台風による被害は火災保険で補償される? 火災保険見直しのポイントも
「台風による被害は火災保険で補償されるのか?」「補償対象となる被害例が分からない」など、台風の被害に対する保険で悩んでいる方は多いでしょう。近年、被害が増えている台風の対策として、保険に注目する方が増えています。きちんと保険について把握しておかなければ、不要な保険料を支払い続けることになり兼ねません。
そこで、本記事では、台風被害で利用できる保険について解説します。
この記事を読むことで、台風被害に対する保険のあり方や補償対象などが分かります。気になっている方はぜひチェックしてください。
1.台風による被害は火災保険で補償されるのか?
まずは、台風による被害は火災保険で補償されるのか、具体的に解説します。
1-1.火災保険で台風による被害は補償されるが…
台風の被害にあった場合、火災保険で損害を補償することができます。火災保険の中で台風被害の補償となるのは、水災補償・風災補償・落雷補償の3つです。どの補償内容が適用されるかは台風の被害状況に応じて異なるので注意してください。それぞれ保険金が支払われるケースは以下のとおりです。
- 水災補償:台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石などによる被害(ただし、床上浸水または地盤面から45cmを超えた浸水、損害割合が30%以上の場合)
- 風災補償:台風、突風、竜巻、暴風などによる被害
- 落雷補償:落雷による損害
1-2.補償対象によって補償される損害が変わる
火災保険で注意しておきたいのは、補償対象によって補償される損害が変わることです。火災保険では、保険の対象を建築のみ・家財のみ・建物と家財の3つの中から選ぶことになります。保険の対象を建物のみとした場合、建物本体だけでなく敷地内に設置されたもので保有しているものは補償されるでしょう。家財のみとした場合は、建物がある敷地内に収容される家財、建物と家財にした場合は建物と家財の両方が補償される仕組みです。台風被害に関しても、補償対象によって補償される損害が大きく異なります。
2.補償対象・補償対象とならない被害例
では、補償対象・補償対象とならない被害例をいくつか紹介しましょう。
2-1.台風の接近・上陸で想定される被害例
たとえば、台風の強烈な風でドアが破損した場合、台風による風災と認定され、火災保険の風災補償の対象となります。ほかにも、補償対象となる例は以下のとおりです。
- 台風による豪雨で排水があふれ、床上浸水した
- 台風による風で看板が飛んできてケガをした
- 大型台風による大雨で土砂が崩れ、建物が巻き込まれた
- 台風の影響による高潮で床下浸水した
- 台風が上陸した影響で雷が発生し、家電製品が壊れた
- 台風による大雨で、車が水没してしまった
2-2.保険の対象が建物のみの場合
保険の対象が建物のみの場合、窓・屋根・床上・カーポートなどの損害が補償対象となります。たとえば以下の例が挙げられるでしょう。
- 台風による風圧で窓が飛散した
- 台風で突風や強風が吹き、飛来物が原因で窓ガラスにヒビが入った
- 台風の暴風雨により屋根瓦が破損してしまった
- 台風で屋根が飛び、破損した
- 台風による局地的な大雨で排水があふれ、浸水した
- 台風の強風でカーポートの屋根が破損した
2-3.保険の対象が家財のみの場合
保険の対象を家財のみとした場合、家具・電化製品・自転車などが補償対象となります。主な具体例は以下のとおりです。
- 台風でドアが破損して家の中にある家具が雨にぬれた
- 台風の影響で雷が発生し、電化製品が壊れた
- 台風の突風によって自転車が倒れて破損した
保険の対象を建物のみにした場合は、家財についての補償が受けられません。また、家財のみを対象にした場合は、建物の補償が受けられないので注意してください。どちらも補償対象にしたい場合は、建物・家財の火災保険に加入します。
2-4.自然または摩擦による劣化・3年以上経過した場合
台風の被害でも状況によっては火災保険の補償が受けられないことがあります。主な例としては以下のとおりです。
- 自然または摩擦などで劣化した場合
- 事故が起きてから保険金請求まで3年以上経過した場合
建物の経年劣化や老朽化によって損害が発生した場合は、基本的に補償の対象外です。また、保険金の請求期限が保険法で3年とされているため、3年以上経過すると保険金を受け取ることができなくなります。被害にあったら速やかに保険会社に連絡することが大切です。
3.保険金の請求方法は?
