床のきしみ音が気になる。その原因と対策方法とは?

最近歩くたびに床のきしみ音が気になる、と悩んでいる方は少なくありません。
築年数がたった家ほど、どうしてもきしみ音は大きくなります。
「経年劣化だからしょうがない」と思いがちですが、対処が必要な場合もあるのです。
今回は床のきしみ音の原因とその対処法をご紹介しましょう。
原因によっては、すぐに対処しないと大変なことになるケースもあります。
また、築年数に関係なくきしみ音が発生することもあるのです。
床のきしむ音が気になるという方は、ぜひこの記事を読んでみてください。

1.床の構造とは?

きしみ音の原因をご紹介する前に、まずは床の構造を簡単にご説明します。
戸建ての一階の場合、束石という平たい石の上に床束という短い柱を立て、さらにその上に大引きという太い木材を横に渡すのです。
そして、大引きの上に根太という少し細い柱を井形に組んでいきます。
すると、格子状になりますので、その上に床板を張っていきくのです。
さて、この際に根太の上に直接床板を張る「根太張り工法」と、根太の上に1枚合板を捨て張りしてから床板を張る「捨て張り工法」があります。根太張り工法の方が、コストも安く工事期間も短くてすむでしょう。
しかし、床板が宙に浮いた部分があるので捨て張り工法に比べると床のきしみ音が起こりやすいという欠点があります。
マンションの場合は、コンクリートの上に直張りで床板を張る工法と、間に緩衝材を入れる二重床工法があるのです。
二重床工法にすると遮音性がとても高くなりますが、コストがかかるので防音室など以外では、あまり使われていません。
このように、床の施工方法しだいで床のきしみ音がしやすかったりしにくかったりすることもあります。

2.床のきしみ音の原因とは?

この項では、床のきしみ音の原因をご紹介していきます。
すぐに対処しなくてはならないものもあるのです。

2-1.フローリング材が原因

最近の住宅の床は、フローリングが多くなりました。
フローリングは木材ですから、気温によって多少の膨張や伸縮もあります。
また、経年劣化とともにフローリング材が乾燥してわずかですが反って(そって)くるケースもあるのです。
このような場合は、床がわずかに波うつこともあるでしょう。
このようになると、フローリング材同士がこすれ合って床鳴りやきしみ音が出ることもあります。
また、根太張り工法の床に重い家具を置くと、フローリングがより反り(そり)やすくなるでしょう。
ですから、重い家具を置く部屋は、捨て張り工法にしておくと床きしみ音がしにくくなります。

2-2.根太が原因

根太は、床材と大引きの間にあって床板を支え、緩衝材の役割を果たす木材です。
家を建てたばかりのころは、根太もまだ乾燥しきっていません。
ですから、水分が抜けていく過程で床鳴りが起きることもあるでしょう。
このような床鳴りは心配いりません。
しかし、築年数がたった家は、この根太が腐ったりやせたりして、床板からはがれてしまうことも珍しくないのです。
その結果、床板と根太の間にすきまができて、床のきしみ音の原因となります。
さらに、根太が腐ってくるとそこにシロアリが住みつく可能性もあるのです。
ご存じのように、シロアリは木材を食い荒らして家の基礎の部分をボロボロにしてしまいます。
根太の部分がシロアリの被害にあえば、最悪の場合床が抜けてしまうかもしれません。早急に対処が必要です。

2-3.土台全体の問題

経年劣化により、土台全体がいたんでくると床のきしみ音は一層ひどくなるでしょう。
特に、床束や大引き自体や、それをつないでいる接着剤や釘(くぎ)などが劣化してくるとフローリングの床でもふかふかと浮いたりしてきます。
家の床も中でも、水回りは湿気が多いため劣化がほかの部分に比べて速まる傾向にあるのです。

3.床のきしみ音を改善する方法とは?

この項では、床のきしみ音を改善する方法をご紹介しましょう。
築年数がたっている家の場合は、大幅なリフォームが必要になる場合もあります。

3-1.床板から接着剤を注入する

まだ築年数がそれほどたっておらず、根太と床材の間にすきまができただけという場合は、床板に小さな穴をあけて接着剤を流しこむ補修方法があります。
床板をはがすことがないので、工期も短く費用もかかりません。
接着剤を入れた穴は分からないようにふさぎますので、見た目にも影響がないでしょう。
ただし、これは専門の業者に依頼する必要があります。
簡単そうに見えますが、素人がやってもうまくいきません。

3-2.床板をはがし、根太を交換する

根太が腐っていたりシロアリの被害にあっていたりする場合は、床板をはがして根太を交換するしかありません。
特に、シロアリの被害にあっている場合は早めに対処しないと土台全体に被害が広がってしまうでしょう。
この場合は、専門の業者にシロアリを駆除してもらってから、補修に入りましょう。
費用はかかりますが、床板が腐り落ちてからでは遅いのです。

3-3.床板を張り直す

ビルやマンションなどで行われるリフォーム方法です。前述したように、マンションやビルでは根太や床束がありません。
床板のすぐ下はコンクリートになっています。
ですから、ビルやマンションの床のきしみ音は床板の劣化が原因ということが多いのです。
こちらも費用はかかりますが、一部だけでもできますので早めに対処してください。

4.水回りは水がしみこまない工夫をしよう

床のきしみ音はキッチンや洗面所など水回りに発生しやすいです。
これは、床板からどうしても水がしみこみやすいため。また、ほかに比べると湿度が高いことにあります。
どうしようもない部分もありますが、防水効果のある塗料を床板に塗るなどの対策をしましょう。
それだけでも、根太の劣化は防げます。
また、水回りの床も捨て張り工法にすると、床のきしみ音を抑えられるでしょう。
さらに、床に水をこぼしてしまったら、できるだけ早くふいてください。
洗面所などはビニールクロス張りのところも多いですが、水がしみこまないというわけではありません。
乾いたぞうきんを1枚用意しておくだけでも、掃除が早くすみます。
さらに、飲食店の場合は人がたくさん通る場所もきしみ音が出やすいです。
そのような場所も床材を強いものにしておくとよいでしょう。

5.おわりに

いかがでしたか?今回は、床のきしみ音と対策方法をご紹介しました。
人が歩いたときにきしむ音がかすかにする、というくらいならばまだ床板の劣化はそれほどではありません。
そのときに対処しておくと、費用も安くすみます。
しかし、床がふかふかするほどになってしまうと、根太にまでいたみが進んでいる可能性が高いでしょう。
特に、シロアリが一度取りついてしまうと自然に出ていくことはほとんどありません。
家の中でシロアリが出たという場合は、床下にすでにシロアリが巣を作っている場合が多いのです。
できる限りすぐに対処しましょう。
また、住宅や店舗を借りる場合は設備ならよく見ますが床板のきしみ音は無視されがちです。
生活をしているときしみ音は案外気になるもの。
自分で何度も歩いて確認したり修繕が必要だったりするのかどうかを不動産屋やオーナーに尋ねてみましょう。
借りてすぐに修繕が必要になったということになったら大変です。
補修をしてくれるならば、入居までにすませてもらいましょう。