【解説】店舗のコンセント増設に必要な基礎知識~種類や工事内容・相場費用~

現在、コンセントを設置しているカフェや店舗が増えてきています。観光客やサラリーマン・OL、学生など“充電できる場所”を探している人は多いです。コンセントの増設を始める前に必要な知識を身につけておきましょう。

これから、コンセント増設の種類やコンセント増設工事内容と費用相場、たこ足配線の危険性・注意点について詳しく説明します。

  1. コンセント増設の種類
  2. コンセント増設工事内容と費用相場
  3. たこ足配線の危険性と注意点

1.コンセント増設の種類

電気を扱う場所では「コンセント」が必要不可欠です。コンセントの数が多いほどさまざまな用途で活用できるでしょう。しかし、やみくもにコンセントを設置することはできません。コンセント増設をする前に種類を把握しておきましょう。

1‐1.使用目的に合っているコンセントを選ぶ

コンセントにはさまざまな種類があります。電気が流れている部分なので、電流の大きさによっても異なるでしょう。一般的なコンセントはおよそ100Vの電気が流れています。単相100Vのコンセントは2つの穴があいているでしょう。単相200Vになると横長い穴が2つ、三相200Vになると穴が3つあくようになります。

電気の大きさによって穴の数やコンセントの形状も変わるので注意しなければなりません。コンセントを何に使うのか、何の目的で増設するのか明確にしておくと工事がしやすくなります。飲食店やカフェのテーブルに設置するコンセントは客用として使用するでしょう。

一方、調理場や事務所などで使うコンセントは業務用になります。流れる電気の量も増えるので適切なコンセントを選んでください。

1‐2.接地極や接地端子(アース)の必要性

コンセントを増設する際、接地極や接地端子(アース)の設置も考えなければなりません。特に、お客を迎える店舗において接地極・接地端子(アース)は必要不可欠な存在になります。

基本的に、コンセントは電気を供給するものです。供給するために「白線」と「黒線」によって電気が流れる仕組みになっています。もし、電線に傷がついていると電流がもれ出す恐れがあるのです。接触しなければ問題はありません。しかし、「漏電(ろうでん)」につながる可能性があるので注意が必要です。

トラブルを未然に防ぐためにも、コンセントに接地極・接地端子(アース)を取りつけてください。体に接触したとしても接地極・接地端子(アース)に電気が流れていきます。体への影響は少なくなるので安心です。以上のように、コンセント増設は“安全”に対する意識も持たなければなりません。

1‐3.コンセント増設場所による工夫

パソコンを扱うことが増えてきているなか、店舗においても“コンセント負荷”を考える必要があります。負荷を考えなければコンセントが使えなくなってしまうでしょう。たとえば、コンセントの負荷容量ギリギリで設置したとします。ほとんどの機器をコンセントにつないだとき、接続時に余裕がなくなるのです。

基本的に、コンセントの負荷想定は遮断器容量のおよそ70%になります。最大でも50%が上限になっているため、コンセント回路と照明回路は別々にしなければなりません。しかし、倉庫内などはコンセントの台数が少ないので関係ないでしょう。コンセント増設場所によっては「負荷」に対する工夫が必要になります。

コンセントを増設する際は、使用目的に合っているコンセントを設置することが大切なんですね。
はい。むやみに増やせばよいというわけではありません。

2.コンセント増設工事内容と費用相場

2‐1.主に2種類のコンセント増設工事内容

コンセント増設工事内容には、主に2つの種類があります。まず1つ目は、「新しいコンセントを増設する工事」です。エアコンやIHクッキングヒーターなどの調理器具を増やしたいと考えている店舗は多いでしょう。店舗に増やすには既存のコンセント台数では足りなくなってしまいます。新しいコンセントを設置しなければなりません。新しいコンセントを増設する工事は、専用回路を置くのが基本です。

ほとんどの場合、ブレーカーの調整も必要になります。スペースが確保できない場合は新しく設置しなければならないでしょう。

そして、2つ目が「コンセントの差し込み口を増やす工事」です。既存のコンセントを分岐する方法になります。新しいコンセントを増設するよりも費用はお得ですが、電力アップは期待できません。

また、コンセントの場所も移動できないので要注意です。後悔しないためにも目的に合った工事内容を選びましょう。

2‐2.知っておきたい費用相場

コンセント増設の際に気になるのが「費用相場」です。工事内容や業者によって細かい金額は異なるでしょう。大まかな工事の種類は、「新しいコンセントの増設」と「コンセント差し込み口の追加」の2つです。費用が安いのは後者のコンセント差し込み口の追加になります。費用相場はおよそ1万円以下です。

一方、新しいコンセントの増設は専用回路の増設が15,000~3万円になります。そして、コンセントの新設に8,000円~15,000円ほどかかるでしょう。合計すると、およそ3万~5万は必要になります。

一般的なコンセントの費用相場は3万円以内と思っておいてください。コンセントの数にもよりますが、10万円以上はかかりません。実際にかかった費用としては、5,000円~3万円の範囲内が非常に多いです。

コンセント増設工事の費用は、数千円~数万円が相場なんですね。
はい。ですから、コンセントの少なさに不自由を感じているのなら、思いきって増やしてみましょう。

3.たこ足配線の危険性と注意点

3‐1.「たこ足配線」とは?

「たこ足配線」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。コンセント増設の際は、たこ足配線に注意しなければなりません。たこ足配線とは、たこの足のように1つのコンセントに配線を複数つなげることを指しています。勘違いしている人も多いですが、たこ足配線の危険性は「個数」が関係しているわけではありません。

配線や使用している機器の個数ではなく“容量”が問題になっているのです。1つのコンセントには流れる電気の容量が決まっています。容量の上限を超えてしまうような配線は発熱や発火の危険が高いです。1つのコンセントに複数の配線をつなげても良いでしょう。しかし、「容量」には十分に注意してください。

3‐2.ホコリや水まわりに要注意

基本的に、コンセントは水まわり付近に設置できません。しかし、水を扱う場所の近くにコンセントを設置するケースはあるでしょう。たとえば、洗い場やお手洗い、調理場などです。コンセントの容量は十分に注意しなければなりませんが、水まわりの配置にも注意が必要になります。

また、床に近い場所や商品棚の下にあるコンセントにも要注意です。いつの間にか“ホコリ”がたまってしまいます。たまったホコリのせいで“トラッキング現象”を起こすでしょう。トラッキング現象とは湿ったホコリによる電源ショート、発火現象のことです。発火はお客のケガにもつながりかねないので注意しなければなりません。コンセントにホコリがたまっていないかどうかこまめに確認しておきましょう。

たこ足配線は危険なんですね。
はい。火事になる可能性もあるので、絶対にやってはいけません。

まとめ

コンセント増設の種類やコンセント増設工事内容と費用相場、たこ足配線の危険性・注意点について説明しました。コンセント増設には新しいコンセントを増やす方法と既存コンセントの差し込み口を増やす2つの方法があります。使用目的や店内の配線状況を考えたうえで適切な工事内容を決めてください。工事を依頼する業者も実績のある信用できる業者を選ぶことが大切です。見積もり内容やサービスをしっかり確認したうえで依頼しましょう。