追い焚き配管の洗浄方法が知りたい! 雑菌繁殖を防ぐためのポイント

追い焚き風呂は、冷めたお湯を再び熱くしてくれる便利なシステムですよね。しかし、定期的に追い焚きの配管の掃除をしなければ、雑菌が繁殖して、菌がそのまま風呂の中に入ってしまいます。その結果、体調を崩したり、細菌に感染したりする恐れもあるのです。安心・安全に風呂に入るためには、きちんと配管の洗浄を定期的に行わなければなりません。

そこで本記事では、追い焚き配管の基礎知識や汚れ・雑菌、洗浄方法・機能などについて説明します。

  1. 追い焚き配管の基礎知識
  2. 追い焚き配管の汚れ・雑菌について
  3. 追い焚き配管の洗浄方法
  4. 追い焚き配管の洗浄機能
  5. 追い焚き配管に関してよくある質問

この記事を読むことで、追い焚き配管の洗浄について詳しく知ることができます。気になっている方や洗浄したい方は、ぜひチェックしてください。

1.追い焚き配管とは?

追い焚き配管の洗浄について知る前に、一体どんなものなのか把握することが大切です。設置場所や働き・メカニズム、形状について詳しく説明します。

1-1.どんなものか

最初に、追い焚きの機能について説明します。追い焚きとは、お風呂のお湯が冷めたときに、新たにお湯を足すのではなく、冷めたお湯を再び沸かす機能のことです。そのため、水道代が節約でき、すぐにお湯も沸くので時間の節約にもつながります。そして、追い焚き配管とは、お湯を沸かすための給湯器と、浴槽をつなぐための配管です。冷めたお湯を給湯器で再び温めて、配管をとおして温かいお湯を湯船に送ります。

1-2.どこに設置されているか

追い焚き配管は、壁をとおして浴槽と給湯器がつながっている配管です。給湯器の設置場所は、ほとんどが浴室の近くではないでしょうか。壁越しに給湯器と浴槽が隣り合わせになっているはずです。給湯器から伸びている配管が、そのまま壁を通って、追い焚きをすると水が出てくる場所につながっています。実際に、浴槽と給湯器の位置を確かめてみましょう。

1-3.働き・メカニズム

追い焚き機能がついているお風呂は、浴槽と給湯器が配管でつながっています。追い焚きのスイッチを押すと、浴槽の給湯口から冷めたお湯が取り込まれていき、配管を通って給湯器へ送られる仕組みです。そして、冷めたお湯を給湯器で加熱した後、再び配管を通って浴槽へ戻されます。再びお湯を沸かすためには、給湯器が必要不可欠です。

1-4.形状について

浴槽と給湯器をつないでいる追い焚き配管は、風呂釜や湯船との距離・位置で異なります。近くに配置している場合はまっすぐな形状が多いですが、中には途中で折れ曲がっている配管もあるのです。ぜひ、どのような形状になっているのか、直接目で確かめてください。
ただし、配管の形は確認できますが、中身を直接目で確認することはできません。どれだけ汚れており、雑菌が繁殖しているのかは確かめられないのです。

追い焚き配管は、追い炊き機能がある浴槽についているものなんですね。
はい。浴槽に1~2の穴がある場合、必ず追い炊き配管がついています。

2.追い焚き配管の汚れ・雑菌とは?

なぜ、追い焚き配管は汚れやすいのでしょうか。付着する汚れや雑菌、雑菌だらけになる理由、汚れがつきにくい使用方法について説明します。

2-1.なぜ汚れやすい?

入浴後の浴槽には、多数の雑菌が多く入り混じっている状態です。私たちの体から洗い流された常在菌や垢(あか)などが漂っているのが分かるでしょう。追い焚きをすると、雑菌や汚れが混じっているお湯が配管の中を通過することになるのです。配管の中を通るたびに、雑菌と汚れが配管に付着する可能性があります。よって、追い焚き配管が汚れやすくなるのです。

2-2.どんな汚れがつくか

追い焚き配管につく汚れはさまざまです。代表的なのは、体についている常在菌と垢(あか)などの汚れとなります。ほかにも、浴槽をよく洗っていないと、さまざまな菌がお湯とともに配管に付着することになるでしょう。特に、注意しておかなければならないのが、レジオネラ菌です。レジオネラ菌は、河川などに生息する菌の1種で、人が感染すると、高熱や咳(せき)・筋肉痛・頭痛などの症状を起こします。最悪の場合、死に至ることもあるので汚れをあまくみてはいけません。

2-3.なぜ雑菌だらけになってしまうのか?

