お風呂のタイルの補修法! ひび割れや欠けがもたらす悪影響は?

経年劣化や地震で風呂のタイルがひび割れたり欠けたりすることは珍しくありません。ひびや欠けがあっても、実際にどのような悪影響があるのかが分かりづらいため、そのまま放置してしまっている人も多いでしょう。しかし、実はひび割れや欠けを放置しているとさまざまな悪影響があるのです。

そこで、今回は風呂のタイルの補修に関する基礎知識をご紹介します。

  1. 劣化したお風呂のタイルを放置するとどうなる?
  2. お風呂のタイルをすぐに補修すべきケース
  3. DIYか業者に依頼するかの判断基準は?
  4. 風呂のタイル補修を業者に依頼する場合
  5. 風呂のタイル補修をDIYする方法
  6. 風呂のタイル補修に関するQ&A

この記事を読むことで風呂のタイルを補修する際に知っておくべき基礎知識を得ることができます。

1.劣化したお風呂のタイルを放置するとどうなる?

まずはひび割れたり欠けたりしている風呂のタイルを放置するとどんな悪影響があるのかをお話しします。

1-1.家の劣化につながる

一番問題なのはタイルが劣化すると、ひびなどの隙間から壁の中に浸水することです。浸水が壁の中にまで達すると、柱や鉄骨などを錆(さ)びさせる原因となります。特に、古い家では壁の中が腐食していたり、隙間が多かったりするため浸水しやすく、家を傷める大きな原因となるでしょう。

1-2.カビが繁殖しやすくなる

タイルが劣化すると表面に細かな傷やひび割れができるようになります。このような小さな隙間に入り込まれてしまうと、スポンジでこすったり水を流したりしただけでは奥のほうまでカビ菌を除去しきれません。結果としてカビが繁殖しやすくなります。見た目の面にも衛生面でも悪影響が大きいので、注意が必要です。

1-3.落下の危険がある

タイルが劣化すると割れやすくなりますし、目地が劣化することで壁から剝がれやすくもなります。ぐらぐらと不安定な状態で地震が起きたり道路工事で振動が加わったりすればタイルが剝がれて落下する危険性があるでしょう。タイルは非常に堅く重いですし、割れたタイルは鋭利な状態になることもあります。もしも、天井付近のタイルが落下して頭に当たったり首に刺さったりしたら……想像しただけでも危険ですよね。

2.お風呂のタイルをすぐに補修すべきケース

この項では、どのようなときに早急な補修が必要となるのかをお話しします。

2-1.タイルがぐらついている

落下してケガをする原因になり得ますので、タイルがぐらついている状態は非常に危険です。また、ぐらついている状態で放置していると目地に負荷がかかりやすくなるので、よりひび割れたり剝がれやすくなったりします。なるべく早く補修するようにしましょう。

2-2.タイルや目地にひび割れがある

タイルや目地にひび割れがあると、浸水のリスクがあります。前述したように浸水が発生すると、時として家に大きなダメージを与えてしまうので早急な対処が必要です。特に、1年以上放置している場合は緊急性が高いので、必ず補修をしてください。なお、目地のひび割れだけなら、DIYでも比較的簡単に補修できるのでぜひ検討してみましょう。

2-3.カビがひどく、除去しきれない

タイルの状態によってはカビがひどくなってしまい、除去しきれないことがあります。カビを除去できずに放置してしまうと、毒素による悪影響が考えられるでしょう。特に、入浴時は窓を閉め切ることが多いので、ほかの場所に発生したカビよりも多く毒素を吸い込んでしまうリスクがあります。また、カビが大量に繁殖することでタイルの劣化を早める原因にもなるので、しっかりと対応しなければいけません。

2-4.15年以上経過している

浴室の寿命は、一般的に15~25年程度だといわれています。寿命といわれる年数を経過すると、たとえ目に見える不具合がなくても補修を行うことが大切です。プロの目から見れば劣化している部分もあるでしょうし、浴室の寿命を延ばすことにもつながります。

3.DIYか業者に依頼するかの判断基準は?

