倉庫の塗装はDIYできる? 工事の流れや費用など知りたい内容をお届け

ビルや住宅と同じく、工場・倉庫の場合も、外壁塗装の定期的な塗り替えが必要です。工場・倉庫内の温度は外壁によるところが大きいため、外壁が劣化すると冷暖房費がかさんだり、人為的ミスが発生したりするなどのおそれが出てきます。建物内外のより良い環境を保ち続けるためには、外壁塗装の塗り替えが必要です。しかし、どんな塗料を使えば良いのか、専門業者へ依頼したほうが良いのか……と、頭を抱えることが多いでしょう。そこで、本記事では、倉庫の外壁塗装の方法とポイント・注意点について解説します。

  1. 倉庫の塗装~基礎知識
  2. 倉庫の塗装~塗り替えの方法は?
  3. 倉庫の塗装工事は?
  4. 倉庫の塗装に関してよくある質問

この記事を読むことで、倉庫の塗装方法とポイントが分かります。気になっている方は、ぜひチェックしてください。

1.倉庫の塗装~基礎知識

まずは、倉庫の塗装にぴったりな塗料の種類と、その特徴をチェックしておきましょう。

1-1.塗装の種類は?

外壁塗装に使う塗料はさまざまな種類がありますが、倉庫・物置に使用するのは、主に「アクリル系塗料」「ウレタン系塗料」「シリコン系塗料」「フッ素系塗料」の4種類です。それぞれの特徴を以下にまとめましたので、ぜひチェックしてください。

  • アクリル系塗料:耐水性・耐候性に優れている
  • ウレタン系塗料:アクリル系よりも耐久性が高く、耐候性に優れている
  • シリコン系塗料:フッ素系に近い耐久性で、耐熱・耐寒・耐候・光沢に優れている
  • フッ素系塗料:変色がなく、超耐候性・耐久性に優れている

ほかにも、ラジカル塗料・光触媒塗料・遮熱塗料など、さまざまな種類があります。そのときの倉庫の状態や素材によって使用する塗料の種類は異なるため、詳しいことは塗装業者へ相談すると良いでしょう。

1-2.倉庫塗装の特徴は?

一般住宅との主な違いは、「面積」です。基本的に、一般住宅よりも倉庫のほうが塗装面積が広いため、塗装にお金がかかる傾向があります。塗装面積が広いと、塗り替えが完了するまでの時間もかかるので注意が必要です。また、倉庫の場合は、商品など大事なものを保管するケースがほとんどでしょう。外壁の劣化が進むたびに、庫内の保管物への悪影響も考えられるため、環境を整える塗料を選ぶ必要があります。

1-3.塗装の効果、メリットは?

倉庫塗装を行うメリットは、主に3つあります。
1つ目は「建物内の環境が改善できること」です。前述したとおり、倉庫内の温度は外壁による影響が大きいため、寒暖が激しすぎる環境だと冷暖房費がかさみます。また、倉庫内で作業する人の集中力が途切れることでミスの発生も多くなるのです。外壁塗装の効果が切れ、建物内の環境が悪化している場合は早めの対処が必要でしょう。
2つ目は「近隣住民とのトラブルが回避できること」です。外壁塗装が剥がれたり、カビばかりが生えたりしていると、見た目に良くないだけでなく、衛生面での不安を周囲に与えることもあるでしょう。近隣住民からの信用を得るためにも、定期的な塗り替えが必要となります。
そして、3つ目は「資産が守れること」です。外壁塗装をきちんと行うことで、紫外線・雨風・ホコリなどから建物のダメージを防ぐことができます。庫内に保管している資産を守るためには、外壁塗装で建物の劣化を防いでいかなければなりません。

2.倉庫の塗装~塗り替えの方法は?

では、実際に倉庫の塗装はどうすれば良いのでしょうか。

2-1.塗り替えタイミングと必要性は?

約8~10年が塗り替えの目安だといわれていますが、塗料の種類によって異なります。具体的な塗り替え時期に関しては、塗料別の耐用年数を参考にしてください。

  • アクリル塗料:約5年
  • ウレタン塗料:約8年
  • シリコン塗料:約10年
  • フッ素塗料:約12年

倉庫は一般住宅よりも日差しをじかに受けやすい傾向があります。そのため、庫内の温度管理を適切に行うためにも、耐用年数よりも早めに塗り替えを検討したほうが良いでしょう。外壁塗装の剝がれ・カビ・サビ・ヒビ・色あせなどが発生している場合も、早めの塗り替えをおすすめします。

2-2.DIYで可能か?

