モルタルを塗装するメリットは? 塗装にかかる費用や期間など解説

モルタル外壁の塗装は10〜15年が経過すると劣化による不具合が生じるといわれています。劣化症状を放置すると、内部まで悪影響を及ぼしてしまうので要注意です。しかし、どのような劣化症状が起きるのか、どのように塗装すればいいのかなど、モルタルの塗装で悩んでいる方は多いでしょう。

そこで、本記事では、モルタル塗装にかかる費用や工事期間などについて解説します。

  1. モルタルとは?
  2. モルタルを塗装するメリット
  3. モルタルを塗装する際の確認事項
  4. モルタル塗装の流れや業者選びのポイント
  5. モルタルの塗装に関してよくある質問

この記事を読むことで、モルタル塗装の流れや業者選びのポイントなども分かります。気になっている方はぜひチェックしてください。

1.モルタルとは?

まずは、モルタルがどのようなものなのか基本情報をチェックしておきましょう。

1-1.セメント・砂・水を混ぜてペースト状にしたもの

モルタルを簡単に説明すると、セメント・砂・水を混ぜてペースト状にしたものです。住宅の仕上げ用素材としても使うことが多く、ペースト状になったものを外壁・内装壁・土間などに塗って仕上げることが多いでしょう。ほかにも、タイルやレンガを張るときの下地材に使ったり、外壁や内壁材の下地材として使用したりすることもあります。このように、モルタルはさまざまなシーンで使う用途が幅広い素材です。

1-2.モルタル壁の種類

前述したように、モルタルは外壁の仕上げ材として使うことが多いですが、仕上げ形状には以下の4種類があります。

  • スタッコ壁:モルタルで整えた壁の表面にスタッコ材という塗料を吹き付けて仕上げる
  • リシン壁:モルタルで整えた壁の表面に砂目模様のように吹き付けて仕上げる
  • 吹き付けタイル壁:タイル材を1~3mmほどの厚さで吹き付ける
  • 左官仕上げ:でこぼこにしたり、ウロコ状にしたり、横線を引いたり左官仕上げで仕上げる

2.モルタルを塗装するメリット

ここでは、モルタルを塗装するメリットについて説明します。

2-1.耐久性と施工性に優れている

モルタルを塗装するメリットとしては、耐久性と施工性に優れているところでしょう。モルタルが外壁に採用されているのは、耐久性に優れている特徴があるからです。耐久性だけでなく燃えにくい性質から耐火性にも優れており、表面に塗装を施すことで耐水性も向上します。さらに、施工性にも優れているのは大きなメリットといえるでしょう。モルタルはペースト状のものを職人が塗り、乾燥させることで硬くなっては耐久性が生まれます。セメント・砂・水というシンプルな材料で構成されているので、必要な量だけ現場で直接作ることができるのもモルタルの大きなメリットです。

2-2.デザイン性の高さ

モルタルは、さまざまなデザインを作り出すことができるものです。色や表面を自由に変えることができるからこそ、建築物の雰囲気に合わせることができるでしょう。カラーバリエーションやデザインだけでなく、四角・丸・三角といったいろいろな形にできるのも大きなメリットです。モルタルをいろいろな形にできるということは、使う場所を選ばないというメリットもあります。さらに、モルタルはサイディングボードとは違って継ぎ目がありません。継ぎ目がないことで立体的かつ滑らかな仕上げが可能となり、デザイン面でのメリットにつながります。

2-3.工事費用が安い

モルタルを塗装するメリットとして、工事費用が安い点があります。モルタル外壁の塗装に必要な費用は、30~40坪程度です。一方、サイディングボードの張り替えには約200万~290万円かかってしまいます。モルタル外壁がひどく劣化している場合は張り替えが必要になりますが、そこまで劣化していない場合は費用を安く抑えることができるでしょう。ほかの外壁よりも工事費用を最小限に抑えられるのは、とても大きなメリットといえます。

