知っておきたい空き家を放置するリスク〜家財の処分方法や解決策〜

空き家をそのまま放置すると、大きなリスクを負うことになります。「一体どんなことが起きるのか」「どうすればリスクを避けることができるのか?」など、空き家問題で悩みを抱えている方は多いでしょう。空き家に関するリスクをしっかりと把握しておけば、最悪な事態を未然に防ぐことができるはずです。

そこで、本記事では、空き家問題の解決策・リスクなどについて解説します。

  1. 空き家問題とは?
  2. 空き家を放置&所有するリスクは?
  3. 空き家問題の解決策
  4. 空き家に残った家財の処分方法
  5. 空き家のリスクに関してよくある質問

この記事を読むことで、空き家を放置・所有するリスクや解決策などが分かります。悩んでいる方はぜひチェックしてください。

1.空き家問題とは?

まずは、空き家問題の基本情報をチェックしておきましょう。また、空き家の現状についても説明します。

1-1.社会問題になっている空き家

空き家問題について暑かったニュースをよく目にするようになったように、社会問題になりつつあります。空き家問題とは、名前のとおり、空き家が増え続けていることです。空き家が増え続けることで、空き家に関するトラブルも年々増加しています。また、空き家を管理するには相当のお金がかかり、所有者の血縁にもかかわらず放置するケースが増加中です。すべての空き家が近隣住民にも被害をもたらすほど、深刻な問題になっています。

1-2.高齢化社会が空き家増加の原因に

空き家が増加している背景には、高齢化社会問題があります。総務省が2013年に実施した空き家の調査によると、全国の空き家数は約820万戸でした。高齢化社会が進行するとさらに増えるといわれており、2033年ごろには空き家数が2,150万戸まで増えるとのことです。1人暮らしで生活している高齢者が亡くなり、そのまま放置状態の空き家が懸念されています。なお、空き家の種類は以下の4種類です。

  • 売却用:販売中の空き家。不動産会社が管理している
  • 賃貸用:入居者募集中の空き家。不動産会社が管理している
  • 二次利用:普段使っていない別荘など、所有者が管理している
  • そのほか:上記の3種類以外で、所有者が管理している

1-3.空き家の管理や活用に関する問題も

空き家が増加している原因は、高齢化社会問題だけでなく、管理や活用に関する問題もあります。ほとんどの空き家は、高齢者が住んでいたもしくは親から子どもに受け継がれた家です。そのため、家族との思い出が詰まっている空き家には手を出しにくく、利活用することに抵抗があるという方がたくさんいます。「最後は自宅で迎えたいから」「思い出が詰まっている家は売りたくない」など、空き家の管理や活用に悩みを抱えているのも問題点です。

2.空き家を放置&所有するリスクは?

では、空き家を放置&所有するリスクは一体どのようなものなのでしょうか。

2-1.周囲への悪影響や近隣住民とのトラブルに発展する

空き家を放置すると、周囲への悪影響や近隣住民とのトラブルに発展するリスクがあります。「今はまだ大丈夫」と思っていても、老朽化が進むと空き家の倒壊・破損・散乱が考えられるでしょう。特に、最近は大きな地震が相次いでいます。地震による外壁の剝落や台風による屋根材の散乱によって周囲へ悪影響を及ぼしてしまいがちです。また、空き家は放火の対象になりやすい傾向があります。空き家の不審火・放火によって近隣住民に被害が及んでしまうと、管理不十分ということで火災を防止できなかった責任に問われてしまうでしょう。治安と衛生のためにも、空き家をしっかり管理しなければなりません。

