タイル浮きの補修はプロに依頼すべき? 判断基準や原因などをご紹介

タイル浮きが気になると、自分で補修できるのか、業者に依頼したほうがいいのか悩む方が多いでしょう。できれば、費用を抑えるために自分で補修しようとする方がいますが、浮き具合によっては業者に依頼したほうがいいケースもあります。また、業者に依頼する場合は、慎重に見極める必要があるのです。

本記事では、タイル浮きの補修方法や注意点などを解説します。

  1. タイル浮きとはどんな状態?
  2. タイル浮きの原因は?
  3. タイル浮きの補修は自分でできる?
  4. タイル浮きの補修方法と注意点
  5. タイル浮きの補修に関してよくある質問

この記事を読むことで、タイル浮きが気になったときの正しい対処法が分かります。悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

1.タイル浮きはどんな状態?

まずは、タイルの浮きがどんな状態を示しているのかチェックしておきましょう。

1-1.コンクリートとタイル・モルタルの間にすき間ができる状態

タイル浮きとは、その名のとおり、タイルが浮いている状態のことです。詳しく説明すると、コンクリートとタイルやモルタルの間にすき間ができている状態を指しています。今のマンションのほとんどが、躯体は鉄筋コンクリートでできていますが、そのコンクリートに外壁として貼られているのがモルタルやタイルなどです。新築から年数が経過するにつれ、その間にすき間が生まれ、タイルが外壁から浮いたように盛り上がります。この状態が、建築用語で浮きと呼ばれているのです。

1-2.コンクリート建造物に起きやすく、浮きの状態はさまざま

タイルの浮きが起きやすいのは、コンクリート建造物です。タイルは、コンクリート建造物の外壁仕上げ材として使われることが多く、経年劣化により付着力が自然と落ちてきます。また、浮きの状態は目で確認できるものから、確認できないものまでさまざまです。主に、タイル面の浮きには、「下地浮き」と「陶片(とうへん)浮き」の2種類があります。それぞれの特徴を以下にまとめたので、ぜひチェックしてください。

  • 下地浮き:タイルの下地自体が浮いている
  • 陶片浮き:タイルが接着用のモルタルから剥離している

陶片浮きはタイルが接着用のモルタルから剥離しているので、再び接着することで改善される傾向がありますが、下地浮きは大がかりな補修となります。下地そのものから浮いているため、早急に対処する必要があるでしょう。

1-3.ひと目で浮いている症状が分かるか

外壁のタイルを目視でチェックし、ひと目で浮いている症状が分かる程度であればなるべく早めに補修を行う必要があります。そのまま放置するとどんどん症状がひどくなり、タイルが剥離して落下する可能性が高くなるのです。もし、高所のタイルが落下し歩行者に当たれば、大事故につながります。目視で確認できるほどの浮きが見られる場合は、ほかの箇所にも症状が起きている可能性が高いと言えるでしょう。また、自分の目で確認できない浮きが発生している場合もあるため、その際は専門業者に調査の依頼をおすすめします。

2.タイル浮きの原因は?

では、なぜタイルの浮きが発生してしまうのでしょうか。

2-1.経年劣化による浮きがほとんど

タイル浮きが発生する多くの原因は、経年劣化です。外壁は常に雨風や直射日光にさらされているため、建造物の中でも劣化スピードが速い箇所となります。タイルは外壁材の中でも外気候の影響を受けにくいと言われていますが、まったく影響を受けないわけではありません。気温が高くなると膨張し、低くなると収縮することをくり返すことで、接着剤の劣化につながり浮きにつながるのです。接着剤が剝がれてしまう前に、メンテナンスを行う必要があります。

2-2.タイル接着のたたき不足

コンクリートにタイルを装着する際は、下地とタイルを圧着させるために強く圧迫して取りつけ作業を行うのが基本です。この作業をたたきと言いますが、このたたきが足りない状態だと外壁タイルがすぐに浮いてしまいます。もし、新築したばかりなのに2~3年もたたずタイルが浮いてきたときは、たたき不足が関係しているかもしれません。