3.モルタルを塗装する際の確認事項

ここでは、モルタルを塗装する際の確認事項を解説します。

3-1.外壁がどのような状態になっているか確認する

モルタルを塗装する前に必ずチェックしてほしいのが、外壁の状態です。外壁がどのくらい深刻な状態になっているのか・どれほど劣化しているのか状態を把握することで、最適な方法で塗装できます。逆に、外壁がどのような状態になっているのか確認せずに工事を始めてしまうと、間違った方法で工事をすることになってしまうでしょう。塗装し直さなければならない状況になってしまうため、きちんと外壁の状態を確認しておかなければなりません。素人では判断しづらいところがあるので、専門業者に外壁の状態をチェックしてもらいましょう。

3-2.モルタル塗装のデメリットも把握する

モルタル塗装にはメリットだけでなくデメリットもあります。そのことをきちんと踏まえた上で工事を行うことも、塗装前に確認しておきたいポイントです。モルタル塗装の大きなデメリットとしては、工期が延びる上に手間がかかる・近所の住民とトラブルになる・塗膜が剝がれやすいところにあります。一般的に、モルタル塗装は2~3人の職人が必要になり、毎日8時間作業するとして約2週間かかるでしょう。モルタル塗装は重量のある塗料なので、時間だけでなく手間もかかってしまいます。また、モルタルが近所に飛散してしまうと近隣トラブルに発展する恐れもあるでしょう。さらに、技術を習得していない人が塗装すると、最悪の場合、1年で塗料が剝がれる可能性もあります。

3-3.モルタル塗装の費用相場をチェックする

モルタル塗装にいくらかかるのか、だいたいの費用相場をチェックすることも大切な確認事項です。事前に費用相場を把握しておかなければ、悪徳業者に引っかかってしまう恐れがあります。高額な費用を請求してくる悪質な業者が存在しているため、費用相場をチェックしておかなければなりません。前述したように、モルタル外壁の塗装費用は約70万~120万円が目安となりますが、外壁の状態などによって大きく異なります。複数の業者に無料査定を依頼し、費用の目安をチェックしてください。

3-4.悪徳業者に要注意!

前述したように、塗装業者の中には不正を働く悪徳業者が存在しています。たとえば、工事後に追加費用といって高額な費用を請求したり、正しい方法で施工しなかったりするなどです。実際に、悪徳業者とトラブルになってしまったというケースもあるので十分に注意しなければなりません。悪徳業者を見極める方法としては、モルタル塗装業者選びのポイントをしっかりと把握することが大切です。次の項目、【4.モルタル塗装の流れや業者選びのポイント】で詳しく説明するので、ぜひチェックしてください。

4.モルタル塗装の流れや業者選びのポイント

ここでは、モルタル塗装の流れや業者選びのポイントを解説します。

4-1.モルタル塗装の流れをチェック!

簡単に、モルタル塗装の大まかな流れをチェックしておきましょう。

  1. 着工前の準備(近隣住民への挨拶回りなど)
  2. 足場の組み立て・養生シート貼り
  3. 高圧洗浄で外壁についている汚れを流す
  4. ひび割れなどがある場合は下地処理を行う
  5. 塗膜の密着を高めるための1回目の下塗り
  6. 厚みをつけるための2回目の下塗り・中塗り
  7. 仕上げとしての上塗り
  8. 工事完了後の最終チェック
  9. 足場の解体→施工完了

上記の流れが大まかな流れとなりますが、外壁の状態や施工業者によっては多少違い生まれる可能性があります。事前にどのような流れで工事を行うのか、念のために確認しておくといいでしょう。

4-2.外壁塗装の実績があるか

塗装業者選びのポイントとして、外壁塗装の実績があるか確認してください。外壁塗装の実績がある業者ほど、さまざまなケースに対応できますしアフターフォローも万全に整っている傾向があります。なお、塗装業者の実績を調べたいときは、業者のホームページで施工実績をチェックするといいでしょう。施工実績では、これまでどのような工事に着手してきたのか・どのようなケースに対応してきたのかが分かります。併せて、実際に依頼した人の口コミや評判をチェックするのも塗装業者選びに役立つポイントでしょう。

