通省によるガイドラインを参考にしたり、貸し主や仲介業者に相談したりしてください。なお、店舗の退去時には、多くの不用品が発生します。原状回復をスムーズに進めるためにも、不用品の処分も早めに済ませましょう。