次はDIYか業者かで迷っている方に、選び方の判断基準をご紹介します。

3-1.タイルの下地にまで劣化が進行しているかどうか

下地処理は非常に重要な部分で、プロと素人の技術差が最も大きく出る場所です。下地処理を適当に行うとタイルがしっかりと固定されなかったり、浸水しやすくなったりします。ですから、タイルの下地にまで劣化が起きている場合は、DIYではなくプロに依頼するのがベターです。

3-2.ひび割れを1年以上放置しているかどうか

ひび割れを1年以上放置している場合、隙間から浸水し、裏側にまで大量のカビが繁殖しているケースがあります。場合によっては壁や柱などにもダメージを与えていることもあるでしょう。そのようなときに適切な対処を取れるかどうかが、浴室の寿命に大きく影響します。適切な判断をしてもらうためにも、長く放置している場合にはプロに依頼することが大切です。

3-3.全面張り替えにするのかどうか

タイルを全面張り替えにする場合、失敗すると浴室全体に悪影響を与えてしまいます。防水処理や下地・目地の仕上げなど、知識や技術がないとできないことも多いので、全面張り替えの場合はプロに依頼すべきです。

3-4.床か壁か

床のタイルを補修するのか壁のタイルを補修するのかも重要な判断ポイントです。床は常に大量の水が流れる場所なので、特にしっかりとした技術・知識による補修が求められます。床のタイルの修復をしたい場合はできる限りプロに依頼しましょう。とはいえ、損傷がひどい場合に放置するわけにも行かないので、プロに修復してもらうまでのつなぎとしてDIYするのは良いでしょう。もちろん、その後にしっかりとプロに依頼して補修してもらうことが大切です。なお、壁の場合は床に比べて浸水リスクが低いので、軽微な不具合であればDIYでも問題ないでしょう。

4.風呂のタイル補修を業者に依頼する場合

この項では風呂のタイル補修を業者に依頼する際に知っておきたい情報をまとめました。

4-1.タイル補修の費用相場は2万円~

浴室の広さや劣化具合などにもよりますが、一般的には2万~6万円程度が相場です。ただし、土台部分にまで劣化が及んでいた場合などには、土台の修理費用などもかかってくるので10万円程度になることもあります。

4-2.工期の目安は半日~1日程度

広さや修理内容にもよりますが、一般的には半日~1日程度です。土台のダメージも補修する場合は大がかりな工事となるため、1週間~10日程度は覚悟しておく必要があります。

4-3.タイル補修を業者に依頼する際はホームページやSNSを確認しよう!

タイル補修などの小規模なリフォームの場合、業者は特別な許可や資格を必要としません。そのため、中には素人同然の不良業者も多く紛れています。しっかりとしたプロフェッショナルを選ぶことが重要です。そのためには、以下のようなポイントを押さえて選ぶことが必要となります。

  • ホームページで実績・許認可・資格などがしっかりしているか
  • 創業年がいつか
  • SNSやTwitterなどで情報発信を行っているかどうか

実績や許認可などはやはり、依頼する上で一番重視すべき点です。特に、水回りに強いかどうかは非常に重要なので、ホームページの施工例などを確認しておきましょう。また、建築士の資格などを有していない業者は避けたほうが無難です。
創業年については、できる限り古くからやっている業者を選ぶことが重要となります。新しい業者は技術や知識の面で劣る可能性が高いからです。また、長く続いていること自体が、多くの顧客を獲得し信頼されている業者であることの証明になります。
SNSやTwitterで情報を発信しているかどうかも重要なポイントです。業者がSNSやTwitterでは簡単に情報が広がるため、悪徳業者や不良業者のアカウントであれば簡単に炎上してしまいます。つまり、アカウントが炎上していない場合は一定の信頼が置けるでしょう。さらに、有益な情報を惜しげもなく提供している業者は、自分の会社の知識・技術・実績などに自信を持っていることの表れでもあります。大きな判断目安となるでしょう。

5.風呂のタイル補修をDIYする方法

次は、DIYでタイルの補修を行う際に押さえておきたい情報をご紹介します。

5-1.準備するもの

5-1-1.タイルのひびを補修する場合

タイルのひびの補修をする際には、最低限、以下のようなものを用意するようにしましょう。

  • コーキング剤(ひび割れを埋める材料)
  • ヘラ(コーキング剤を塗り伸ばす際に使用する)
  • マスキングテープ(補修箇所以外にコーキング剤が付着するのを防ぐ)
  • 雑巾
  • 軍手