必要な材料が用意できれば、DIYで塗り替えができます。しかし、大きい倉庫の場合は準備と作業が大変なので、業者へ依頼したほうが良いでしょう。外壁塗装でメインの仕事に支障を来しては意味がありません。また、塗料自体が余ってしまうと、処分費用もかかってしまいます。逆に、小さめの倉庫や、木製の物置なら自分で簡単に塗り替えができるでしょう。

2-3.DIYの方法は?

まずは、DIYに必要な道具を準備しなければなりません。使用する塗料・ハケ・養生シート・脚立などを用意したら、以下の手順で塗り替えましょう。

  1. サビがある場合は、ワイヤーブラシなどを使用してサビを落とす
  2. 高圧洗浄機またはホースで水をかける
  3. 完全に乾燥させた後、塗装しない部分をビニールやガムテープを使って保護する(養生)
  4. 下塗り→中塗り→上塗りの順で塗料を塗る
  5. 完全に乾燥させて完了

基本的に、外壁塗装の塗り替えは下塗り・中塗り・上塗りの3回に分けて行います。下塗りは塗料(中塗り・上塗り)と素地(そじ)の間を密着させる役割があるのです。中塗りと上塗りは、仕上げの2回塗りとも呼ばれており、同じ仕上げ用の塗料を使用します。

2-4.プロに依頼したほうが良いケースは?

倉庫の面積が大きい・外壁塗装の劣化が激しい場合などは、業者へ依頼したほうが良いでしょう。特に、金属製の倉庫はサビができやすく、塗装前にしっかりと落としておかなければなりません。サビの部分が残っていると、塗装がうまくできず、効果が存分に発揮されなくなります。また、以下のような症状がある場合も、塗装業者へ依頼したほうが安心できるでしょう。

  • 屋根のふちにサビがついている
  • 深く長いヒビができている
  • 前回の塗り替えから10年以上経過している
  • 手で強くこすると白い粉がつく

3.倉庫の塗装工事は?

業者へ倉庫の塗装を依頼する前に知っておきたい工事内容をまとめました。きちんとした塗り替えができるか否かは業者選びにかかっているので、ぜひ確認してください。

3-1.工事の流れ、工期は?

具体的な工事の流れは、倉庫の劣化状態や使用する塗料などで異なります。一般的な塗装工事の流れを以下にまとめましたので、参考にしてください。

  1. 足場を設置し、塗装しない場所にシートやテープで保護する
  2. 高圧洗浄機を使用して、旧塗料をキレイに取りのぞく
  3. 取りのぞけない塗膜は、サンドペーパーまたはワイヤーブラシを使って除去する
  4. サビ止め効果のある下塗り材(エポキシ樹脂など)を使用して下塗りを行う
  5. 中塗り→上塗りを行い、紫外線対策を施す
  6. 足場や養生を撤去し、仕上げを確認して完了

塗装工事にかかる期間は、塗装の広さによりますが、半年~1か月が目安となります。マンションと異なり、障害物が少なく塗りやすいので、半年以内で終わらせることができるでしょう。ただし、工事の期間は近隣住民に迷惑をかけないように、「騒音」と「安全性」に気をつけておかなければなりません。工事を始める前に、具体的な工期などについて近隣住民へ知らせておきましょう。

3-2.費用の目安は?

業者へ依頼する際に気になるのが「費用」ですよね。大まかに言うと、工場・倉庫にかかる塗装費用は、約50万~100万円以上になるケースが多いでしょう。塗装範囲が広くなるほど、費用がかさむので注意が必要です。工場・倉庫の塗装費用は、塗装面積だけでなく、塗料のグレードも大きく関係してきます。たとえば、最も安価なのはウレタン塗料で、費用対効果が高いのはシリコン塗料です。熱を通さないことで人気がある遮熱塗料はシリコン塗料よりもグレードが高く、高級塗料のフッ素塗料はもっとお金がかかります。参考として、以下にそれぞれの費用をピックアップしました。

<塗装面積100㎡(約30坪)の場合>

  • ウレタン塗料;約53万円
  • シリコン塗料:約60万円
  • 遮熱塗料:約60万円
  • フッ素塗料:約71万円

<塗装面積330㎡(約100坪)の場合>

  • ウレタン塗料;約180万円
  • シリコン塗料:約200万円
  • 遮熱塗料:約200万円
  • フッ素塗料:約240万円

具体的な費用に関しては、業者へ無料見積もりを依頼してください。その際に、何に対していくらかかるのか内訳も入念に確認しておきましょう。

3-3.業者選びのポイントは?