2-2.資産価値が下がる

家は年々価値が下がるものなので、空き家は資産価値を下げてしまう恐れがあります。空き家の放置期間が長くなるほど家の状態がどんどん悪化し、いざ売却をしようとしても価値の下落が止まらなくなるでしょう。さらに、日本全体で人口・世帯数の現象が始まっていることもあり、加速化が進んでいる地域では周辺に住む人もいなくなるので地価はより下落する傾向があります。宅地の価値は立地に影響されるため、家と土地の両方で同時に価値の下落が起こる可能性も考えられるのです。せっかく、時間とお金をかけて維持してきた空き家でも、価値の下落も見積もっておかないと大きな損失を受けてしまうことになります。

2-3.強制的に取り壊されることも

「家族の思い出が詰まっているから」と売却したり取り壊したりすることをせずに、そのまま空き家を所有し放置している方は多いでしょう。けれども、空き家を所有し管理するためには、維持費がかかってしまいます。また、適正な維持管理がなされていないと、自治体が空き家の所有者に対し措置を勧告するケースもあるので注意が必要です。空き家問題が注目されている今、空き家対策特別措置法によって、自治体による空き家対策の権限が強化されました。その結果、最終的には行政代執行といった強制的に空き家を取り壊すこともできます。

3.空き家問題の解決策

ここでは、空き家問題の解決策をいくつか紹介します。

3-1.空き家をしっかりと管理する

空き家問題を未然に防ぐ1番の対策といえば、空き家をしっかりと管理することです。空き家問題によるトラブルの多くは、主に空き家が利用されていないことが原因となります。実際に、空き家に住むことができれば老朽化も抑えることができるでしょう。空き家問題は、普段から人の住んでいる家では起こりにくい問題です。しかし、住むことが難しいケースもありますよね。空き家を劣化させたくないなら適切に管理することが重要なポイントです。自分で定期的に風とおしをしたり、住宅設備の挙動確認や点検をしたりする方法がありますが、維持管理費がかかります。自分で管理するのが困難な場合は、空き家の管理サービスを行っている業者に依頼するのも方法の1つでしょう。

3-2.空き家を上手に活用する

自分で住むことができない場合、空き家を賃貸として貸し出す方法があります。一般的な賃貸として空き家を活用すれば、毎月家賃収入を得ることができるでしょう。また、民泊としてほかの人に貸したり、公共用途に活用したり、ほかの人に利用してもらったりすることも可能です。空き家はリスクが高いマイナスの資産といわれていますが、上手に活用することで収益を生む資産にできます。

3-3.空き家を売却する

所有して放置しているだけで活用しないのなら、空き家を売却するのも解決策の1つです。前述したように、空き家は時間が経過するほど資産価値が大きく下がります。すぐに売却すれば理想の金額で売ることができたのに、放置した結果、価値が大幅に下がってしまったというケースがありました。売却を考えているならなるべく早めに、そして見込みのある時点での売却がおすすめです。また、立地条件や周辺状況によって空き家の売却値が大きく異なります。詳細に関しては、地域の不動産会社に相談するといいでしょう。

4.空き家に残った家財の処分方法

空き家に残った家財は、どのようにして処分すればいいのでしょうか。主な処分方法をいくつか紹介します。

4-1.自治体回収のゴミとして処分する

主な処分方法は、自治体回収のゴミとして処分することです。一般的なゴミは、自治体回収で処分することができます。ただし、ゴミの大きさや素材などで燃えるゴミ・燃えないゴミ・粗大ゴミ・資源ゴミなどに分類しなければなりません。多くの自治体では一辺が30cm以上のものは粗大ゴミ扱いになっています。粗大ゴミは事前の申し込みが必要だったり、回収指定場所まで運ばなければならなかったりする点がデメリットです。そのため、時間と手間がかかってしまいます。処分費用は最小限に抑えることができますが、デメリットもしっかりと把握しておきましょう。

4-2.不用品回収業者にまとめて依頼する

ゴミの分類や処分に手間と時間をかけたくない・大量の不用品があるという方は、不用品回収業者に依頼する方法をおすすめします。不用品回収業者の多くは、幅広いジャンルの不用品を回収しており、出張回収も可能です。わざわざ自分たちで運び出す必要もなく、迅速かつスピーディーに不用品を処分することができます。回収費用や出張費などお金はかかりますが、まとめて素早く処分したい方にはおすすめです。また、不用品回収業者を利用する際は、どのくらいお金がかかるのか見積書を細部までチェックしましょう。