ここでは、保険金の請求方法を解説します。
3-1.保険金を受け取るまでの大まかな流れ
前述したように、台風による被害を受けた場合は、速やかに保険会社へ連絡します。保険金を受け取るまでの一般的な流れは以下のとおりです。
- 契約者は保険会社へ事故の連絡をする
- 保険金請求に必要な書類等の案内を受ける
- 保険金請求に必要な書類等を提出する
- 書類等が認められると保険会社から保険金が支払われる
保険会社へ連絡するときは、契約者名・保険証番号・事故の日時と場所・保険の目的・事故の状況などを伝えることになります。そして、保険金の請求に必要な書類などについての案内が送られてくるのでそろえて保険会社に提出してください。現地で保険会社による損害状況の確認と調査を行った上で、保険金支払いの審査と認定が行われます。
3-2.保険金の請求に必要な書類
保険契約の内容や保険会社によって異なりますが、一般的に必要な書類は以下のとおりです。
- 保険金請求書(各保険会社指定の用紙)
- 罹災(りさい)証明書(罹災の事実や被害の程度を証明するもの。被害に遭った場所を管轄する消防署または消防出張所で交付)
- 被害の程度がわかる写真や画像データ
- 修理業者などからの修理見積書や報告書
台風の損害が大きい場合、保険金請求額が高額になるので印鑑証明証や建物登記簿謄本が必要になることもあります。保険会社からの案内書をしっかりと確認することが大切です。
3-3.写真を提出しなければならないケースも
台風の被害状況によっては、保険金を請求するために写真が必要になるケースがあります。写真が必要になると「どのように撮影すればいいのか?」と悩む方がほとんどです。保険会社によって異なりますが、被害を受けた建物や家財の全体を撮影した写真と損傷箇所が確認できる写真を用意することになるでしょう。建物の場合は、建物の全景写真が必要になることもあります。具体的に、どのような写真を撮影すればいいのか保険会社に相談したほうが安心です。
4.火災保険を見直す際に押さえるべきポイント
火災保険を見直す際に押さえるべきポイントをいくつか紹介します。
4-1.火災保険で受けられる補償を確認する
見直しの際は、火災保険で受けられる補償を必ず確認してください。火災保険に加入していても、保険料節約のために水災補償を外し、補償が薄くなっていることがあります。また、風災補償の免責金額を高く設定していると、損害の程度によっては損害保険金がほとんど支払われない契約内容になっていることもあるのです。自分が認識していた内容よりも補償が薄くなっていると、今まで支払ってきた保険料が無駄に感じてしまいます。どのような被害に備えたいのか・貯蓄などでどこまで自力で対処できるのかなど考えた上で、過不足のない補償内容にすることが大切です。
4-2.台風被害で心配なのは雷
台風被害=雨や風による被害と思われがちですが、台風に伴って発生する雷で大きな被害を受けることもあります。実際に、落雷による過電流の影響で、コンセントにつながれた家電製品が壊れてしまったケースも起きているのです。落雷被害による台風被害を考えた場合、火災保険の基本補償となっている落雷補償を受けることができます。火災保険を見直す際は、落雷に対する補償内容もしっかりと確認してください。
4-3.火災保険はライフスタイルの変化によって見直す
「火災保険はどのタイミングで見直せばいいの?」と悩みがちですが、ライフスタイルの変化によって見直すことが大切です。たとえば、子どもが独立して少なくなると、家財保険に対する保険料を減らすことができるでしょう。逆に、リフォームで増設する場合は、補償内容を広く設定しなければならない可能性もあります。火災保険について悩んでいる方は、1度保険会社に相談してみてはいかがでしょうか。具体的な状況やライフスタイルの変化を伝えることで、ぴったりな保険プランを教えてもらえるはずです。安心して依頼できる保険会社に相談することをおすすめします。
5.台風被害の保険に関してよくある質問
台風被害の保険に関する質問を5つピックアップしてみました。
Q.台風の被害にあったらいくらもらえるのか?
A.支払い要件に当てはまると、契約時に決めた保険金額を限度として損害保険金が支払われることになります。一般的に、損害保険金として支払われる金額は、損害額から免責金額を差し引いた残りの金額です。免責金額とは、保険会社が保険金を支払う責任がない金額を指しています。契約時にあらかじめ決めた自己負担学となるため、契約時はしっかりと確認した上で契約をかわすことが大切です。
Q.風災補償のポイントは?
A.風災補償は最大瞬間風速が大きなポイントとなります。最大風速ではなく、最大瞬間風速であることが重要なポイントとなるので注意してください。たとえば、最大瞬間風速が秒速20mに達するような強風が吹いて被害が出た場合、風災補償の対象となるでしょう。日常生活における強風はもちろん、春一番や木枯らしによる被害も最大瞬間風速が秒速20mなら風災補償の対象になる可能性が高くなるのです。そのため、経年劣化と思われていた屋根の損害に対して保険を使うときに役立つ可能性があります。
Q.水災補償に加入するメリットは?
A.水災補償は、台風や大雨で近くの川が氾濫して起こる洪水や、ゲリラ豪雨でマンホールの排水が行き場を失ったことによる都市型洪水も対象となります。これらの被害はいったん発生すると、浸水被害が広範囲にわたるでしょう。1件あたりの被害額が数百万になる可能性もあるため、水災補償に加入するメリットは大きいといえます。浸水被害が大きいと想定される地域に住んでいる方は、水災補償に加入したほうがいいでしょう。
Q.保険会社によって査定が違うのはなぜか?
A.火災保険の申請から支払いに至るまでのスケジュールが大きく関係しているからです。火災保険の申請を行うと、現場検証のために保険会社から派遣される職員がいます。一般的に、職員は保険会社の社員ではありません。損害保険鑑定人と呼ばれている人で保険会社から依頼を受けて、どのくらいの被害が出ているかを第三者目線で判断することになります。被害が出ている現場に行き写真を撮影し図面を引いて被害状況を確認してからレポートを作成し提出する流れです。そのため、保険会社によって保険が下りるまでの時間や査定が異なります。
Q.保険金を受け取る前に片付けや修理をしてもいいのか?
A.防犯や安全上の問題から、片付けや修理が必要な場合は行っても構いません。ただし、作業を始める前に被害状況の写真を撮影してください。写真から状況を判断し、修理見積書と支払保険金を算定することになります。作業後の写真では判断しづらくなるため、片付けや修理を行う前に写真は必ず撮影しましょう。写真撮影を忘れてしまえば、受け取る保険料が少なくなったり、認可されなかったりする恐れがあるので要注意です。
まとめ
台風による被害は、火災保険の補償対象になっています。主に、火災保険の水災補償・風災補償・落雷補償が台風被害の補償範囲になるでしょう。ただし、建物の経年劣化や老朽化による損害は、台風被害と認められない可能性があるので注意が必要です。保険に加入していても、十分な保険金を受け取ることができないケースもあります。また、保険金の受け取りは事故が発生してから3年以内に請求しなければなりません。3年経過していると保険金が受け取れなくなるので注意してください。定期的に火災保険の内容を見直し、補償内容をチェックしておきましょう。