2-3.質が悪いモルタル材の使用

タイル本体に問題があるだけでなく、接着するモルタルの質が悪いことも剥離原因の1つです。質が悪いモルタルで接着されたタイルは、剥離しやすい傾向があります。現在は、建築基準が厳しくなっているので質が悪いモルタル材を使う業者は少なくなりますが、不正を働く悪徳業者が存在しているためゼロではありません。特に、安価なモルタル材は質が悪い可能性が高いので注意してください。

2-4.施工業者の技術不足

タイルの施工工事を行う業者による技術不足が、タイルの剥離を引き起こす原因の1つでもあります。施工工事を行うのは左官ですが、実績や経験がない左官の腕は落ちるので、その分タイルも剥離しやすくなるのです。外壁タイルの需要が増えるにつれ、未熟な左官が工事を行う業者が増えています。基本的に、タイルを圧着する場合は、下地をきちんとキレイに清掃し接着剤をまんべんなくつけなければなりません。腕が未熟な左官は、接着材をいい加減につけたり、清掃不足で下地にゴミがついたりします。

3.タイル浮きの補修は自分でできる?

タイル浮きの補修は、自分でできる症状なのでしょうか。ここでは、補修の必要性や自分でできる症状の見分け方などについて解説します。

3-1.ほかの箇所にまで悪影響を及ぼす

タイルの浮きを放置していると、落下の危険があるだけでなく、ほかの箇所にまで悪影響を及ぼしてしまいます。タイルが浮いている症状を見つけたら、ほかの部分も浮いている可能性が高いのです。コンクリートとタイル・モルタルの間にすき間ができている状態なので、そこから雨水が入り込み、下地を傷めてしまう恐れがあります。下地が傷めばその分補修費用が高くなり、施工期間も長くなりがちです。早めに補修したほうが、費用節約にもつながります。

3-2.自分でできることはほとんどない

タイルとモルタルが剝がれている陶片浮きの場合は、ホームセンター等で接着剤を購入し貼りつけることができます。ほんの1箇所だけ浮いているなら、自分で補修するのも不可能ではありません。けれども、時間があまり経過しないうちに、再び浮きが発生する可能性が高いでしょう。また、広範囲のタイルが浮いている・タイルの浮きがひどい場合は、業者に依頼したほうが安心です。補修実績がある業者は、きちんと外壁調査を行い、その症状に見合った方法で補修を行います。より丁寧かつスピーディーに補修できるでしょう。

3-3.症状別の補修方法をチェック!

タイル浮きの補修方法は、症状によって異なります。ここでは、部分的・全体的にタイルが剝がれている場合の補修方法をそれぞれ解説しましょう。

3-3-1.部分的なタイル浮きは接着剤を塗布

タイル浮きが部分的に発生している場合は、接着剤をタイルに塗布して貼りつける方法が基本です。1枚1枚を貼りつけるので時間がかかるため、広範囲の補修には向いていないでしょう。また、タイルのみが浮いている場合はタイル張替え工法を使います。外壁タイル用接着剤を使い、タイルを張替る方法です。

3-3-2.全体的なタイル浮きは新しい外壁をかぶせる

全体的にタイルが浮き上がってきたときは、既存のタイルをすべて剝がしてもう1度貼り直すために時間と費用がかかりがちです。そのため、劣化した外壁タイルの上に、新しい軽めの外壁材をかぶせる方法があります。また、特殊な接着剤を使って、タイルをまとめて固める工法などさまざまです。一定の範囲でタイルが剝がれているときは、タイルと下地の間にビスを打ち込み、そのすき間に樹脂を埋め込むピアニング工法などが選択されます。

4.タイル浮きの補修方法と注意点

ここでは、タイル浮きの補修方法で気をつけておきたいポイントと注意点を解説します。

4-1.慎重に施工業者を選ぼう

前述したように、タイル浮きの補修の仕上がりは、工事を行う左官の腕にかかっています。そのため、慎重に施工業者を選ぶことが大切です。補修業者選びで注目しておきたいポイントは、以下のとおりとなります。

