中庭のメリット・デメリットとは ~家の中に明るさを取り入れる~

家をおしゃれに見せる中庭。最近では、四季折々の情緒を楽しめる中庭にスポットが当たっています。うまく間取りを活用することで明るさを取り入れることができるのです。
この記事では、中庭のメリット・デメリットについてまとめました。

1.中庭とは

中庭とは、家に囲まれた庭のことです。中庭の形はカタカナで表記することが多く「コの字型」や「口の字型」が代表例となります。
日本の家に中庭があるのは、風通しを生み出すため。日本では、隣の家との間隔が狭い上、奥行きの長い家が多かったです。そこで、家の中央に中庭を添えることで風通しを作りました。
中庭を設けることで家全体に光が入るようになります。また、中庭は家の中にあるのでプライバシー確保にもつながるのが特長です。この中庭の特徴を生かした建築が、現代にて注目を浴びています。

2.中庭のメリット

日本家屋の特徴でもある中庭。その中庭を現代の家に取り入れるメリットとは何なのでしょうか。この項目にて紹介します。

2-1.プライバシーを確保できる

中庭を作るメリットは、プライバシーを確保できる点です。庭が家によって囲まれているので生活感が見えません。洗濯物やバーベキューも周りを気にする必要がなくなります。
また、中庭で子どもが遊んでも周りからは見ることができません。子どもの姿を不用意にさらさないのもメリットとなります。
また、他人からの目を防ぐと同時に家族の一体感を生み出すのもメリットです。中庭が家の中央にあれば誰もが情報を共有します。同じ時間は共有できなくても話題を共有することで一体感を生み出すのです。
たとえば、共働きですれ違いが増えたとき。時間は共有できなくても中庭にある「あの花が咲いていたな」という情報は共有できます。ちょっとした時間で情報を共有するだけでも違いは明らかです。
同じ家にいることを認識できる中庭は、家族の一体感を生み出す場所となります。

2-2.自然な光を取り入れやすい

中庭は、家の真ん中から光が通って全体を明るくするのです。中庭がもたらす光は、天窓を付けるのと同じ効果があります。また、光を効率よく取り入れることで電気代の節約になるのもポイントです。
中庭だとトップライトと違い花や木も植えられます。家のインテリアとしても映える中庭は、非常に魅力的です。
また、中庭は光だけでなく風通りも良くします。光と風が通ることでダニや結露も防げるのもメリットです。

2-3.夏場に涼しくなる

中庭を作ると日差しが降り注いで暑くなる。そんな風に思う人もいるでしょう。むしろ、中庭があれば夏場の気温を下げられます。
中庭があれば風が常に通った状態なので室温が下がるのです。さらに、中庭に草木を植えると地表温度を下げられます。
ほかには、中庭に大きな木を植えると効果的です。木陰ができることで涼しい空間となります。葉っぱが広がる広葉樹林の木がおすすめです。ハナミズキやヤマボウシなど適度な木陰を作る木があります。

2-4.家そのものを広く感じることができる

家の中に中庭があると家全体に広がりを持たせることができるのです。
各部屋が中庭のスペースを共有したとしましょう。すると、各部屋の広さは変わらなくても高さが加わります。その高さは、中庭のない部屋と比べると雲泥の差です。
部屋から眺める夜空は、空が部屋の一部となったように感じます。ぜひ、部屋と中庭を共有できるような家にしてみましょう。

3.中庭のデメリット

中庭を作るメリットはたくさんあります。しかし、反対にデメリットもあるものです。この項目にてチェックしておきましょう。

3-1.冬場は寒い

中庭を作ると風通しがよくなります。そのため、冬場は寒くなる可能性があるのを考慮しておきましょう。暖房器具などで部屋を暖めても風が逃がしてしまいます。
部屋の温度が気になるときは、中庭に面した窓に雨戸やシャッターを備えるようにしましょう。また、冬用に厚めのカーテンを用意するだけで効果は違います。

3-2.居住スペースが少なくなるケースがある

中庭を作ろうとすればスペースが取られるもの。小さい中庭であっても最低畳1畳分は必要となります。各部屋のスペースを削ったとしても確保するのは難しいです。そのため、無理に中庭を作ると家全体が住みづらいスペースとなります。
また、中庭を作って手入れができるかどうか考えましょう。中庭の機能を生かさないのであれば無駄なスペースとなります。

3-3.窓ガラスの多用は問題

すべての部屋から中庭を見えるようにすると窓ガラスが大量に必要です。窓ガラスを取り付ける分だけ費用もかさみます。
また、窓ガラスをたくさん使うとすきま風などが発生するもの。いくら暖房器具などを使っても窓から空気が流れます。
窓ガラスを多用すると光熱費が掛かってしまうのを知っておきましょう。

3-4.動線が長くなる

中庭を中心にした家を作るときは、動線に注意する必要があります。
たとえば、リビングを中庭と隣接して作ったとしましょう。しかし、トイレ、お風呂などの位置を失敗するとリビングから離れた場所になってしまいます。普段使う部屋からトイレやお風呂が遠い家は、非常に不便さを感じるもの。
中庭のレイアウトだけでなく家族が過ごしやすい家を意識しましょう。

3-5.建て方を間違えると外装費用が掛かる

中庭は、自分たちのプライバシーを守ることができる空間です。しかし、建て方を間違えると外壁をたくさん作る必要があります。そのため、外装費用が予想以上に膨らむ可能性があるのを知っておきましょう。
中庭を作るときは、外側から見えない面積を増やすようにします。

4.風水から見る「中庭」とは

4-1.風水的に中庭は悪い?

たまにですが「中庭は風水的によくない」という意見があるのです。しかし、風水は古代中国の建築にかんする考え方となっています。そのため、現代の日本建築には当てはまらないと考える建築士が多いです。
ですが、中庭が汚れたままだと運気は下がる傾向にあります。中庭を作ったときは、しっかりと掃除するようにしましょう。

4-2.風水以上のデメリット

中庭を作ると風水以上のデメリットがあります。そのデメリットは、耐震性が低いことです。地震が起きたとき、揺れが均一に発生しないので住宅にひびが入りやすいのが特徴となっています。
耐震性の高い住宅は、正方形の家です。しかし、建築技術的に完璧な正方形を作るのは難しいと言われています。そのため、長方形の家が現実的です。中庭のある家を作るときも長方形になるよう意識しましょう。

5.まとめ

いかがでしたか?
この記事では、中庭のメリット・デメリットについて紹介しました。中庭を作る最大のメリットは、日光と風を効率よく取り入れることができる点です。中庭から家全体に日光を取り入れることで家全体が明るくなります。また、風が通ることで湿気を取ると共に夏場でも涼しいです。
しかし、冬場はカーテンなどを工夫しないと寒い部屋になります。また、中庭にこだわってしまうと家全体のスペースが狭くなるのです。中庭にこだわり過ぎると家全体のバランスが悪くなります。その結果、家族が暮らしづらい家になってしまうと意味がありません。中庭を取り入れる意味をしっかり考えて建築しましょう。