外壁のメンテナンス時期は? 具体的な方法やタイミングなどを徹底解説

「外壁に発生しやすい劣化症状とは?」「どんなタイミングで外壁のメンテナンスをすればいいのか」など、外壁のメンテナンスで悩んでいる方は多いでしょう。早いうちに劣化症状を把握することにより、軽い劣化症状であれば、自分での補修も可能です。

そこで、本記事では、外壁に発生する劣化症状やメンテナンス時期などについて解説します。

  1. 外壁に発生する劣化症状は?
  2. 外壁のメンテナンス時期は?
  3. 外壁のメンテナンス方法は?
  4. メンテナンスフリーの外壁はあるのか?
  5. 外壁のメンテナンスに関してよくある質問

この記事を読むことで、外壁のメンテナンスを行う時期や具体的な方法が分かります。悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

1.外壁に発生する劣化症状は?

最初に、外壁に発生する劣化症状をチェックしておきましょう。

1-1.外壁の色あせ・コケと藻の発生

外壁の状態をチェックしてみて、色が前よりあせていたり、コケや藻が発生したりしているなら、劣化している証拠となります。新築時と比べて外壁の色があせていれば、できるだけ早めに塗り替えを検討したほうがいいでしょう。特に、日の当たる南と西側の外壁は色あせが起こりやすい傾向があります。また、塗膜の防水性が切れるとコケや藻が発生しやすくなるので、放置するほどどんどん増えてしまうことになるでしょう。日当たりの悪い北側や川沿いの家は特に発生しやすいため、注意が必要です。

1-2.触ると白い粉がつくチョーキング現象

外壁を手で触ってみて白い粉がつく場合は、チョーキング現象が発生している可能性が高いといえるでしょう。塗膜の劣化が起こっているため、白い粉がついてしまいます。特に、窯業系サイディング・金属系サイディング・モルタル・ALCはチョーキング現象が起きやすいため、劣化が気になったときは外壁を手で触ってみるといいでしょう。

1-3.注意しておきたいクラックの発生

外壁の劣化症状の中でも注意しておきたいのが、クラック(ひび割れ)の発生です。モルタルとALCの外壁に発生しやすく、クラックの大きさによっては早急な補修が必要になるケースがあります。0.3mm以下のクラックはヘアークラックと呼ばれており、範囲が狭ければDIYでの補修が可能です。けれども、0.3mm以上は構造クラックと呼ばれているひび割れで、コーキング剤で埋めるなどの下地処理をしっかりと行った上での塗装が必要となります。構造クラックは自分で対処できないケースが多いため、業者に依頼したほうがいいでしょう。

2.外壁のメンテナンス時期は?

それでは、外壁のメンテナンスはいつ行えばいいのでしょうか。

2-1.外壁塗装は築10年ごろが目安

具体的なメンテナンス時期は、外壁塗装や外壁材の種類によって異なりますが、築10年ごろが目安だといわれています。ほとんどの一戸建て住宅は、ちょうど10年近くになると、いろいろな箇所で不具合や劣化症状が目立ち始めるでしょう。10年以上経過しても劣化症状が見られないケースもありますが、定期的に塗り替えを行ったほうが良いといわれているのです。

2-2.外壁塗料の耐用年数を考慮する

外壁塗料の種類によって耐用年数が異なるため、塗装業者は塗料の耐用年数もメンテナンス時期の目安として考えています。耐用年数は、塗料の効果が保てる期間を示している時期です。つまり、耐用年数以上の年数になると塗料の効果が発揮できず、外壁がもろくなってしまうことになります。主な塗料の耐用年数は以下のとおりです。

  • アクリル系:約4~7年
  • ウレタン系:約6~10年
  • シリコン系:約8~15年
  • フッ素系:約15~20年
  • 遮熱・無機などの特殊塗料:約15~20年

2-3.気になったときに修繕する

外壁のメンテナンス時期としては、気になったときに修繕するというのも大切なポイントとなります。時間が空いているときにでも外壁の状態をチェックし、異変がないか確認してください。定期的にチェックしておけば、変化にすぐ気づくことができるでしょう。また、劣化症状が軽ければ修繕費用を安く抑えることができます。1番いけないのは、そのまま放置することです。外壁の劣化スピードはどんどん速くなり、いつの間にか大がかりな修繕工事が必要となり費用も高くなってしまいます。「あのときすぐに補修しておけばよかった」と後悔しないようにしましょう。

3.外壁のメンテナンス方法は?