汚れや菌が配管の中を通るだけでなく、配管内の状態も関係しています。追い焚き配管内は、40℃前後のお湯で満たされている状態です。細菌が繁殖しやすい温度であり、栄養分となる人の垢や汗もたくさん含まれています。細菌が死滅する温度の60~80℃になることはありませんので、時間の経過とともに繁殖し続けるのです。

2-4.汚れがつきにくい使用方法

追い焚き配管の汚れをつきにくくするために、自分たちでできることがあります。それは、お湯を何日も溜(た)め続けないことです。必ず毎日新しいお湯に入れ替えてください。お湯を循環ろ過して長時間使用する「24時間風呂」というものがありますが、レジオネラ菌が繁殖する可能性があります。

また、入浴前は浴槽の外で体の汚れを流してから入ると良いでしょう。体についている汚れや垢(あか)を少しでも取りのぞくことができます。

お湯が循環することによって配管内に汚れが付着するんですね。
はい。しかも配管内は一定の温度に保たれやすいので菌が繁殖するには絶好の場所です。

3.追い焚き配管の洗浄について

それでは、追い焚き配管の洗浄について詳しく説明します。

3-1.洗浄の必要性

定期的に、追い焚き配管を洗浄することで、汚れの付着や菌の繁殖を防ぐことができます。時間が経過するほど頑固な汚れとなり、雑菌も増殖してしまうものです。最低でも、月に1回ぐらいのペースで、追い焚き配管内を掃除しましょう。健康のためにも、追い焚き配管の洗浄を徹底してくださいね。

3-2.洗浄のタイミング

月に1回のペースを維持しながら、追い焚き機能を使用したときの様子をチェックしましょう。追い焚き機能を使用したときに、浴槽内にある給湯口から汚れが出てきたときは、洗浄が必要となります。特に、湯どろや黒いつぶつぶのようなものが湯面に浮かんでいたときは、すぐに洗浄しなければなりません。すでに、配管内の汚れがひどく、殺菌が繁殖している証拠です。

3-3.洗浄方法

では、どうすれば追い焚き配管内の洗浄ができるのでしょうか。普段の掃除・洗浄剤の使用・特別な掃除の3つに分けて説明します。

3-3-1.普段の掃除

追い焚き配管には、「強制循環式」と「自然循環式」の2タイプがあります。「強制循環式」は浴槽にフィルターのついた穴が1つだけあいているタイプで、「自然循環式」は浴槽に穴が2つあいているタイプです。どちらかのタイプによって、普段の掃除方法が異なります。

強制循環式

  1. 穴の上部5~10cmの位置まで水を溜める
  2. 配管洗浄用の洗剤を入れてよく溶かす
  3. 追い焚きをして2~3時間放置
  4. 再び追い焚きをしてから排水する
  5. 穴の部分にホースで水を入れ、汚れを洗い流す

自然循環式

  1. 下にある穴のほうをタオルでふさぐ
  2. 40~50℃のお湯を上の穴にそそぎ、2時間程度放置する
  3. 下のタオルを外して排水した後、上下の穴にホースで水を入れて洗い流す

3-3-2.洗浄剤の使用

追い焚き配管の洗浄を行うときは、市販の洗浄剤を利用してください。洗浄剤を使うことで、汚れが落ちやすくなり、楽に掃除ができます。ただし、洗浄剤を利用する際は、1つ穴用と2つ穴用と穴の数によって異なるでしょう。購入前に、浴槽の穴を確認してくださいね。間違った洗浄剤を使ってしまうと、追い焚き配管だけでなく風呂釜も傷めてしまいます。

3-3-3.特別な掃除

頑固な汚れや、配管内の状態が悪い場合は、普通の掃除で取りのぞくことはできません。湯どろや黒いつぶつぶのようなものが浮かんでいるときは、プロの業者に洗浄を依頼してください。できれば、半年に1回程度の頻度で依頼したほうが良いでしょう。業者は、特別な洗浄剤などを使用するため、頑固な汚れも取りのぞくことができます。費用はかかりますが、安心して風呂に入るためには必要なことです。

月一回の割合で洗浄するのがおすすめなんですね。
はい。専用の洗剤もたくさん販売されています。

4.追い焚き配管の洗浄機能とは?

