
【注目】断熱性能って何? 家の断熱リフォームで失敗しないためには?
家の断熱リフォームを行うのなら、性能の良さも考える必要があるでしょう。せっかくリフォームしたのに、効果が実感できないのでは困ります。しかし、よくわからないまま業者に依頼すると失敗しやすくなるものです。まずは、断熱性能などの基本を理解する必要があります。そこで、今回は、断熱性能の知識を含め、家の断熱リフォームについて詳しく解説しましょう。
この記事を読むことで、断熱性能に関する基本が理解でき、家の断熱リフォームを適切に進めることができます。まずは、記事をじっくり読んでみてください。
1.断熱性能の基礎知識
断熱性能の基本として、効果・メリットをはじめ、最近の傾向など詳しく解説します。
1-1.断熱性能とは
まずは、断熱性能に関する用語を学びしょう。
1-1-1.Q値とK値とは
断熱性能を表す値として、Q値とK値があります。Q値は、建物全体の断熱効果を表す数字で「熱損失係数」のことです。また、K値は壁や床などの部位別の断熱性能を表す数字で、「熱貫流率」となります。いずれの数値も数値が小さいほうが断熱性能に優れており、高い省エネ効果を期待できるのです。
1-1-2.断熱性能の等級について
断熱性能にはH1~H5まで5つの等級があり、数字が大きくなるほど性能が高くなります。それぞれの基準については、以下の熱貫流抵抗値(K値の逆数)の数字を参考にしてください。
- H-1:0.215
- H-2:0.246
- H-3:0.287
- H-4:0.344
- H-5:0.430
熱貫流率(K値)は数字が小さいほど、熱貫流抵抗値は数字が大きいほど、断熱性能に優れていることを意味します。
1-1-3.次世代省エネルギー基準について
次世代省エネルギー基準とは、国内の断熱化基準の通称で、平成25年10月に改正を受けました。政府は、2020年までに新築建築物のすべてで基準を満たすことを目標にしています。改正後は、国内を8つの区分に分け、それぞれの基準を満たすことが必要になったのです。より詳しいことは、一般財団法人建築環境・省エネルギー機構の住宅の省エネルギー機構のページを参考にしてください。
1-2.断熱効果やメリット・理由など
断熱効果を上げることで、省エネを進めることができます。特に、エアコンの使用率が下がることによる効果は大きくなることでしょう。断熱効果を求めることは、建物内で過ごす人が快適になるだけでなく、省エネにもつながるのです。また、夏場の熱中症や冬場の低温障害の防止にもなるなど、メリットがたくさんあります。
1-3.断熱性能に関する最近の傾向
断熱性能も、より高いレベルのものが求められています。省エネ効果を高めるためにも、断熱性能の高い方法・素材が有利です。断熱性能を重視する人が増えたため、断熱リフォームの件数も増加しています。
2.断熱について
断熱の基本として、メリットや断熱すべき部分などについて詳しく解説します。
2-1.断熱とは
断熱とは、外部との熱の出入りを防止することです。たとえば、家の内外で熱の出入りがあると冷暖房の効果が出にくく、余計なエネルギー消費につながります。特定部分の熱を逃したくないときに断熱を行うのです。
2-2.断熱するメリット
断熱するメリットには、主に以下のようものがあります。
2-2-1.エネルギー消費が減って環境にやさしい
断熱効果が上がれば、冷暖房のためのエネルギー消費が減るというメリットがあります。また、排出するCO2が減る点でも、環境にやさしいのです。
2-2-2.光熱費が安くなる
家の断熱性が高くなれば、エアコンなどの冷暖房効率が上がります。同時に、エアコンの使用率が下がるため、光熱費が安くなるはずです。
2-2-3.結露しにくくなる
断熱効果が高くなれば、室外と室内の温度差が小さくなるため、冬場に結露しにくくなるものです。また、室内が湿気にくくなるため、カビの発生を抑えることもできます。
2-3.断熱する部分について
断熱を施す部分は、以下を参考にしてください。すべて断熱すると理想的ですが、はじめは、1か所から行って構いません。
2-3-1.屋根
屋根を断熱リフォームすることで、太陽熱の影響を抑えて室温を一定に保ちやすくなります。特に、夏場は室温の上昇を防ぐことができてエアコンの利きがよくなるため、熱中症の予防にも役立つものです。
2-3-2.外壁
外壁は面積が広いため、断熱リフォームをすることで高い効果を実感しやすいものです。断熱塗料で外壁塗装を行うことで、気軽にリフォームができます。経年変化などで効果が徐々に薄れるため、数年~10年を目安に塗り替えが必要です。
2-3-3.窓
窓枠がゆがんでいたり壁との間にすき間があったりすると、部屋の密閉性が薄れます。二重窓など、断熱効果の高い窓に交換することで暖房の利きもよくなることでしょう。