ここでは、外壁のメンテナンス方法について解説します。

3-1.塗装業者による現地調査が大事

外壁のメンテナンスを行う前に、塗装業者による現地調査が必要です。多くの家庭が外壁のメンテナンスを専門業者に依頼すると思いますが、必ず現地調査を行っているか確認してください。現地調査では、実際に塗装業者のスタッフが家にやってきて外壁の状態をチェックします。どんな状態なのか・ほかに劣化している部分がないかなど細かくチェックした上でメンテナンス方法が決まる流れです。状況をしっかりと把握しておかなければ、適切なメンテナンス方法をピックアップすることができません。つまり、現地調査を行っていない業者は不正を働く悪徳業者の可能性が高いといえるでしょう。

3-2.劣化症状によってメンテナンス方法は異なる

現地調査を行った上で、劣化症状に応じてメンテナンス方法が決まります。たとえば、サイディングボードのシーリング部分だけが劣化している場合、シーリングの打ち替えを行うことになるでしょう。サイディングボード自体が劣化している場合は、塗り替え・重ね塗り・張り替えなどの方法でメンテナンスを行います。それぞれの具体的な方法は以下のとおりです。

  • 塗り替え:耐久性の高い塗料などを使って塗り替える
  • 重ね塗り:現状の下地の上に新しいサイディングボードを張る
  • 張り替え:現状のサイディングボードを撤去し、新しいものを張る

3-3.クラック補修はシーリング注入またはエポキシ注入

モルタル外壁などにクラックが発生した場合、シーリング注入またはエポキシ注入でひび割れの部分を埋めることになります。主な施工の流れは以下のとおりです。

  1. モルタル外壁に発生しているクラックを、サンダーを使用してUの字にカットする
  2. プライマーを塗布した後に、シーリング剤を充填する
  3. シーリング剤を充填した上に、モルタルを乗せる
  4. 上から塗装をして完成

具体的な流れは外壁の状態によって異なるため、事前に業者との打ち合わせで確認することをおすすめします。

3-4.タイルの張り替え

外壁材がタイルの場合は、新しいタイルに張り替える方法があります。基本的に、下地である壁面に接着剤で圧着貼りをしてタイルとタイルの間をコーキング剤で埋める方法です。タイル自体は耐久性が非常に高いので、塗り替えなどの必要はありません。けれども、窓まわりのシーリング部分が劣化したり、タイルの浮きが発生したりなどの劣化症状に合わせて、定期的にメンテナンスする必要があります。そこまで劣化症状が現れていない場合は、洗浄を行うのがタイルの基本的なメンテナンス方法です。

4.メンテナンスフリーの外壁はあるのか?

では、メンテナンスフリーの外壁はあるのでしょうか。

4-1.どの外壁にもメンテナンスは必要不可欠

実際に、ハウスメーカーや塗装業者の中には、メンテナンスフリー外壁を販売しているところがあります。けれども、実際は、まったくのメンテナンスが必要ないというわけではないので注意してください。基本的に、どの外壁にも定期的なメンテナンスが必要不可欠です。ただ、メンテナンスフリーと謳(うた)っている外壁は、メンテナンスの手間を軽減できる・耐用年数が長いというメリットがあります。メンテナンスに手間と時間をかけたくない方は、メンテナンスフリー外壁を選んでも構いませんが、定期的なメンテナンスが必要だということを把握しておかなければなりません。

4-2.セルフクリーニングタイプの外壁塗装

メンテナンスに手間と時間をかけたくない方は、セルフクリーニングと呼ばれている外壁塗装がおすすめです。セルフクリーニングは、紫外線で汚れを分解したり、雨水でコーティングして汚れをブロックしたりする機能を持っています。ほかの塗料よりもメンテナンスの必要が低く、塗り替え期間を延ばすことも可能です。さらに、セリフクリーニング機能を持っている塗装の多くは、20~30年といった長期的な耐久年数を誇っています。ただし、ほかの塗料よりも費用が割高になるので要注意です。