追い焚きには、洗浄機能がついているものもあります。それでは、洗浄機能について詳しくチェックしていきましょう。

4-1.洗浄機能について

フルオートタイプの追い焚き機能つき給湯器には、自動洗浄機能がついていることがあります。自動洗浄機能とは、追い焚き配管内部のお湯を自動的に新しい水で押し流す機能のことです。湯船の水位が下がったときに、排水した状態だと認識して自動的に機能が働きます。洗浄機能を利用すれば、毎日追い焚き配管内の洗浄が簡単にできるでしょう。

4-2.利用方法

追い焚きの自動洗浄機能は、お湯を排水することで自動的に作動します。配管洗浄をしたいときは、浴槽に溜まっているお湯を抜いてください。たったこれだけなので、高齢者などの体力がない方でも、気楽に配管洗浄ができるでしょう。ただし、給湯器の機種によっては、手動でボタンを押さなければならないものもあります。

4-3.注意点

追い焚きの自動洗浄機能はとても便利ですが、すべての汚れと雑菌が取りのぞけるわけではありませんので注意してください。頑固な汚れが取れないときもあります。自動洗浄機能を使用しつつも、日ごろの掃除や定期的に行う特別な洗浄をしていきましょう。定期的に洗浄を行えば、汚れも頑固にならないうちに取りのぞくことができ、雑菌増殖も防止できます。

今は洗浄機能がついている浴槽もあるんですね
はい。ただし、定期的に洗剤を使った洗浄も行いましょう。

5.追い焚き配管に関してよくある質問

追い焚き配管に関してよくある質問を5つピックアップしました。気になっている方は、ぜひチェックしてください。

Q.汚れを防ぐ方法はあるのか?
A.重曹を入浴剤の代わりに入れる方法があります。重曹はアルカリ性で、皮脂汚れなど酸性の性質をもつ汚れを中和する成分です。入浴剤の代わりに重曹を入れることで、浴槽や追い炊き配管の汚れをつきにくくしてくれます。血行促進などの効果も期待できるので、重曹を入れても体に問題はありません。ただし、完全に防げるわけではありませんので、定期的な洗浄が必要です。

Q.追い焚き配管の平均寿命は?
A.追い焚き配管の平均寿命は、約10年といわれています。使用年数が10年になると、異音がする・水漏れが起きるなどの不具合が出始めるでしょう。不具合が出てきたときは、配管を速やかに交換してください。また、給湯器の買い替えと同時に、追い焚き配管を交換する方も多いですよ。

Q.こまめに掃除しているのに、風呂がにおう……
A.きちんと洗浄しているにもかかわらず、におう場合は、追い焚き配管内に雑菌が繁殖している・頑固な汚れがついている可能性が考えられます。きちんと洗浄しているつもりでも、十分にできていなかったというケースはあるのです。個人の力では無理があるため、業者にしっかり洗浄してもらいましょう。

Q.寒冷地で追い焚き配管の洗浄を行う際の注意点は?
A.寒冷地は、追い焚き配管が凍結してしまう可能性があります。凍結を防ぐためには、配管洗浄後に、水を穴の上部まで張ってください。水張りをすることで、追い焚き配管内を水で満たし、凍結を防ぐことです。ただし、きちんと配管内と浴槽を洗浄した後に張ることが大切なポイントとなります。洗浄前だと、浴槽内が汚れているので余計に菌や汚れが付着することになるでしょう。

Q.業者に依頼する場合、費用はいくらかかるのか?
A.追い焚き配管内の清掃にかかる費用は、約15,000~20,000円です。業者によって異なるため、費用を抑えたい方は複数の業者に見積もりを依頼してください。複数の業者を比較することで、最も低費用のところへ依頼ができます。

まとめ

追い焚きは、足し湯をすることなく再び熱い湯船に浸かることができる人気の機能です。追い焚き機能を使用するときは、冷めたお湯が配管の中を通過して給湯器に運ばれ、暖められたお湯が浴槽内に戻ってきます。浴槽と給湯器をつなげているのは、追い焚き配管ですが、実は、雑菌や汚れが付着しやすい場所でもあるのです。定期的に洗浄しなければ、配管内に付着した汚れや雑菌が湯船に漂う環境となります。そのお湯を、子どもが口にすることになれば……と思うだけで恐ろしいですよね。

清潔な湯船に浸かるためには、定期的な追い焚き配管の洗浄が大切なポイントとなります。日ごろの掃除を行いながら、月に1回配管内の洗浄を実施してください。できれば、半年に1回、業者へ特別な洗浄を依頼したほうが良いでしょう。追い焚き配管の洗浄をきちんと行うことで、安心・安全なお風呂が維持できますよ。