2-3-4.床下
冬場に足元が冷える場合は、床下に断熱材を敷くなどの方法がおすすめです。冬場でも素足で快適に過ごせるほどに快適な室内を実現できます。
2-4.断熱に関するそのほかのこと
節約を考える場合、光熱費の増加はできるだけ抑えたいものです。しかし、夏場の熱中症や冬場の低温障害を引き起こしては困ります。そこで、初期費用がかかっても、家の断熱効果を上げたいと考える人が増えているのです。実際に断熱リフォームを行った場合、光熱費が下がっただけでなく、いつでも快適な室内環境となっています。
3.断熱する方法について
断熱する方法について、詳しく解説します。自分でできる方法やプロに依頼した場合のメリット・断熱方法の種類や選び方などしっかり学んでください。
3-1.自分でできる方法
簡単な断熱なら、自分でも行うことができます。たとえば、窓や扉のすき間を市販のテープでふさぐ・カーテンで日照を調整するなどの方法です。断熱シートを床に敷くだけでも、暖かさが異なることでしょう。また、外壁塗装に自信があるのなら、断熱塗料を塗ることもできます。DIYが得意な人は、自分でできるものはないかいろいろと考えてみてください。
3-2.プロによる断熱方法や工法について
プロに断熱を依頼すれば、自分で行うよりも広範囲を素早く高品質に行うことができます。特に、屋根や床下など、自分では対応できない部分を中心にプロの業者に依頼するといいでしょう。確実に断熱効果を実感できるはずです。プロに断熱リフォームを依頼した場合は、主に以下のような方法で行われます。
- 屋根・外壁:断熱塗料を塗る
- 屋根:屋根裏に断熱材を入れる
- 窓:断熱窓に交換する
- 床:床下に断熱材を入れる
3-3.断熱方法のメリット・デメリット
断熱方法として、断熱塗料を塗る・断熱性の高いものに交換する・断熱材を入れるの3つについて、メリット・デメリットを解説します。
3-3-1.断熱塗料を塗る
断熱塗料を塗るメリットは、屋根や外壁など家の外部に断熱リフォームを行える点です。大がかりな工事を必要としないため、気軽に行いやすいのもメリットと言えるでしょう。デメリットは、経年変化などで効果が薄れやすい点です。数年~10年に1回程度、塗り替えの必要があります。い
3-3-2.断熱性の高いものに交換する
窓や扉など、部分的に断熱性の高いものに交換する方法は、高い断熱性を期待できる点がメリットです。ただし、交換できる部分が限られるため、広範囲の断熱効果を求めにくいというデメリットがあります。
3-3-3.断熱材を入れる
屋根・壁・床下などに、断熱材を入れる方法もあります。メリットは、家の現状を維持したまま断熱効果を高めることができる点です。デメリットは、工事が大がかりになりやすく、費用の負担が増加したり工事期間が長くなったりする点と言えます。
3-4.断熱部分や方法の選び方
どんな方法で断熱するべきかについては、家の状況や予算によっても異なります。既存の家でコストパフォーマンス重視なら、断熱窓の導入など手頃な部分の断熱リフォームがいいでしょう。より効果を高めたいときは、面積が広い部分(屋根・外壁・床)などの断熱を考えてください。なお、屋根でも断熱シート・断熱材を入れる方法と、外部に断熱塗料を塗る方法があります。断熱方法は業者ともよく相談して決めましょう。
3-5.断熱方法に関する最近の傾向
断熱材は、以前はシートタイプが主流でした。しかし、今では吹きつけタイプのものが増えてきています。吹きつけタイプのメリットは、シートタイプのデメリットであった「シートがずれる・よれる」という問題をなくし、すき間なく断熱効果を期待でいる点です。シートタイプのものより密着度も高いため、高い効果が期待できます。
4.断熱リフォームについて
断熱リフォームについて、業者の選び方・施工例・費用の目安など詳しく解説します。
4-1.どんな場合に断熱リフォームをすべきか
たとえば、以下のような場合には、断熱リフォームをおすすめします。
- 天候によって室温の上下が激しい
- 冷暖房の利きが悪い
- 窓に結露が見られる
- 足元が冷える
- 光熱費を節約したい
4-2.断熱リフォームを依頼する業者の選び方
断熱リフォームを依頼するときは、以下のような条件を満たす業者にしましょう。
- 断熱リフォーム工事の実績が豊富
- 工事技術のレベルが高い
- 依頼者の希望を的確に聞き取り最適な提案ができる
- 対応が親切で感じがいい
- 見積もりは無料
- 工事費用がリーズナブルで明確なシステム
- 希望の工期に最大限合わせてくれる
- 利用者からの評判がいい
- 保証やアフターフォローが充実している
4-3.断熱リフォームの工程や流れについて
断熱リフォーム工事は、下記のような流れで進みます。
- 業者に断熱リフォーム工事の問い合わせ・相談をする