4-3.スタッフの対応が丁寧でスピーディーか

スタッフの対応が丁寧でスピーディーかどうかも、塗装業者選びの重要なポイントです。悪徳業者のスタッフは対応が悪く、連絡をしてもすぐに返事をしてくれません。逆に、優良業者はどのような質問でも丁寧で分かりやすく説明してくれますし、親身になって相談にのってくれるでしょう。たとえば、「この予算内で仕上げたい」と要望を伝えれば、その予算内でどのくらいの作業ができるのか詳しく説明してくれます。

4-4.見積書の内容が具体的に記載されているか

塗装業者を選ぶ際、見積書の内容が具体的に記載されているかどうかも必ずチェックしてください。悪徳業者は見積書に具体的な内容が書かれていない・適当な見積もりを出すという傾向があります。中には、見積書や工事内容を書面で提示せず口頭で説明する悪質な業者も存在しているので要注意です。見積書の内容が細かく記載されていない施工業者は、工事後に追加費用を請求してくる可能性があります。少しでも異変を感じたり、疑問を覚えたりした際は、すぐに尋ねて解決してから正式に依頼しましょう。

5.モルタルの塗装に関してよくある質問

モルタルの塗装に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.劣化したモルタルを放置するとどうなるのか?
A.劣化症状がどんどんひどくなり、下地まで悪影響を及ぼしてしまう恐れがあります。たとえば、雨漏りが発生したり、建物の耐久性が低くなったりしてしまうのです。劣化したモルタルを放置するのはとても危険な状態といえるでしょう。また、早めに補修すれば費用を抑えることができますが、放置すればするほど補修が大がかりになってしまうので費用が高くなってしまいます。なるべく費用を抑えたい方は早めに劣化したモルタルの補修を依頼しましょう。

Q.モルタルの劣化症状は?
A.ひび割れ(クラック)・モルタルの浮きと剥落・塗膜剥離などがあります。また、外壁に触れると白い粉がつくチョーキング現象もモルタルの劣化症状です。見た目が劣化していなくても内部が劣化している可能性もあるため、素人では劣化症状が分かりにくいところもあります。少しでも不安を感じたり劣化症状が見られたりする場合は、すぐに塗装業者へ外壁調査を依頼してください。

Q.モルタル外壁はひび割れがしやすいのか?
A.モルタルは水と混ぜ合わせて作るものなので、その性質上、ひび割れが起きやすいデメリットがあります。水分を含んでいるものは乾燥してしまうとひび割れが起こりやすくなるものです。ひび割れが起きてしまうと、そこから雨水などが入り込み雨漏りが発生するでしょう。そのため、雨漏りやひび割れを防ぐため、下地に防水処理を施しておかなければなりません。さらに、モルタルには表面を防水できる塗装仕上げが必要です。

Q.モルタル塗装をする時期は?
A.新築から10年が目安だといわれています。外壁塗装は1回行えば永久的に続くものではありません。常に紫外線や雨風にさらされている部分でもあるため、日々劣化していますし、定期的にメンテナンスや塗装を行う必要があります。リフォームをしている場合は、前回のリフォームから10年を目安にモルタルの塗装を行いましょう。

Q.モルタル外壁に適した塗料は?
A.ゴムのような弾力性を持っている弾性塗料が適しているといわれています。弾性塗料を施すことで、ひび割れが生じそうになった際に我を防ぐことができるでしょう。弾力性がやや弱い微弾力塗料もありますが、弾力塗料のほうが優れています。どのような塗料がいいかどうかは、塗装業者と相談しながら決めてください。

まとめ

モルタルを塗装するメリットとしては、耐久性に優れていること・デザイン性が自由であることなどがあります。さまざまな形に合わせることができるからこそ、どのようなデザインの建築物にも合わせられるのは大きなメリットです。ただし、職人の腕が必要になるため、塗装業者選びには十分に注意しておかなければなりません。複数の業者を比較して、なるべく実績のある塗装業者を選んでください。外壁の状態に合わせて塗装を行えば、モルタルのメリットを生かすことができるでしょう。