4-3.売れるものは買取に出す

家財の中には、買い取ってもらえるものがあるかもしれません。絶対に売れるとは限りませんが、売れるものを売却すれば処分費用を抑えることができるでしょう。特に、状態がよく、中古市場において需要があるものは買い取ってもらいやすい傾向があります。ブランドもの・家電・家具類は買取額が高くなりやすいので、査定を依頼してください。不用品回収業者の中には、買取サービスを実施しているところもあります。買取不可になっても処分してもらえるので一石二鳥です。

5.空き家のリスクに関してよくある質問

空き家のリスクに関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.都市部が抱える空き家問題とは?
A.田舎のほうが空き家は多いというイメージがありますが、最も空き家化が進んでいるのは都市部です。都市部で空き家が進む理由としては、都市部の借地問題・地価の下落・登記の問題があります。都市部は地方と比べて借地利用が多く、権利関係が複雑です。そのため、土地活用がなかなか上手に進まず、空き地となっているケースがよくあります。また、家の所有者が死亡して相続しなければならないのに、手続きがされず不明となっているケースもあるようです。

Q.空き家の維持費はいくらぐらいかかるのか?
A.あくまで目安ですが、年間約50万円になるといわれています。固定資産税額によっても大きく異なるため、もっと高くなる可能性もあるでしょう。また、空き家の維持にかかる主な費用項目は以下のとおりです。

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 水道光熱費
  • 保険料(火災保険・地震保険等)
  • マンションの場合は管理費・修繕積立金
  • 管理費

年数が経過するほど空き家は古くなり、市場での価値が低くなります。毎年資産価値が低くなること、維持費を踏まえた上で、空き家の対策・活用法を考えましょう。

Q.更地にして土地活用することも可能か?
A.もちろん可能です。ただし、更地にするためには、家を解体しなければなりません。解体費用がかかることを踏まえた上で更地にすることをおすすめします。築年数がかなり経過している空き家はそのまま売却するのが困難なため、新しく建てたほうが安く済むケースもあるでしょう。その場合は、空き家を解体して更地にした後、賃貸にする方法も1つの手です。

Q.空き家問題における相談先は?
A.空き家の問題について誰かに相談したい方は、各自治体の窓口に問い合わせましょう。空き家問題が進行しつつある今、多くの自治体では空き家問題対策の窓口を設けています。専用窓口がなくとも、問い合わせれば相談にのってくれるでしょう。また、自治体の中には、空き家を活用するためのセミナーや講習なども行っているところがあります。さらに、NPO法人 空き家・空き地管理センターでは、無料相談窓口を設けているので活用してください。

Q.空き家問題の自治体による対策は?
A.悪影響を及ぼしているまたはその恐れがある危険な空き家は、特定空き家と認定され措置の対象となります。自治体が行っている措置の内容は以下のとおりです。

  1. 市町村から改善のための助言・指導
  2. 改善がなければ勧告され固定資産税の特例適用除外
  3. 改善勧告に従わなければ改善命令
  4. 改善命令にも従わなければ代執行により強制対処

まとめ

空き家を放置すると、周辺への悪影響や近隣住民とのトラブルなどに発展する恐れがあります。高齢化が進行している現在の日本において、年々空き家は増加している現状です。空き家を放置するのはとてもリスクが高いことなので、早めにどうすべきか家族での話し合いが必要となります。空き家を賃貸や民泊として活用したり、売却したり、方法はさまざまです。なお、各自治体では空き家問題に対する処置や対策を行っているため、悩んでいる方は窓口に相談してみてはいかがでしょうか。早めの行動が対策につながります。