- 業者が現場視察を兼ねて依頼者の希望をヒアリングする
- 業者から断熱リフォームの見積もりが出る
- 見積もり内容を検討し、問題がなければ正式契約する
- 予定日に業者がやってきて断熱リフォーム工事を開始する
- 作業が完了後、依頼者に業者から工事内容を再度説明・確認して完了
4-4.断熱リフォームの施工例
断熱リフォームの施工例を3つご紹介しましょう。
4-4-1.古い窓枠から断熱性の高い窓に交換した
古い家のため、窓枠にすき間ができて外からの風が吹き込んでいたため、リフォームで断熱性の高い窓に交換した事例です。断熱効果は元より、二重窓で気密性も高まったために防音性も向上しました。
4-4-2.屋根に断熱材を入れてエネルギー効率を高めた
1年中エアコンをつけなければいけないぐらいに、外気温の影響を受ける家の屋根に断熱材を入れた事例です。夏場の室温上昇を抑え、冬は暖房の熱が逃げにくいため、快適な室温を保ちやすくなって光熱費も軽減しました。
4-4-3.床下に断熱材を敷きつめ、底冷えを解消した
フローリングの床が冷たくて足先から冷えてしまう状態を、床下に断熱材を敷きつめたことで解消した事例です。床から熱が逃げにくく底冷えしなくなったため暖房効率が上がり、冬でも快適な室内環境に変えることができました。
4-5.断熱リフォームの日数の目安
断熱リフォームの工事日数は、以下を目安にしてください。
- 断熱窓への交換:半日~2日程度
- 屋根や床に断熱材を入れる:1週間~1か月程度
- 屋根塗装や外壁塗装で断熱効果の高い塗料を使う:1~2週間程度
4-6.断熱リフォームの費用相場や低価格にするコツ
断熱リフォームの費用相場を知るためには、複数の業者に見積もり依頼をすることをおすすめします。業者によって多少のばらつきがあっても、大体の目安がわかることでしょう。なお、より低価格にするためには、国や自治体から補助金をもらって行う手もあります。条件があう場合は申し込んでみるといいでしょう。ただし、不定期に募集があるのでこまめにチェックすることが大切です。
4-7.断熱リフォームに関するそのほかのコツ
断熱リフォームは、家全体で行おうとすると工事費用も期間もかかります。まずは、最も気になるところを中心に手をつけるといいでしょう。または、予算に合わせて選ぶ方法もあります。たとえば、断熱窓への交換はコストパフォーマンスや満足度も高いのでおすすめです。
5.断熱性能に関するよくある質問
最後に、断熱性能に関するよくある質問に回答します。それぞれの内容を確認し、参考にしてください。
Q.断熱性能が高い家で注意することは?
A.断熱性能が高いことは、気密性が高いことも意味します。気密性が高いことで空気が悪いと感じることもあるでしょう。適宜、換気扇を回す・窓を開けるなどして調整しましょう。
Q.断熱性能は永久に続くのですか?
A.断熱塗料や断熱材に関しては、素材の劣化に伴い、効果がだんだんと薄れてきます。10年程度を目安に塗り替えや交換をしてください。断熱窓についても同様です。使用しているうちに、すき間などの不具合が出てきたら修理もしくは交換を依頼しましょう。
Q.断熱リフォームを行うのに適した時期は?
A.できるだけ晴天が多い時期が理想的です。断熱塗装は、雨が降ると工事ができなくなります。また、雨が降ると湿気が多くなるため、工事品質が低下する可能性があるからです。急ぎでない場合は、業者ともよく相談して決めてください。
Q.断熱リフォームでは光熱費の節約以外にどんなメリットがありますか?
A.冷え性の解消・熱中症の予防など、体の負担がなくなって健康に過ごしやすくなるでしょう。冬場に多いヒートショック(温度差による血圧の上昇など)のリスクも低くなります。特に、高齢者にとっては安全で暮らしやすい家になることが大きなメリットです。
Q.断熱リフォームで利用可能は補助金の種類は?
A.主な補助金の種類には、以下のようなものがあります。
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス普及加速事業
住宅ストック循環支援事業補助金
また、自治体により以下のような補助金制度がある場合もあります。
いずれの補助金も利用条件が細かく決まっており、募集時期が不定期であることが多いのでこまめにチェックしてください。
まとめ
今回は、断熱性能や断熱リフォームについて詳しく解説しました。省エネ対策としても、断熱リフォームは有効な方法です。正しい知識を身につけ、適切な断熱リフォームを行うことで、光熱費を節約でき快適な暮らしを送ることができるでしょう。なお、断熱リフォームで業者に依頼する場合は、信頼できるところを選ぶことが大切です。家の状況にあったリフォーム例を提示してもらい、じっくり考えて最良の方法を取り入れていきましょう。