5-1-2.タイルの欠け・剝がれを補修する場合

タイルの欠けや剝がれを補修する際に必要となるのは以下のようなものです。

  • タイル専用接着剤(浴室専用のもの)
  • 目地材(目地を埋める材料)
  • タイル(元のタイルの入りやサイズが同じもの)
  • 金づち(目地や欠けたタイルをそぎ落とすのに使用)
  • タガネもしくはマイナスドライバー(目地や欠けたタイルをそぎ落とすのに使用)
  • ヘラ(目地材を塗り伸ばす際に使用)
  • マスキングテープ(補修箇所以外に目地材が付着するのを防ぐ)

5-2.状況に応じた補修手順

5-2-1.タイルのひびを補修する場合の補修手順

  1. ひび割れ周辺の水気を雑巾で拭き取る
  2. コーキング剤が補修箇所以外の部分に付着するのを防ぐため、ひび割れの両側に3mm程度の隙間をあけてマスキングテープを貼る
  3. ヘラにコーキング剤を付け、ひび割れの内部まで埋め込むことを意識して塗っていく
  4. 十分に乾燥させ、最後にマスキングテープを剝がして完了

5-2-2.タイルの欠けや剝がれを補修する場合補修手順

  1. 補修箇所周辺の目地や欠けたタイルにタガネ(もしくはマイナスドライバー)の先を当て、金づちで柄を打ってそぎ落とす。なお、タイルが再利用できる場合は、タイルの裏側に付着した古い接着剤をタガネで取り除いておく
  2. 新しいタイルの裏側に適量の接着剤を塗り、下地に貼り付ける
  3. 十分に乾燥させる。なお、壁にタイルを貼り付けた場合は、乾燥中にタイルが落下するのを防止するため、タイルの上からマスキングテープを貼って固定しておく
  4. 乾燥が終わったらマスキングテープで目地の両側を養生する。
  5. ヘラに目地材を付け、目地部分に隙間なく塗り込み、マスキングテープを剝がす
  6. 目地材が乾燥したら完了

5-3.DIYの注意点

目地材に隙間ができていると浸水してしまうので注意が必要です。また、コーキング剤は隙間の仲間でしっかりと埋め込まないと効果がないので、注意しましょう。また、もしも自分では難しいと感じたら、無理に続けるのはやめ、プロに依頼することが大切です。

6.風呂のタイル補修に関するQ&A

最後に風呂のタイルの補修に関してよく寄せられる質問と回答をご紹介します。

Q.DIYで失敗した後でも、業者は引き受けてくれるのですか?
A.通常は、DIYで失敗した場合でも引き受けてくれます。放置することが一番良くないので、失敗したときは速やかにプロに相談してください。

Q.コーキング剤や目地材はどのぐらい乾燥させればいいのですか?
A.商品によって乾燥時間は大きく異なります。コーキング剤や目地材に記載されている使用方法を参照してください。ただし、一般的には、24時間乾燥させれば問題はありません。

Q.コーキング剤は浴室用でなければ駄目ですか?
A.防水仕様であれば浴室用でなくても使用できます。ただし、浴室用のほうが使いやすくなっていることが多いので、できる限り浴室用を使ってください。

Q.水がかからない場所のひびなら補修は必要ないのでしょうか?
A.天井付近などのひびなら、一見浸水しなさそうなので、補修は不要に感じられるかも知れません。しかし、お湯の蒸気でひびの奥まで水が入り込んでしまいますし、地震などで剝がれ落ちる危険もあるので、やはり補修は必要となります。

Q.交換用のタイルに同じ形や大きさのものがない場合はどうすればいいですか?
A.なるべく同じ形・サイズの近いものを選んで使用するか、お店で指定してカットしてもらいましょう。

まとめ

今回は風呂のタイルの補修方法についてご紹介しました。経年劣化や地震など、さまざまな理由でタイルのひびや欠けは発生します。ひびや欠けを放置すると浸水して建物にダメージを与えたり、カビの温床になったりするので、速やかな補修が大切です。今回ご紹介した情報を参考にして、しっかりと風呂のタイルの補修を行ってくださいね。