店舗照明の基本やコツについて~店舗のカギをにぎっている照明とは~
店舗のデザインをする際、大きなカギをにぎっているのが「照明」です。
照明デザインは空間づくりにおいてとても大切な役割を担っています。
成功するかどうかにも関係する大事な部分です。
だからこそ、店舗の照明デザインの基礎を知らなければなりません。
これから、店舗照明の基本と照度や色濃度など照明の明るさ、店舗照明の種類について説明します。
お店の集客率や満足度をあげるためにも、照明デザインの基本をチェックしていきましょう。
1.店舗照明の基本
光の具合によって店舗イメージがまったく異なります。
店舗のデザインやコンセプトに合った照明計画を立てていきましょう。
店舗照明の重要性や照明計画のポイント、効果的な演出など詳しく説明していきます。
1-1.内装材の1つになる「店舗照明」
店舗の内装を考えるとき、素材やデザイン、ハイライトなど注目点がたくさんあります。
良い素材を使ったとしても光のデザインが悪ければ効果を発揮しません。
良い素材でも光の当たり具合によって見栄えが悪くなってしまうのです。
内装に使用している素材にも影響が出るほど、店舗照明は大切なポイントになります。店舗照明は内装材の1つだと考えてください。
店舗に使っている素材の色や形、質感を考えたうえで店舗照明を決めていかなければなりません。
つい配灯(はいとう)を後まわしにしてしまいがちですが同時にすすめていきましょう。
配灯(はいとう)計画はとても大切です。
同時進行をすれば素材を生かした照明が選択できます。
1-2.店舗のコンセプトに合った照明
照明計画を立てる際、“店舗のコンセプト”が大切になります。
飲食店や雑貨、洋服など取り扱っているものは店舗によって異なるでしょう。
また、飲食店でも居酒屋やオシャレなバー、レトロなどコンセプトが変わってきます。
自分のお店は何をコンセプトとして売り出すのか、お客に何を与えることができるのか考えてみてください。
たとえば、日ごろの生活とは違う異世界のような空気を出したい、落ち着いた雰囲気に仕上げたい、明るいイメージにしたいなどさまざまです。
具体的な店舗のコンセプト、イメージをつくっておけば光の演出がしやすくなります。逆に、イメージやコンセプトが中途半端だと計画が立てにくくなるので要注意です。
1-3.お客の行動や商品の見え方
店舗照明の効果は「お客の行動」や「商品の見え方」に影響しています。
空間のイメージを実現するため、お客の行動を把握しておかなければなりません。
店舗では商品や食事メニューを見てお客に感じてほしいことを明確にしてください。
リラックスしてほしいなら心が落ち着く暗めの照明に、元気になってほしいのなら明るい照明にすると効果的です。
さらに、お客の流れを計画しておけば照明デザインがつくりやすくなりますよ。
そして、「商品の見え方」にも注目してください。
商品や食事の見え方は、店舗照明の基本です。
食事がおいしそうに見えない、商品の色がわからないようでは、客足も途絶えてしまいます。
特に、家に持ち帰って使う商品の場合「店舗で見た色と違う」トラブルが起きてしまうので要注意です。
2.照明の明るさについて
2-1.照明の明るさは「照度」で決まる
照明の明るさは「照度」と呼ばれています。
照度は光の量を指し、目的や場所に応じて決まっているのをご存じでしたか?
ちなみに、照度は「lx(ルクス)」という単位になります。
商品を陳列する場所は1,500~750lx、目玉商品や重要な商品には3,000~1,500lxが一般的です。
エレベーターホールや店頭は750~500lx、店内全般は750~300xlになるでしょう。
リラックス空間になる休憩室やお化粧室などは200~75lxと照度が低くなります。
飲食店などはご飯をおいしく見せなければなりません。
照度が高すぎると逆効果になります。
サンプルケースは1,500~750lxにしておきましょう。
食卓やレジスターなどは750~300lxになります。
2-2.人が見て感じる明るさ「色温度」と「演色性」
店舗照明において、「人が見て感じる明るさ」を常に把握する必要があります。
同じ照度に調整していても「色温度」によって人が感じる明るさが異なるでしょう。
色温度は低くなるにつれて青から白に色が変わります。
そして、赤に変化するでしょう。
つまり、低い色温度=赤みを帯びると思っておいてください。色温度が赤みになると人は暖かみを感じやすく、落ち着ける空間になります。
しかし、照度が低すぎると入りづらい雰囲気に、逆に照度が高くなると暑苦しく感じるので要注意です。
また、照明の「演色性」にも注目してください。
演色性は、光を当てたときのものの見え方になります。
食べものがおいしく見える演色性は“良い”と言えるでしょう。
照明の明るさは、「照度」、「色温度」、「演色性」の3つが大切になります。
3.店舗照明の種類
3‐1.場所や使用用途によって異なる店舗照明
店舗照明の種類はさまざまです。場所や使用用途をふまえたうえで店舗・内容に合った種類を選ばなければなりません。
リラックスしたい雰囲気に仕上げたいときは「間接照明」を使用すると良いでしょう。間接照明はやわらかい光が多く、足元や棚の間など好きなところに設置できます。
間接照明の有無だけでも店舗の印象が変わるものです。
また、ディスプレイライトやスポットライト、ダウンライトなど場所によって異なる種類があります。
スポットライトは天井に取りつけますが、ディスプレイライトは商品の陳列棚、ダウンライトは天井に埋めこむ形です。
壁に取りつけるブラケット、スタンドなどもあります。
素材やデザインが豊富で空間イメージやコンセプト、家具との折り合いも考えていかなければなりません。
3‐2.電球の種類もさまざま
店舗照明の種類は、デザインや素材だけではありません。
照明の明るさに関係している「電球」も大切なポイントになります。
値段が安く扱いやすいのは「白熱電球」です。
白熱電球は調節しやすいのが特徴的で方向・範囲も自由に設置できます。
さらに、影がつくりやすいので質感や立体感も生みやすいのです。
オフィスや事務所などで使用している「蛍光灯」は消費電力が非常に小さい点が魅力になります。
白熱電球よりも寿命が長いのでコストパフォーマンスは高いです。全体を均等に照らすことができるでしょう。
しかし、落ち着いた雰囲気をつくるには向いていないので店舗のコンセプトに合った種類が好ましいです。
最近、取りいれる店舗が増えてきた「led電球」は赤外線が少なく、節電効果が良いと言われています。
また、演色性が優れているところもメリットの1つです。
4.まとめ
店舗照明の基本や照明の明るさ、店舗照明の種類について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
店舗のレイアウトやデザイン、家具の配置を考えると同時に照明計画もすすめていかなければなりません。
照明計画を立てる際は、照らす範囲や照明の当て方、内装との組み合わせ、照明器具、電球の種類などさまざまな項目を確認する必要があります。
最初に、「店舗の魅力・コンセプト」を明確にしておけば計画が立てやすくなるでしょう。
店舗照明がうまくいけば集客率やお店の売り上げもアップします。
上手に設置できるよう基礎知識を身につけて1つずつコツとポイントを押さえていきましょう。