  • タイル補修の実績があるか
  • 施工例をホームページ等に記載しているか
  • スタッフの対応が丁寧でスピーディーか
  • 見積書の内容が具体的に記載されているか
  • 口コミや評判がいいか
  • 無料相談や外壁調査を受けつけているか
  • どのような質問にもより具体的に答えてくれるか

4-2.費用を節約したいなら複数の業者を比較しよう

早めに補修を行うことはもちろんですが、複数の業者を比較することも費用節約のポイントです。複数の業者を比較することで、費用が抑えられる業者が分かります。ただし、ここで注意してほしいのは、費用だけを重視して業者を選ばないことです。業者の中には、安価で質が悪い材料を使うところがあり、タイルの剥離の原因となります。極端に安い業者には依頼しないように気をつけましょう。

4-3.無理に自分で補修するのはNG

費用節約のために、DIYで補修を行うことがありますが、素人が安易に補修をするのは危険です。間違った方法で補修を行うと、逆に浮きの症状が悪化してしまう恐れがあります。間違った補修方法は、逆効果になり、最初に依頼するときの費用よりも割高になってしまうでしょう。

5.タイル浮きの補修に関してよくある質問

タイルの浮きの補修に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.補修が必要な浮きを見分ける方法は?
A.パールハンマーと呼ばれる打診棒でタイルをたたき、そのときの音で判断する方法があります。タイルをたたいてキンキン・ピンピンという金属音がした場合は、タイルが裏面で浮いている状態です。一方、ゴンゴン・ゴロゴロといったにぶく音域の低い音がした場合は、下地とモルタルの裏に大きな浮きがある証拠となります。低音が響くほど症状が悪化しているため、早めに補修する必要があるでしょう。打診棒はホームセンターなどで購入できます。自分で見分けたいときはぜひ利用してみてください。

Q.外壁タイルのメンテナンス頻度はどのくらい?
A.ほかの外壁材よりも耐久性が高いタイルはメンテナンスが不要と言われていますが、定期的なチェックは必要です。タイル自体は長持ちしても、接着面や目地の部分は劣化するので、およそ10年に1度はメンテナンスを行うようにしてください。外壁タイルのメンテナンスにかかる費用は、50万円程度なのでほかの外壁材よりも安く抑えることができます。

Q.タイルの共浮きとは?
A.補修の際に機械工具を使うことで、浮きが発生していないほかのタイルまで浮かせてしまうことです。特に、既存のタイルを撤去し新しく張替る工法では、共浮きが発生しやすくなります。正常なタイルの目地を傷めてしまわないように、1~2枚程度のタイル単体の浮きは、張替えを行わずに放置するケースもあるのです。無理に剝がしてほかのタイルまで浮かせるよりも、放置したほうがリスクが少ないのでしょう。

Q.タイル浮き補修にかかる費用はいくらぐらい?
A.範囲や症状によって異なりますが、100万円以内で収まるケースがほとんどです。外壁タイルの補修は、一般的なサイディングなどの外壁材よりも費用が安いのが大きなメリットとなります。初期費用はかかりますが、補修やメンテナンスは安く抑えられるのです。ただし、メンテナンスを怠ると補修費用が高くなることがあるため、定期的に行う必要があります。

Q.外壁タイルの剥離は頻繁に起きることなの?
A.正しく施工されていれば、滅多に剥離することはありません。タイルはほかの外壁材よりも耐久性に優れ、長く保ち続けることができる種類です。特に、近年は接着剤の質が上がってきているため、地震が起きても落下しないようになっています。施工してからすぐに剥離が発生したり、頻繁に剝がれたりする場合は、経費削減による手抜き工事がほとんどです。経験不足による職人が手がけたせいで、落下しやすい状態になっている可能性もあります。

まとめ

タイル浮きの主な原因は、経年劣化または施工不良です。そのまま放置するとどんどん悪化し、補修が大がかりな作業になってしまいます。専門業者に補修を依頼する場合、放置するほど時間とお金がかかってしまうので要注意です。簡単な補修で済めば、費用が節約できます。

また、状態によっては自分で補修もできるでしょう。まずは、どのような状態になっているのか詳しく調べることが大切です。