4-3.外壁業者選びも大切なポイント

外壁のメンテナンスを行うときは、外壁塗料だけでなく、業者選びも重要なポイントなのでチェックしておきましょう。外壁業者の中には、きちんと外壁調査を行わずに塗り替えをしたり、正しい方法で補修しなかったりする悪徳業者が存在しています。実際に、「高いお金を払ったのに塗り替え後、すぐに劣化症状が発生した」などのトラブルが相次いでいるのです。外壁業者を選ぶ際は、以下のポイントをチェックするといいでしょう。

  • 外壁塗装や補修の内容が充実しているか
  • ホームページ等に施工事例が記載されているか
  • スタッフの対応が丁寧でスピーディーか
  • 無料相談や無料見積もりを受けつけているか
  • きちんと現地調査を行っているか
  • どのような方法で塗装や修繕を行うのか説明してくれるか
  • 口コミや評判が良いか

5.外壁のメンテナンスに関してよくある質問

外壁のメンテナンスに関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.外壁を定期的にメンテナンスするメリットは?
A.定期的にメンテナンスすることで、美しい外観を保ち続けることができます。外壁は建物の第一印象を決める大切なポイントです。外壁がひどく汚れていると、悪い印象を近隣に与えてしまいます。また、メンテナンスは美観を保つだけでなく、建物自体を頑丈にするメリットもあるのです。劣化症状を放置するほど雨漏りが発生しやすくなり、内部の木材が腐ってしまいます。台風や地震などの自然災害に弱い建物になってしまうのです。

Q.塗膜の膨れやシーリング部分の劣化が見られる場合も補修すべきか?
A.できるだけ早めに補修することをおすすめします。塗膜の膨れや剝がれは、塗膜が劣化している証拠です。そのまま放置すると、そこから雨水が入り込んでしまう恐れがあります。また、シーリング部分の劣化も甘く考えてはいけません。外壁材と外壁材の継ぎ目や窓サッシまわりのゴム部分となるシーリングは、劣化してしまうと雨水が浸入しやすくなるのです。

Q.自分で補修できる劣化症状は?
A.狭い範囲での色あせや、0.3mm以下のクラックであれば自分で補修できる範囲内といえるでしょう。ホームセンター等に販売している道具や塗料を使って、自分でも補修はできます。しかし、経験がない人が補修してしまうと、逆に劣化症状が悪化する恐れも十分考えられるでしょう。不安な方は、専門業者に相談することをおすすめします。

Q.築年数が浅くても劣化症状は起きるのか?
A.劣化症状は築年数が浅くても発生する可能性があります。たとえば、築年数が1~2年でも立地条件によっては軽度の変色が起きる場合があるでしょう。新築のころはきれいな状態でも、外壁は毎日紫外線や雨風にさらされているため、少しずつ塗料の耐久性能が落ちてしまいます。また、5~6年経過するころにはチョーキング現象が起きたり、6~7年になるとカビやコケの発生が目立ったりすることもあるのです。

Q.メンテナンス費用はいくらぐらいか?
A.あくまで目安となりますが、標準的な戸建住宅の場合、約80万~130万円かかるでしょう。使用する塗料の種類や劣化症状・範囲などによって異なるため、事前に見積書をしっかりと確認してください。当然ですが、大きな家であればあるほど面積も増えるので金額が高くなります。どんな作業や塗料にいくらかかるのか内訳もしっかり確認しましょう。

まとめ

外壁のメンテナンス時期は築10年が目安といわれていますが、劣化症状が見られた場合は早めの補修・塗り替えをおすすめします。対応が早ければ早いほど、修繕費用を安く抑えることができるからです。特に、チョーキング現象やクラックが発生したときは、早めの対処が必要となります。放置すると雨漏りが発生し木材が腐敗しては建物自体の耐久性が落ちてしまうため、気になったときは塗装業者などに相談するといいでしょう。