住宅のメンテナンスはなぜ必要なの? 時期の目安とともにご紹介します。

住宅は建てて終わり、というわけではありません。
定期的なメンテナンスが必要です。
では、家のメンテナンスはいつ、どのように行えばよいのでしょうか?
そこで今回は家のメンテナンスの種類や必要な時期をご紹介します。
家を長持ちさせるには日ごろのお手入れも大切ですが、定期的にプロによるメンテナンスも必要です。
家を購入したのだけれどメンテナンスの方法や時期が知りたい、という方はこの記事を読めばおおよその目安がわかるでしょう。
ぜひ参考にしてみてください。

1.なぜ、メンテナンスが必要なの?

この項では、家のメンテナンスの必要性や家が傷む理由をご紹介します。
家はどこから傷みはじめるのでしょうか?

1-1.風雨にさらされているものは弱りやすい

家は、直射日光や雨風にさらされています。
屋外に野ざらしになっているものは、屋内に置いてあるものよりも劣化しやすいです。家にも同じことが言えるでしょう。もちろん家には雨風や直射日光による劣化を防ぐ措置が取られています。しかし、その効果は永遠ではありません。定期的にメンテナンスしなければ、家そのものが劣化してしまいます。

1-2.白アリやカビが家を傷める?

白アリやカビが繁殖すると、家はあっという間に傷んでしまいます。
しかし、白アリは家の床下や壁の隙間で繁殖するため、気がついたときは家がかなり傷んでいたというケースも少なくないでしょう。
カビも同じです。
浴室などに生えるカビは、家全体に生えるもののほんの一部でしかありません。
見えない場所に繁殖しているカビは、知らない合間に住人の健康を脅かすこともあるのです。

1-3.日本の家屋は傷みやすい?

日本は高温多湿の気候です。
ですから伝統的な日本家屋は天井を高くし、間口を広くとって風通しをよくすることで防湿効果を高めています。
しかし、このような開放的な造りの家はエアコンが効きにくく、冬に底冷えがするという弱点がありました。
ですから、現在の家は気密性が高くエアコンも効きやすくなっています。
しかし気密性が高ければ、その分湿気もこもりがちになるでしょう。
いくら防湿対策をしても限界があります。
築年数が経つごとに天井の梁や床下の根太など、家の重要な部分が傷んでくるでしょう。
それを放っておけば、家の寿命は格段に短くなります。
定期的なメンテナンスをして、傷みが進む前に補修する必要があるのです。

2.メンテナンス時期の目安とは?

では、家のメンテナンスをする時期はどのくらいが目安なのでしょうか?
この項では、家のメンテナンス時期の目安をご紹介します。

2-1.5年ごとに点検をしよう

現在の新築住宅は、「新築住宅に対する瑕疵担保期間(10年間)の義務化」が適応されています。
これは、築年数が10年以内の住宅の基本構造部分(柱や梁など住宅の構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分)に欠陥や瑕疵がみつかれば、住宅を造った建築業者や住宅を販売した不動産業者が無料で補修しなければならないという決まりです。
ですから、不動産業者や建築業者の多くが10年以内に何らかの形で点検を行うようにすすめています。
中には、「築5年目に無料点検をします」とうたっている業者もいるでしょう。
「たった5年で?」と思うかもしれませんが、家が建っている土地の気候風土や使い方によっては、細かな不調が出てくるケースもあります。
ですから、理想を言えば5年ごとに定期点検をして細かな不調をメンテナンスしていくとよいでしょう。
しかし、家を建てた方の多くが、20年、30年というローンを抱えています。
5年ごととはいえ、有料の点検を何度も受けられないという方もいるでしょう。
その場合はせめて7年~8年ごとに1度は点検を受けてください。

2-2.築15年で見えない場所に異変が出てくるかも

床下や配管など目に見えない部分が劣化してくるのはおおよそ築15年から、と言われています。
10年目まではそれほど気にならなかった家の傷みも気になってくる時期でしょう。
さらに、洗面所や浴室など水回りの劣化も深刻になっていきます。
ですから築15年を目安に一度大幅なメンテナンスを行ったほうがよいでしょう。
お金はかかりますが、ここでメンテナンスを行っておくと、家の寿命が大幅に伸びやすいです。

2-3.建て替えか、リフォームか

日本の家の寿命はおおよそ30年~40年と言われています。
案外短いように思うかもしれませんが、冷涼な気候で石造りの家が多いヨーロッパと比べると高温多湿で木造の家が多い日本は、どうしても住宅の寿命が短くなるのです。
寿命を迎えた家は建て替えをすすめられる場合が多いですが、こまめなメンテナンスをしていた家は水回りなど一部のリフォームだけですむケースも少なくありません。
トータルな金額で見るとどちらも同じくらいの出費かもしれませんが、リフォームの方が住みながら行える分、負担が軽いことも多いです。
また、こまめにメンテナンスをしていればリフォームも最小限で済むでしょう。

2-4.瑕疵担保期間についての注意点

前述した瑕疵担保期間は10年間有効ですが、メンテナンスを怠った故に起こった雨漏りなどは補償の対象外になります。
ですが、メンテナンスの不備ゆえの欠陥なのか、家の建築時の欠陥なのか築10年以内の物件では判別が難しく、争いが長引くこともあるでしょう。
瑕疵担保期間の権利をスムーズに受けるためにも、メンテナンスは大切なのですね。

3.家を長持ちさせる、普段のお手入れ方法とは?

では最後に、家を長持ちさせる普段のお手入れ方法のポイントをご紹介しましょう。

3-1.防湿を心がける

日本の家は、木造住宅がほとんどです。
ですから、湿気は大敵。防湿効果のある壁紙などを使っているとしても、湿った空気はできるだけ早く外に追い出しましょう。
特に浴室などは、1日中換気扇を回しておくとよいですね。
また、キッチンも水仕事を終えたら、水気を台ふきでぬぐい取っておきましょう。

3-2.汚れはすぐに落とす

汚れはついたときが一番落ちやすいです。
共働き等で忙しい家庭も多いでしょうが、目立つ汚れがついていたら、できるだけ早くふき取りましょう。
特に浴室やキッチン、トイレの汚れは時間がたつほど取れにくくなります。
家の各所に雑巾や台ふきを1枚づつ用意しておき、汚れが気になったらすぐに拭けるように準備しておくとよいですね。

4.おわりに

いかがでしたでしょうか。今回は、家のメンテナンスの必要性やメンテナンスをする時期の目安をご紹介しました。
まとめると

  • 家は定期的にメンテナンスを行わないと、格段に寿命が短くなる
  • 家のメンテナンスは5年ごとが理想だが、無理な場合は7~8年目ごとに行うとよい
  • 築15年後くらいには大幅なメンテナンスをするとよい

ということです。
ローンを組んで家を建てた人の中には「その上さらにメンテナンスでお金がかかるのか」と思う方もいるかもしれません。
しかし、マンションを購入すると月々「修繕積立費」がかかります。
一戸建ての家もそれは同じことです。
ローンのほかに月々にメンテナンス費用を数千円でもためておきましょう。
そうすれば、家に気になる所ができれば、気軽に点検も頼めます。
劣化しない家はありません。他の部分で節約を心がけても家のメンテナンス費用だけは取っておきましょう。
長い目で見ればそのほうがお得です。