塗装業者の中には、きちんと正しい塗装を行わない悪質な業者が存在しています。「塗装後に剝がれた」「見積時よりも高い額を請求された」など、業者との間でトラブルが多発しているのです。そんなトラブルを未然に防ぐためにも、以下のポイントをチェックし信用できる業者を選びましょう。

  • スタッフの対応が丁寧でスピーディー
  • 倉庫の外壁塗装の実績・経験がある
  • 低費用かつ高品質な作業が可能
  • 無料見積もり・無料相談を受けつけている
  • 口コミ・評判が良い
  • どんな悩みにも親身になって聞きアドバイスしてくれる

3-4.工事中に気をつけておきたい点は?

倉庫の周辺に住宅地が広がっている場合は、工事中にある程度の騒音があることをしっかりと説明しなければなりません。できるだけ、騒音対策を行っている業者へ依頼しましょう。また、どんなに気をつけていても、予期しないトラブルが起こる可能性があります。そのため、経験豊富で現場意識の高い現場監督が指揮するなど施工管理がしっかりとできている業者を選んでください。塗装業者へ任せたままにするのではなく、定期的に状況を確認することも大切です。

4.倉庫の塗装に関してよくある質問

倉庫の塗装に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.塗り替えをしないとどうなるのか?
A.倉庫の塗装は永久的なものではないので、使用年数が重なるたびに劣化がひどくなります。特に、金属製の倉庫はサビやすい傾向があるため、腐敗が進み、穴が開いてしまうでしょう。その穴から雨水が浸入すると、保管物が濡(ぬ)れたり、水分が増えたりすることでさらにサビが悪化します。さらに、庫内の環境も悪くなる一方なので、害虫が発生するおそれもあるでしょう。

Q.おすすめの塗料が知りたい
A.さまざまな塗料がありますが、倉庫におすすめなのは「遮熱塗料」です。現在、ほとんどの工場・倉庫に使われている塗料といっても良いでしょう。遮熱塗料は倉庫内の温度を下げ、エアコン費用が節約できる効果が期待できます。つまり、遮熱塗料を用いることで、CO2削減・コスト削減につながり、年間で大きな成果が生まれるのです。鉄部塗装には必要不可欠な塗料なので、メーカー別の遮熱塗料を見比べてみてください。

Q.倉庫の外壁塗装でよくある失敗例は?
A.倉庫の外壁塗装は面積が広くなるため、手間と時間がかかる分、費用も高くなります。値引きなどで必要以上に安くする業者は、必要な過程を削ることがあるので塗り残しが発生するケースがみられるのです。また、雨漏りを直すために塗装をしたけど失敗するケースもあります。雨漏りがあった場合は、散水調査・サーモグラフィー調査など雨漏りの原因を特定するための調査が必要です。

Q.費用を安く抑えるコツは?
A.複数の塗装業者から出た見積もりを比較してください。見積もりを比較することで、最も安く抑えられる業者を選ぶことができます。ただし、前述したとおり、安すぎる業者には注意が必要です。業者選びのポイントを押さえながらも、自社で全工程を行える業者かチェックしてください。全工程を自社で行う業者は、認識にズレが発生しないので安全です。

Q.「減価償却」とは?
A.事業用の倉庫を塗装する際、塗装にかかった費用は「修繕費」として確定申告時に記載できます。つまり、その年の経費として落とすことができるのです。しかし、費用が20万円以上の塗装工事の場合は、「資本的支出」とみなされ、「減価償却」の対象となります。減価償却の対象となった場合は、全額を一度に経費として処理できないので注意してくださいね。

まとめ

いかがでしたか? 倉庫の外壁塗装は、より良い環境を保ち続けるために必要なことです。倉庫の外壁は金属製のタイプが多く、使用年数が長くなるほど内側・外側・扉など、さまざまな部分にサビが出てきます。腐食を放置すると、内部に雨水が浸入し、さらにサビが広がるでしょう。傷みの程度が軽いうちに塗装で補修することが大切ですが、倉庫はそこそこ大きいのでDIYは大変です。DIYよりも塗装業者へ依頼したほうが、スピーディーかつ適切な塗装ができるでしょう。ただし、中には不正を働く悪質な業者が存在しているので、業者選びは入念に行ってくださいね。